かつ爺の「山の歳時記」

ゴミを拾いながら徒然に書いた山日記

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万葉の飛鳥を歩くー2

里山の四季・春・万葉の飛鳥を歩く―2

里山の四季・春・時空を越えた恋・「死者の書」の舞台・當麻寺
2007年4月18日(水)曇りから雨

小説・「死者の書」の舞台となった當麻寺
折口信夫著「死者の書」の舞台となった當麻寺(たいまでら)は中将姫の寺ともいわれる。
父親を右大臣藤原豊成の姫君として育った中将姫は、幼くして母親を失い継母に育てられたが継母の虐待から出家の道を選び当麻寺へ入ったとされる伝説の女性。

作家・折口信夫は中将姫が當麻寺へ入山する状況を「死者の書」の中でこんなふうに書いている。
『天武天皇の死後、継母の持統天皇に疎まれ謀反の罪を着せられ殺害された大津皇子が、葬られた二上山(にじょうざん)の墓所で目覚めて、「おれは何処にいるのだ・・・、をを寒い、着物をください。地べたに凍り付いてしまう」と独白する場面から始まる。
そして時代は一挙に百年を飛び越え、奈良時代の後期藤原南家の美しい中将姫が「いい知らぬ胸騒ぎ」を覚え、一夜のうちに奈良の都から二上山の麓の當麻寺に、疲れたように招きよせられる。都では姫が神隠しにあったと騒然とし・・・・・・中略・・・・・。禁制を破った姫は当麻寺にこもり「魂が遊離」したかのように蓮の糸で一心に機を織る。曼荼羅を織りながら、「天井の光の暈(かさ)の中に、冷え冷えとした白い肌で寒さに震える俤人(おもかげびと)」の服を織るような不思議な幻覚を見ている・・・。』この小説はおおむねこのような内容で幕を閉じる。

二人の境遇はあまりにも似ている。折口信夫は、大津皇子の史実と中将姫の伝説とを渾然一体としたミステリアスな世界として書き上げた。

小説の中で中将姫が蓮の糸で織り上げた當麻曼荼羅(国宝)は別の場所に保管されている。展示品は2代目(重文)、3代目は国立博物館に蔵されている。

珍しいことに、当麻寺の本堂の「文亀曼荼羅・重文=室町時代」(絹糸)はこの寺の本尊で蓮糸(はすいと)をつかい織ったものとされているが、真偽のほうは定かではない。そんなことはどうでもよい。問題なのは、本尊となるものが一種の「絵」であり西方浄土の様子を描いたものだということだ。縦横それぞれ4mに近い巨大なものが、きらびやかな須弥檀に安置され厨子の中に懸けられる(国宝・天平、鎌倉)。説明によると「観無量寿経変相図」と呼ぶそうだ。一般的に寺の本尊は仏像である。本尊を絹糸で織った絵はこの寺意外には見られない。

生と死の結界に立つ当麻寺
當麻寺の位置を地図上で確認していて面白いことに気付いた。
二上山を境として西に大阪府河内郡太子町・東に奈良県北葛城郡當麻町がある。太子町には推古天皇・用明天皇・孝徳天皇・敏達天皇・聖徳太子、を祀る御陵が点在する。そして、當麻町と太子町を結ぶ国道166号線は二上山の双子峰、雌岳(474)の南側の鞍部を通り太子町へ繋がっている。都を現在の奈良盆地に作った飛鳥時代の大和人は、金剛山地を結界とみなし西方を極楽浄土、東側を現世と見立てたのではないか。

當麻寺は現世と浄土を結ぶ接点の寺として、本尊に極楽浄土を描いた「観無量寿経変相図」と二上山に沈む夕日に手を合わせたと思うと本堂の立つ位置や、他では見られない本尊を
懸けたことにもうなづくことが出来よう。

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