|
保守主義インタビュー
(読売新聞 2006/11/22 お茶の水女子大教授・藤原正彦)
今の日本に保守政党は存在しない
自民党も構造改革とかを次々とやっており、もはや革新政党だ。
保守主義とは日本の文化、伝統、習慣、情緒を最も大事にする考え方だ。
特に保守すべきは「武士道精神だろう」。
政治の基本にはそうした考え方を据えなければならない。
安倍首相は、外交、安全保障面では筋が通っており、評価できる。
経済、教育政策はどうか。構造改革と保守主義は両立しない。
日本で米国流の市場原理主義、構造改革を進めることは歴史的な誤りだ。
安倍首相は「失敗してもやり直しができる社会に」と言うが、
負ける者が負け続け、勝つ者が勝ち続けるのが世の習いだ。
「あらゆる規制をなくして公平に戦え。そして勝った方が全部とっていい」
と言うのが米国型の理屈だ。
しかし、日本人から見れば、小学校の6年生が
1年生と公平に戦うことは、許されない。
「卑怯であり、武士道精神の中核である「惻隠の城」と正面衝突する。
弱者、敗者への涙や共感、同情。こういったものがまさに保守主義だ。
ただ、今の日本に、「保守主義」イコール「ナショナリズム」のような
雰囲気があることは気掛かりだ。
日本では「愛国心」という言葉に、パトリオティズム(祖国愛)と
ナショナリズムという全く異質な意味が含まれてしまっている。
祖国の自然、文化、伝統、情緒などを大事にするパトリオティズム
こそが保守主義にあたる。
ナショナリズムは自国の国益を他国よりも優先して追及することだ。
日本のリーダーはある程度それを持たないといけないが、本来は不潔な考えだ。
手あかのついた愛国心を廃語し、「祖国愛」をしっかり国民に育むことだ。
保守主義はバランスを取ることでもある。
英国は米国と欧州連合(EU)の間に立ってバランスを
うまく取るなど、バランス感覚の感覚のチャンピオンだ。
日本は米国よりも英国を見習った方がリスクが小さい。
市場原理主義に一気に走るのではなく、
「ちょっと待て、日本の伝統と共存できるのか」とバランスを取る事が必要だ。
___________________________________
「国家の品格」で一躍、有名になった藤原正彦氏が私の考えを代弁してくれて
いたので、ここに紹介させて戴きました。
郵政民営化法案に反対を貫き、総選挙には落選して、現在無所属の元自民党の
真正保守政治家の城内実氏も藤原正彦氏を称賛して、自身が努めるチャンネル
桜・報道ワイドにも出演されておりました。
この市場原理主義・新自由主義・ネオリベラリズム、小泉竹中改革を支持して
いる保守派は多く、その大半が米国依存主義の親米保守派であり、西部邁氏流
に言わせれば自称保守の人達である。
市場原理主義とは先日なくなった経済学者のミルトン・フリードマンが
提唱される。小さな政府、政府介入を出来るだけなくして、規制緩和と
減税で経済成長を促し、問題が発覚すれば、法廷で争えという自由経済
市場主義のイデオロギーである。
市場原理主義のお膝元の米国では貧富の格差が凄まじく、CEOは年平均
十数億円にもなる報酬を得る。一般労働者は300万から400万程度に据
え置かれ、何年働こうが年収が上がらないといった事となる。
経常利益が上がらなければ、CEOは辞任するものの一生遊んで暮らせる
だけの報酬を得、一般労働者には大規模なリストラを行い、株主の顔色
を伺う経営手法でもある。
中央と地方の格差、正社員と派遣社員の格差、タクシー業界、耐震偽装、
景気回復いざなぎ超えにも関わらず実感がなく、消費が盛り上がらない
のもこの新自由主義の弊害なのである。
|