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里山の四季・春・暗き藪内に赤色映える「やぶつばき」
里山の四季・春・やぶつばき(鳩吹山山麓)
2007年3月19日(月)晴れ
『巨勢山(こせやま)のつらつら椿つらつら見つつ偲(しの)はな巨勢の春野を』坂間人足・万葉集・ 古くから詩に歌われる椿。その詩語に使われる種類は多い。藪椿・雪椿・山椿・紅椿・白椿・玉椿・落ち椿・つらつら椿、などがある。聞きなれない「つらつら椿」とは列を成して咲いている様子を表現したものであって、いかに古くから椿が身近にあったかを示している。
椿は日本原産の植物で、古い時代に中国へ渡った。そこで改良されたものがヨーロッパから世界へ広がっていった。日本でも江戸時代(元禄)になると紫・白・一重・八重・獅子咲きなど改良された品種が登場してくる。そうなると朝廷や武士階級だけに止まらず、庶民にも広く普及した。元禄時代は江戸期の中でも一番庶民文化が華やかな時代であったことも手伝って、地歌(椿尽くし)などに歌い込まれたり、工芸品や絵画などにも用いられ、盆栽などにも新しい品種が加わった。一説によると歌劇「椿姫」は、日本からヨーロッパに向けて送り出された椿の文化が海外で花開いたといわれている。
カタクリ見物の人で埋まる土田公園の喧騒とは裏腹に、だれ一人振り返ることもなくひっそりと咲くヤブツバキの竹林がある。時々空気を裂いて響く音は、竹の裂ける音ではないだろうか。実に静かだ。僅かに光の差し込む竹林の中に真っ赤な花を咲かせていた。私は暗い竹林に足を踏み入れ、シャッターを切った。「パーン・・・」暗い藪の奥から再び乾いた音が響いた。
『竹薮の暗きに映える藪椿』
『落ち椿拾って遊ぶ子らの声』
写真説明
1)ヤブツバキ
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