かつ爺の「山の歳時記」

ゴミを拾いながら徒然に書いた山日記

山仲間が書いた随筆

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木々の声
            中村ちづ子


わが庭のようになってしまった弥勒の山を、今日も歩かせて頂いた。豊かな広葉樹が涼しい木陰を生み出し、これからの山歩きにはもってこいの山である。足を踏み入れれば、花や木々、蝶や虫、小鳥たち、それに山仲間など、かけがえのない出会いの贈られる山。
「ここは本当にいい山ね」
誰もが言うし、私も弥勒の山がない暮らしなど今は考えられない。もちろん、弥勒はまだまだ豊かな自然に溢れている。
私も、通算三桁は歩かせて頂いただろうか。
腐葉土をさくさくと踏みしめている時、心の中に、何か悲鳴のようなものが届く時がある。それは踏まれて消えていった木々の声かもしれない。これが聞こえる時、言葉にすることがある。
「この道、今はこんなに広くて歩きやすいけれど、二十年前はこの三分の一もない狭い道だったよ」
二十年ほど前、まだ幼かった子供たちを連れてよく歩いた山だが、当時は出会う人も少なかった。平日などは殆んど人に出会うこともなかった。伸びた小枝で腕を擦り剥くこともあった。
広くなった山稜の道、いくつも増えた新道、そう言う場所から木の根っこが顔を出し、踏まれ続けている。無残な感じがするが、木はたくましい。
ありがとう。枯れることなくこのまま元気に育ってね、木々に声援を送った。傍らには立ち枯れした松が横たわっていた。この木に育つまで、ずいぶんの歳月を要しただろう。
今は、山道を整備してくれる人がいる。
ただ楽しむ山歩きから一歩進級し、自然の豊かさを守る歩き方を、と諭されたような。
木々の声は、私に自省を促した。

冒険

    冒険         橋本鏡子  

 五月三日ゴールデンウイークの真っ只中、しかも快晴である。鈴鹿の登山に同行することになった。勝川駅でリーダーのYさんの車に同乗する。道路は渋滞していて予定の時間は大幅に遅れ、登り始めたのは十一時になっていた。Yさん、私、Nさん、Tさんの順番で四人の参加者である。五十分ほど歩いて十二時少し前に昼食をとって登ることになった。

 岩石が砕かれたゴロタ道がどこまでも続く。トレッキングシューズというものは車でいうならジープのようなものだ。道が分からないので途中で引き返して来た、という女性二人を、リーダーがよかったら従いていらっしゃい、と仲間に入れて六人で登ることになった。

 山は新緑に燃え、濃いピンクのミツバツツジが全盛と咲き誇る。削られた山肌さえも景色に溶け合って目の覚めるような色彩に、一行はしばしば感嘆の声をあげる。

 頂上に着いた。鈴鹿連峰が盛り上がるように眼前に迫る。こんなに展望がいいのは一年のうちでも幾日もないそうだ。真正面に見える白い塔のようなものが建っているのが御在所と教えられた。山の知識にうとい私は今登って来たのが御在所だとばかり思い込んでいた。鈴鹿といえば後在所しか知らないからだ。羽鳥峰の頂上にいることを始めて知った。
女性二人とそこで別れ、釈迦が岳に向かう。熊笹を掻き分けるようにして歩く。時々稜線の間から望む山並みや下界の景観は例えようもない。頂上まであとわずかのところで三時半になった。明るいうちに下山するためにここで引き返すことになる。

 再び奇岩がいくつも屹立する羽鳥峰の頂上で休憩をとった。
 帰りは沢コース。一つ間違えば身の危険が伴う難所が何ヶ所もあって緊張感にさらされる。リーダーからロープを伝って降りる実地訓練を丁寧に受けた。貴重な体験であり冒険でもあった。

