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中国大公書紀行
(2007年3月号 新潮45 鈴木譲仁・ジャーナリスト)
ー河は灰色に濁り、あちこちに豚や犬の死骸が浮いている。
「死相漂う」癌村からの衝撃報告ー
昨年の秋、私はこれから本格的な寒さが訪れようとしている
中国河南省へ向かっていた。目指す所は日本人など誰も知らな
い田舎の小さな村。そしてある中国人カメラマンに逢うためだ。
2005年、ドイツの某テレビ局である番組が放映された。
画面に映し出されたのは、黒ずんだ腫瘍を身体中に抱え、やせ
細って骨と皮だけになった女性。薄汚れた布団に横たわり、じ
っとカメラを見つめる末期癌患者の無言の視線。先天性の障害
をもった子供の姿。ほとんどの村人が食道癌や大腸癌などに冒
され治療するすべもなく絶望の淵に喘いでいる。
これは汚染された井戸水を飲んだ村人の多数が癌で死んだ、
中国河南省黄孟営村と呼ばれる「癌村」の生々しい映像だ。
悲惨な姿に多くの視聴者が絶句したのは言うまでもない。
流域の水の50%以上が潅漑用水にも使えないほど汚染している
悪名高い淮何の支流、沙穎河の近くにあり、水道もなく井戸水
に頼る村人116人が癌で死んでいる。
沙穎河から浸透する地下水で生活する村民の84%が癌を含めた
何らかの病気を抱え、ただ絶望の中で死を待っているのだ。
この番組は、その流域に派生している恐ろしい中国の「癌村」
の実態を初めて世界に知らしめたのである。その勇気ある告発を
行った人物こそ河南省に住むカメラマン霜岱珊(フォアタイシャン)。
彼は1990年代から地元を流れる淮何の深刻な汚染状況をカメラ
に収め、海外メディアにその深刻な水質汚染を訴え続けてきた。
衝撃的なこれらの写真は「淮河衛土」という環境NGOを主宰す
る彼の活動とともに各国で大きな反響を呼び、日本の朝日新聞
にも掲載された。
私は、その雷岱珊氏に逢って帰村の実態をこの眼で確かめたい、
という強い衝動に駆られたのだ。
北京の南、西安の東に位置する河南省の省都、鄭州の空港から
車で3時間、地平織へと続くような畑や荒涼とした赤土の大地な
どが延々と広がる農村地帯を抜け、槐店鎮に私は漸く辿り着いた。
その時、目的地に着いた安堵感と同時に、実はある不安も頭の中
を交錯していた。彼との約束をどうにか取り付けたものの、私の
申し入れに対し「体調が悪いから」とか「色々と都合があって」
などと曖昧な理由でなかなかはっきりした承諾をしなかった不自
然さを感じていたのだ。
「海外メディアに積極的に訴えて来た割には私の取材申し込みに
消極的だったな。大丈夫だろうか」という思いが頭を椋めたのだ。
中国の小さな田舎街には地図もない。地元の通訳でさえ何周か
回って漸く彼の事務所を見つけだした。中に入ると彼の息子がい
た。机二つの小さな事務所だ。
簡単に挨拶し面会の約束がある旨を伝えると、彼は「今、ちょっ
と近所まで出ています。1時間もしないで帰って来るので、すみ
ませんがもう一度来てください」と丁重に応対した。そして最後
に「必ず電話で確認してくださいね」と事務所の電話番号を渡し
てくれた。
昼食も取らず車を飛ばしてきた我々は、薄汚れた食堂に入った。
このあたりは同族が多い。その店も回族が経営する店で、美味し
い羊料理を堪惜した。小一時間ほど経ったので、早速事務所に電
話をすると先はどの息子が出た。が、まったく対応が違うのだ。
「あなた連は何しに来だの。父は帰ってこないよ。迷惑だよ。あ
んたら何もわかっちやいない。文句があったら村の委員に言って
くれ!」そう言って乱暴に電話を切ってしまったのだ。
まったく取り忖く島もない。私たちは唖然とした、と同時に先程
椋めた不安が現実になってしまった想いも湧いて来た。早速私は、
現地のガイド兼通訳を介して事情を調べることにした。
私は隣の安徽省で環境NPO活動に携る知人に連絡を取ってみた。
また地元近隣の住民にも様子を聞くことにしたご知人に連絡がつ
き数時間掛けて調べた結果、彼の奇妙な言動の謎がうっすらと解
けてきた。
「そうか、貴方もか」という想いに肩を落としたのだ。
どうやら彼は村の公安関係者に「軟禁」されていたのである。我
々が訪れた時は監視している人物と外出していたらしい。外部か
らの電話も全てチェックされている、というのだ。
NGO「淮河衛土」も各メディアに注目され暫くしてから休眠状態
らしい。そしてもうひとつ判ったのは、この「癌村」の存在は地元
の人間も隣村の人間もほとんど知らなという事だ。否、知らされて
