|
外国企業による買収で日本企業は活性化するだろう
(週刊東洋経済 2007/11/22 早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授・野口悠紀夫)
Q:「三角合併」という言葉を最近見かけるのですが、
これは何のことでしょうか?
「三角合併」とは、会社を合併する際、消滅会社の株主に対して、
存続会社の株式ではなく、親会社の株式を交付する方式を言う。
例えば、つぎのようなケースだ。
A社が10O%出資の子会社B社を設立する。
B社は、C社を吸収合併する。
その際、C社の株主に対して、自社株式ではなく、
親会社であるA社の株式を交付して持ち株と交換させる。
これによって、A社が実質的にC社を買収したことになる。
これに関する経緯を見ると、つぎのとおりだ。
企業が買収する際に、買収先の株主に自社株を交付して100%子会社
にするM&A(合併・買収)の手法を「株式交換」と言う。
日本では、1999年の商法改正で国内企業同士に限って解禁された。
さらに、2006年施行の新「会社法」は、企業合併の際、吸収される
会社の株主に、買収する企業の自社株を交付するだけでなく、親会社の
株式などを用いることも認めた。
これによって、外国企業が日本に子会社を作って日本企業を買収する
方式が可能となった。ただし、この部分の施行は、新会社法の施行から
1年後の07年5月からとなった。
なお、税制もこの問題にからんでいる。
現行の税制では、買収される日本企業と外国企業の子公社が合併した段階で、
買収先の資産を譲り受ける子会社も、外国企業の株を株式交換で受け取る、
日本企業の株主も、譲渡益に対して課税される。
このため、買収される企業の株主は株式を交換しただけで課税される可能性
があり、これが三角合併の障害になるとされている。
日本では企業再編を促す為、一定の要件を満たした合併について資産移転
に対する課税を繰り延べ、税負担を軽減する制度がすでに整備されている。
三角合併についても、
「再編によって経済的、社会的なメリットがある時には税制面で優遇する」
という考えに基づいて、いくつかの条件を満たすものに限り課税繰り延べを
認め、株主が外国株を受け取った時点では課税しないようにすることが考え
られている。
Q:なぜ三角合併が問題とされるのでしょうか。
時価総額が大きい企業は、大型買収に
伴う負担が小さく、無理なく買収に乗り出せる。
実際、株式交換にる買収は、海外の大型M&Aの主流となっている。
ところで、欧米の有力企業の株式時価総額は、日本の企業に比べて大きい。
日本では、トップ企業であっても、欧米の巨大企業に比べて株式時価総額が
小さい。
例えば、国内最大の流通コングロマリットであるセブン&アイ・ホールディン
グスの株式時価総額は、米小売大手ウォルマート・ストアーズの約6分の1、松下
電器産業は米電機大手ゼネラル・エレクトリック(GE)の約7.5分の1しかない。
金融でも三菱UFJフィナンシャル・グループは米シティ・グループの約2分の1だ。
三角合併は双方の取締役会の合意を前提にしているものの、外国企業が敵対
的TOB(株式公開買い付け)で日本企業の株数の3分の2を取得して取締役を
入れ替えたあと、三角合併に持ち込むケースも考えられる。
このため、外国企業による三角合併が日本で解禁されれば、
「外国企業が日本企業をつぎつぎに買い占めてしまう」と言われる。
三角合併の解禁が、新会社法の施行後1年遅らされたのも、
このような懸念が経済界に強く働いたからだ。
日本経団連は、株主保護の必要性や、日本企業の子会社化によって技術が外国
へ流出する恐れ等を理由に、日本で非上場の外国企業との三角合併を、株主総会
で通常の合併より厳しい特殊決議の対象とするよう求めている。
しかし、こうした考えは、閉鎖的と言わざるを得ない。
敵対的買収への防衛策として、
「ポイズンピル」(毒薬「敵対的な買収者が一定の議決権割合を取得した時点で、
市場価格より安い価格で株式を引き受けられる」という条件の新株予約権を付与
しておく仕組み)や、
「黄金株」(買収に関わる株主総会決議事項についての拒否権と譲渡制限の付い
た株式を1株だけ信頼できる第三者に対して発行しておくもの)などの手法が検
討されている。
いずれも、会社法施行により導入が可能になった。
しかし、ポイズンピルは、既存株主に利益をもたらすか否かは問題がある。
また、黄金株は、経営者に都合のよい相手に独占的に強権を与えるものだ。
これらは、後ろ向きの対応策と言わざるを得ない。
「株主保護」と言うなら、こうした手法に依存せず、
会社の価値を高めることに専念すべきだ。
___________________________________
三角合併が今年の5月に解禁される。
私の認識としては、反対であり、大変な危機感を持っている。
それは米国政府が、年次改革要望書で再三に渡り要求しているからだ。
グローバル・スタンダード、対日投資という美名の下にワザワザ米国有利の
法の整備をする必要などないのである。
ライブドア事件、郵政民営化法案を政治生命をかけて反対した、官僚出身の
小林興起氏と小泉龍司氏が懐疑的に動いて1年先送りにした法案である。
エコノミストの野口悠紀夫が週刊東洋経済と週刊ダイヤモンドで三角合併に
ついての自身の認識を述べているが、ツメが甘いものの重要な指摘を幾つか
しているにも関わらず、そこには我が国の国益・安全保障という概念が完全
に欠落している。
あるのは日本の経済の視点での利益においてのみ、述べているに過ぎない。
だからこのような発想になるのである。
日本経済新聞の論調と同じ、三角合併の規制を強化すれば、対日投資が減り、
外資に与える印象を損ねると言いたいようである。
この手のエコノミストが首相の靖国参拝の真の意味も、中韓の意図も分から
ずに、「参拝を止めろ!経済活動に害を及ぼすから」と述べるのである。
我が国の国家観・歴史観が著しく欠落しているためだ。
今回は野口悠紀夫の論文に関しての、問題点・無視されている事は取り上げない。
これを読んで見て、その事が分かった方がいたらコメント戴ければ幸いである。
|