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被災地に伺うとボランティアをしに集まる若者達、被災した親戚宅を訪れる若者達に驚かされる事が多くあります。
洪水後の床下の泥を取り除く作業でバールが使えないため床板をはがす事ができず、スコップの使い方も知らないので、縁側から腹ばいで床下に潜り込み素手で泥をかき出し、腹ばいのまま両腕を使い人間バケツ・リレー方式で泥を運び出す女子高生グループを見ました。
ガラス片や金属片、汚物が混ざっているはずの泥でジャージはズタボロに裂け、下着が見える状態になりながらも嬉々として作業を続け、その顔は充実感に満ちていました。たまたま、怪我をしなかった幸運な例でしょう。
真夏の震災発生1週間後。倒壊していると知っているはずの実家を訪れた20代の兄妹の事です。
タントップに短パンにサンダル。キャミソールにミニスカートにサンダル。まるで海水浴場を訪れるような服装。
倒壊した実家を掘るボランティアから、マスクと軍手と飲料水をもらい、掘り出された思い出の服に駈けよる姿に何か、おかしいと思う。
自分が向かう被災地がどんな状況で、自分は何をするのか?
目的を達成するには、どんな準備、服装、道具、気構えが必要なのか考える力が欠落しているように思えます。
二昔前なら常識として身に付いているはずの日常の作業能力、条件反射的な危険予防能力が現在の若者達は有りません。
拾い集めたガラス片を袋の上からハンマーや石で叩いて粉々にし、ガラス片が尖っていない安全な状態にし袋が裂けない状態、人に刺さらない状態にする事を多くの人が知りません。
被災地ボランティアに駆け付ける多くの大人達、若者達ですら知らない事に驚きます。
ガラス片のまま袋に入れ運び刺さる事故が、被災地ボランティアの現場では続出しており問題になっています。被災者された方も後片付けで怪我をなされた方が多くいるようです。
水害被災地では水が引いた後に救急車が走り回っています。安全になってからの二次被害が続出しています。
密集した狭い屋内や屋外での集団作業で道具や2m大の床板や木片を持ったまま、周囲の安全を確認しないで突如、振り返り周囲の人に怪我を負わせる事故。
炎天下の屋外作業で少量の飲料水しか準備せず脱水症状で倒れる事故。事前に注意しても理解してもらえないリーダー。
バールやスコップ、ノコギリ、土木作業用手押し運搬車(ねこ車)が使えない人が多く単純作業しかできない。任せられないのが多くの被災地ボランティアの実態です。
「被災地ボランティアに集まる人でさえ、このレベル。一般の人は、どの程度の被災時対応能力が有るのでしょうか?」
震災や洪水。被災者となった時、自分や家族、ご近所で対処するのが基本です。消防のレスキュー隊や自衛隊はすぐに助けに来てくれないと考えなければなりません。
安全で便利な世の中で暮らす現在の生活。特に若者達の条件反射的な危険予防能力と基本的な技能の低下が激しい。幼い頃に痛い体験、血を流した体験が少ないのではないでしょうか?
被災直後のご近所が助け合いながらの救助作業、避難所運営能力、被災後の危険を要する後片付けで必要になる技能の多くは、日常の町内会でする共同作業、道路の脇に流れる生活用水路の掃除、ドブさらいで身につく能力です。
危険なガラス片を拾い、汚い泥の扱い。肉体労働での水分補給、休憩。集団作業での危険回避能力。
様々な性格、家庭の事情があるご近所の人達と付き合う事の難しさ。命令ではなく共同作業のマナー。
それらは、日常の町内会の共同作業で身につくはずです。
親御さん、町内会の人達は、町内の共同作業として道路の脇に流れる生活用水路の掃除を子供も交えて行ってください。
生活用水路が無い都市部に住む方や、町内会との付き合いが面倒な方は、イベントとして公園や海岸、山の掃除や、植林、日曜大工の体験をさせてください。
現代生活は、都会、地方と関係無く、日常体験の中で身につくはずの技能、危険予防能力(痛い体験)が、どんどん減っていくでしょう。30代、40代の大人も能力の低下が見られます。
お子さん達に技能を身につかせてください。それが、お子さん、親御さんの未来を救ってくれる時が必ずあるでしょう。
写真1:左側 春の川掃除風景 :右側 洪水後に側溝の泥を取り除く消防団
写真2:春の一斉ゴミ拾い。ゴミ集積会場
写真3:危険なガラス片
写真4,5:自宅のリフォームで出た建築廃材。サンダル、スニーカーで歩けますか?
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