いないのだ。
私はこの事実を知って、以前のある体験を思い出した。北京の人
民解放軍301病院で「SARS」の発生をいち早く海外メディアに告
発した蒋彦永医師のことだ。
政府の反対を押し切って発表し、その後世界的な問題として注視さ
れている間は言動を黙認されていたが、騒動か鎮静化し人々の関心
が薄れると、いつの間にか軟禁状態で公安の監視下に置かれてしま
ったのだ。
彼と頻繁に連絡を取っていた私も、いつの間にか携帯が繋がらなく
なり居所も不明になってしまった。
おけに中国の事務所とSARS関係のメールをやり取りしている私の
パゾコン画面に、突然、「WARNING」という文字が現れ、「これ
以上メールを続けるのは危険です!」というメッセージと同時にメ
ールも繋がらなくなってしまった。
この様な前近代的というか、民主主義には程遠い中国政府の情報
コントロールは凄まじい。昨年、中国の歴史教科書批判の論文を掲
載した途端、発行停止となった週刊誌「氷点」など国内メディアは
勿論のこと、このようなNGO関係者も標的になっている。
表向きには環境問題を扱う「緑色記者」や環境NGOの活動を積極的
に支援すると表明しながら、政府の意向に反する者は抹殺している
のだ。
こうした情報統制は、中央共産党宣伝部を中心とした中央政府の
監視と地方共産党支部や地域の村民委員会を中心とする監視の二通
りに分かれている。
つまり中央政府の意向がなくとも各地方独自の判断で情報管理が行
われている、ということだ。富岳珊の場合もどうやら村民委員会が
軟禁しているらしい。
私は、これ以上強引に彼との面会を求めるのを諦めた。これだけ
厳しい監視下にある人物にこれ以上接近すると我々も公安に拘束さ
れてしまう恐れがある。
そう決めると早速、我々だけで黄孟営村ヘと向かった。槐店鎮から
車で20分ほど走るとその村が見えてくる。だいぶ神経質になってき
た地元のガイドは村の入りロ付近に新しい交番が建っているのを見
つけ早速NPOの連中と相談する。
村に入らず車を止め、緊張した顔で彼は私に向かってこういった。
「どうやら村には私服の公安がいっぱいいるようです。外国人が村
に入って村人の話を聞くのは危険ですね」
村民委員会は、よほどこの村によそ者を近づけたくないらしい。
私たちは、歩いて村に入っていった。村は異様なほど静かだった。
家畜の声も脱穀する機械の音もなく、もちろん村人の会話すら聞こ
えてこない。「死相が漂う空気」と言えばいいのだろうか。まった
く生活感がないエアーポケットの様だ。
暫く歩いて一軒の農家を覗いてみた。誰かいる気配がしたのだ。
その家に入ろうとするとガイドに強く引き止められ私服の公安が各
家に潜んでいる、というのだ。
私は諦めて引き返したが、その家にある一本のか細い水道の蛇口が
眼に留まった。昨年、漸く水道が引かれたらしい。しかし、その蛇
口は真新しく使われた形跡もあまりない。既に主は病床に伏せって
いるのだろうか。
霜岱珊のお瞼で「地元住民以外」に有名になったこの村は、どう
やら監視が厳しく村民の声を聞けそうにない。私は引き返すことに
した。
車に向かって村の入り口まで戻った私は、入るときに見落としてい
た奇妙な看板を見つけた。そこに書いてある文字を見て思わず私は
この村民委員会の連中の顔が見たくなった。
書いてあるのは「信用村」。黄孟営村の通称をこう呼んでいるら
しい。いったい何を信用しろ、というのか。(続く)
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これが反映している沿岸部とは対照的に取り残された中国農村部の恐るべき事実、
そして中央政府主導による厳しい言論弾圧の実態である。
人治国家の中国では法の概念が欠如しているため、勿論環境に対する配慮はない。
「上に政策があれば、下に対策がある」といわれるように、中央政府の命令も忠
実に履行されることはないのだ。
西側諸国では告発すべくメディアが中央政府にコントロールされている為、機能
しない。少しづつではあるが勇気ある行動を示すメディアや知識人も登場してき
たが、弾圧されているのが現実である。
我が国の大手メディアは産経新聞くらいしか事実を伝えていない。
後は、チャンネル桜と一部の保守系の出版社が発行する雑誌や書籍くらいか。
日本のメディアは中共と協定を結んでおり、都合の悪いことは報道しない。
産経新聞以外は圧力に屈しているのが現実だ。米国や露西亜に対しても同じよう
