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【正論】中国軍事研究家・平松茂雄 (産経新聞 2007/04/26)
温首相訪日で台湾問題浮き彫り
≪最大の解決困難な問題≫
中国の温家宝首相訪日は「台湾問題」が日中間最大の重要課題で
あることを改めて教えた。温首相は国会演説で、安倍首相が中国を
訪問した際に提起した、「戦略的互恵関係」を構築するうえでの
「共通認識」としていくつかの原則をあげた。
その第1は「約束を履行する」ことだとして、「中日共同声明」
他の3つの政治文書に記載された諸原則を厳格に守っていけば、
「両国関係は順調に前進する」と表明。
その中で最も重要な問題は「台湾問題」であり、
「国家の核心的利益にかかわる問題だ」と説明し、
「台湾独立」を絶対に容認しない、と強く述べた。
これに対して、安倍首相は温首相との会談で
「台湾の独立を支持しない」と表明したと報じられている。
「台湾問題」は日米安保条約とともに、この五十余年間の日中
関係で最大の解決困難な問題であった。中国によれば「台湾問題」
の解決を妨害している最大の要素は、米国の軍事力であり、それ
と裏腹の関係にある日米安保条約であるからだ。
それ故建国後の約20年間、中国の対日工作は、日本に中華民国と
断交させ、中華人民共和国を承認させるとともに、日米安保条約の
廃棄を迫るものであった。
だが1972年9月の日中国交回復で、中国は日米安保条約の廃棄
を棚上げし、日本に中華民国と断交させることでひとまず満足した。
≪核ミサイル戦力の到達点≫
日米安保条約の廃棄を棚上げした背景には、中ソ国境に
「100万人の大軍」を配備して圧力を加えていたソ連軍
に対処する上で米軍と日米安保体制を積極的に利用すると
ともに、経済成長を基盤に急速に軍事力を成長させつつあ
る日本を日米安保体制の枠の中に押さえ込んで、日本の
「軍事大国化」を非難しつつ抑制する巧妙な対日工作があった。
それと並行して「中国の市場」に期待する日本の経済界、それと
経済的利害を共にする自民党に働きかけて、急速な経済成長を遂げ、
それを土台に軍事力の迅速な成長を意図した。
とりわけわが国の政府開発援助(ODA)が中国の遅れたインフラ
整備に果たした役割は大きく、その上に中国は現在見るような経済
成長を遂げた。
他方中国は建国以来一貫して通常戦力の近代化を後回しにして、
核ミサイル戦力の開発に国家の総力を集中し、70年代から80
年代にかけて最小限核抑止力を構築し、それを土台に宇宙と海洋
に進出している。
有人宇宙船の打ち上げは、米国が台湾問題に軍事介入するならば
、ワシントン、ニューヨークその他の米国の主要都市を核攻撃す
ると威嚇して、米国に対して中国への核攻撃を断念させるところ
にまで、中国の核ミサイル戦力が到達したことを示した。
今年1月に実施された人工衛星破壊実験は、米国が中国の核ミサ
イル攻撃を阻止するために開発しているミサイル防衛システム
(MD)を運用している偵察衛星を無力化する能力を開発して
いることを明るみに出した。
米国は中国の台湾軍事統一を阻止するために、
中国と核ミサイル兵器を撃ち合うことはないだろう。
≪「台湾」と拉致問題の関係≫
安倍首相は「台湾問題」で執拗(しつよう)な温首相に対して、
日中共同声明の立場を「堅持する」とした上で、「台湾独立を支持
しない」と表明したと先に書いた。
だが日中共同声明は「台湾は中華人民共和国の領土であるとの中華
人民共和国政府の立場を理解し尊重する」と規定していて、わが国
は台湾が「中華人民共和国の領土である」ことを認めたのではない。
いわんや「台湾の独立を支持しない」とは明記していない。
報道によると、今回「台湾問題」を「共同プレス発表」に記載した
のは、拉致問題への中国の協力を記載させた事と交換であったという。
拉致問題の重要性を筆者は十分に承知しているが、「台湾問題」はわが
国の安全保障に関わる最重要な問題であり、同列に論じる問題ではない。
筆者が本欄で繰り返し論じてきたように、シーレーンの要に
位置する台湾は「日本の生命線」だから、台湾が中国に統一
されると、日本は安全保障・経済両面で中国の強い影響力を
受けることになる。
遠くない将来、台湾の軍事統一が現実化し、米海軍の空母が
横須賀から出動する時、「台湾独立を支持しない」と約束し
たではないかと発言するだけで、日本はパニックになるだろう。
中国は労せずして、日米安保体制を無力化し、
「台湾問題」を片付けることができる。
温家宝首相は日本の大学生と野球をしたり、
市民と一緒にジョギングをしに来たのではない。
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〜台湾を守れ!台湾有事と台湾の重要性〜
米国は経済では中国と相互依存関係にあるが、軍事面においては対立をして
いる。米軍は中国を取り囲むような形で、日本・豪州・印度・モンゴル・フ
ィリピン・キルギス等の国と軍事面で関係強化を図っているいるようである。
アジア版、NATOと言うのが適切かも知れない。一党独裁、膨張共産・中国
封じ込めには、多国間での集団的安全保障の枠組みが必要であろう。
この枠国も中にも台湾も含めなければならない。台湾海峡は、我が国のシー
レーンに属する。台湾が中国の手に落ちれば、日本のシーレーンは人民解放
軍の影響下に入ってしまう。その後は、尖閣諸島・沖縄へと中国の魔の手は
忍び寄ることになるからである。
中共は「台湾は中国の一部だ」と声高に主張するが、これは大嘘である。
台湾は歴史上、一度も中国の一部に統治下に入った事はないのだ。
中共の妄言に騙されないような知識を日本人も身に付ける必要がある。台湾
危機が訪れれば、中共のプロパガンダ工作が行われるのは間違いないからで
ある。
北京五輪の聖火リレーで台湾当局が反発した。独立派による牽制であろう。
http://megalodon.jp/?url=http://www.sankei.co.jp/sports/sports/070
427/spt070427001.htm&date=20070501004317
台湾が独立を果たすに打って付けなのが、北京五輪前である。その前に行わ
れる、台湾総統選で独立派の総統が選挙に勝つことが前提となるが、独立派
の総統が誕生した時には、独立気運が高まるの可能性は高いと思われる。
中共は様々な妨害工作を行うだろうが、北京五輪前である以上、ミサイル発
射や核恫喝など露骨な軍事威嚇は出来ない。旧ソ連のような二の舞は踏まな
いだろう。
安全保障では小泉政権より遥かに成果を上げている安倍政権ではあるが、
台湾有事に関しては評価出来そうにない。
平松氏は、台湾有事が起きれば中国は核恫喝を日本へ向けて発すると言う。
核恫喝に屈すれば、日米安保体制は崩壊し、台湾は中国の一部となり、
日本は東アジアで孤立すると主張する。その後には、悪夢が訪れる・・・。
台湾有事の際は、米軍とともに戦う必要性を論じている。
保守層の間で語られている。冷戦時代に西欧がソ連の核攻撃に対して対抗
した核ミサイル戦力、パーシング2や地上発射型巡航ミサイル配備の具体例
としてあげるが、国土が狭い日本が中国の核ミサイルに対抗するには、原子
力潜水艦にSLBMに核を搭載しする形が最も好ましい。
近い将来、訪れるであろう台湾有事に対して、中国の恫喝に屈しない
日本政府と日本人の確固たる意思が必要なのである。
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