な報道姿勢が見られる。日本のメディアがネットで叩かれる由縁であろう。
中共のメディアコントロール、中央共産党宣伝部については下記の著作を参照され
たし。何清漣氏は在米ジャーナリストで、産経新聞に時折登場し、前北京大学助教
授・ 国標氏は、2006年には諸君!で櫻井よしこ氏と対談されている。
何 清漣氏の著作『中国の嘘?恐るべきメディア・コントロールの実態』
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4594048765/ref=s9_asin_title_1/249-6598615-4197119
焦 国標氏の著作『「中央宣伝部」を討伐せよ』
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4794213395/ref=s9_asin_title_1/249-2179713-9990755
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言葉を失います・・癌村はこうして封印されたのですね、徹底してます。汚染度の激しさに輪をかけるような中国共産党一党独裁の情報統制の恐ろしさ・・84%発症しているとは、子供なども含めるともう全滅状態ですね・・チョウニチ新聞には同情資金援助を当て込んだプロパガンダでしょうか・・この記者の方はSARSの時の蒋彦永医師ともコンタクトがあったのですネ、真のジャーナリストです♪そして・・真実は全く闇の中です、ポチ(T_T)TBします♪こうもり
2007/2/26(月) 午前 0:38
こうもり様、そのようです(T_T)。共産国の情報統制は自由主義国の想像の範囲を超えています。昨年は我が国のメディアに対して、注文を付ける始末。サピオなどは、中国の悪口ばかり書くとお怒りのようで、チャイナにビビッた松下はサピオには広告を出さないとか。チョウニチ新聞は別名対中プロパガンダ新聞ですから、何らかの形で同情を誘うようにしたと思われます。このジャーナリストは大変勇気がありますね。感服致します!
2007/2/26(月) 午後 7:40
共産主義国家の怖いところが顕著に出ている事象ですよね。封印して隠す事で、事態の打開を図る機会が失われ、どんどんと国家的な病状を悪化させているのですから・・・
2007/2/26(月) 午後 11:53
kei様、仰る通り!共産国は暴力を肯定し、言論を弾圧する。自己中心的な思想です。権力者はネや血筋で選別された選挙で選ばれていない人間。当然腐敗します。事態の打開を図るどころではないでしょう。共産国の恐ろしさは、意思決定能力が自由主義国よりも格段に早いということ。議会制民主主義では太刀打ち出来ません。ヽ( ̄▼ ̄|||)ノ オテアゲ、、
2007/2/27(火) 午前 0:40
この記事を私の、中共の伝染病封印に関する記事の中で引用させて頂いても宜しいですか?こうもり
2007/6/15(金) 午前 9:19
こうもり様、どうぞ遠慮無くっ!御自由に引用して下さい♪
2007/6/15(金) 午後 10:18
鳥インフルの感染が拡大しているようなので追加ニュースの記事もTBしておきます♪こうもり
2007/6/20(水) 午前 11:03
こうもり様、暗黒大陸チャイナでは感染の拡大は避けられないでしょう。不潔、環境汚染、情報統制がある限り、感染拡大は歯止めがきかないでしょう。心底恐ろしい国です!
2007/6/20(水) 午後 8:34
日米軍事演習で「尖閣奪還作戦」 中国の不法占拠想定
産経新聞 10月3日
【ワシントン】
日米両防衛当局が、11月のオバマ米大統領の来日直後から、米海軍と海上自衛隊を中心に空母ジョージ・ワシントンも参加しての大規模な統合演習を実施することが明らかになった。作戦の柱は、沖縄・尖閣諸島近海での中国漁船衝突事件を受けた「尖閣奪還作戦」。大統領来日のタイミングに合わせ統合演習を実施することにより、強固な日米同盟を国際社会に印象付け、東シナ海での活動を活発化させる中国軍を牽制(けんせい)する狙いがある。
日米統合演習は2004年11月に中国軍の潜水艦が沖縄県石垣島の領海を侵犯して以来、不定期に実施されている。複数の日米関係筋によると、今回は、中国軍が尖閣諸島を不法占拠する可能性をより明確化し同島の奪還に力点を置いた。
中国では汚染物質を排出する工場を爆破しています。ドンドンやっちゃってください!みなさんよろしくお願いします。
2010/10/3(日) 午後 0:02 [ アジアや世界の歴史や環境を学ぶ ]