 林道に入りやっと緊張が解けた。熱いお湯を沸かしNさん持参のカップ麺を二つ、四人で分け合って食べた味は絶妙だった。紺碧の夜空に六日の月が出ていた。最高にリフレッシュができた筈だったが、興奮冷めやらず、疲れているのに眠られなかった。

苦痛的快楽

    苦痛的快楽
             中村ちづ子


 先日の鈴鹿山行は、前日の雨が空気を掃除してくれたのだろう。連峰がくっきりと一望できる好天だった。遠いはずの山が目前に見えた。こんなよい天気、一年に数回もないね、と好天に巡り会えた喜びを分かち合った。
鈴鹿の上高地と呼ばれる朝明渓谷、その絶景に今が盛りのミツバツツジ。他に、ヤシオの林立に出会えたものの、その蕾はまだ硬かった。咲いていたならまさに花園、さぞや美しかろうにと、残念でならなかった。。

 御年がばれるが、山に嵌って六年。教えに従いルールを守れば、歩幅を小さくとって足を前に運ぶのみ。運動音痴の私に、山は最適なスポーツだった。途中は本当に苦しいがその先に待ち受けている喜びを、この日も堪能できた。友曰く、これを苦痛的快楽と。

 人生の復路を歩む今、一日一日(ひとひひとひ)が愛しく思える。だから存分に山を愉しみたい。
毎夏、三千M級を三つ踏破したいと目標を定めているものの、柵の雑件や天気に避けられたりと、思うに進まないのが実情。でも、歩み続ければ達成できる・・・。
この日も、まさに心身のサプリメントを存分に服用することができる五月晴れの一日だった。私たちは、束の間、実年齢も柵も忘れ、青春真っ只中にいる気分だった。

 恵まれすぎた空、神は私たちとヤシオの花との縁(えにし)を避け賜われたのだろうか。いやいや、またいらっしゃいと言うことに違いない。

初心者

 
    初心者
           橋本鏡子


 晴天の4月28日、伊吹山登山をした。
参加者はYさん、Iさん、N さんと私の4人である。
私は今まで山歩き程度はしたが、まったくの初心者で本格的な登山は初めてである。
早速鶯のおで迎えだ。

いつもながら登り始めは結構体がきつい。Y、私、N、I という順番で歩いたが、後ろから私の足が乱れて覚束ないと警戒の声がする。そこまで疲れていないのにおかしい。
先頭を歩かされ、歩き方をチェックされる羽目になった。

 足は土踏まずから下ろす。後ろの足を(膝の後ろ)をピンと伸ばして足を踏み出す。蟹股で歩くような気持ちで歩く。と言うベテランのアドバイスを受け,私は意識してそのように心がけた。五合目で休息を取った。登ることだけに必死だったが、体のバランスが取れるゆとりができて、けなげに咲くカタクリ、エンゴサク、アマナ、ネコノメソウなどの花に新鮮な目を向けることが出来た。

七合目から九合目までが伊吹山での胸突き八丁というべきか。登り始めて二時間半、九合目に辿り着いてリュックを下ろした。ここでの眺望は春霞に煙って一幅の墨絵のようだった。お腹が空いている。昼食をとった。日々の生活の中では味わうことのできない感動的な美味しさである。

 腹ごしらえをしてから頂上に到達。残雪で足が滑る。Yさんが「靴を雪に突き刺す」と叫んだ。なるほど、これならば滑らない。さすが登山歴五十年のベテランで、山仲間から師匠と尊敬される所以だ。

 南に霊仙、琵琶湖を望み、北には能郷白山、金糞岳が一望できる。都会で狭い空ばかり見ている私にとって,無限に広がる素晴らしい景観は大パノラマである。そして、この爽快感は一歩一歩足を踏みしめて登り切った者だけに与えられる大自然からの荘厳なプレゼントなのだ。思いがけず山頂で日本武尊の像を拝むことができた。伊吹山登頂の感激に更なる刻印を打てたような気がしてうれしかった。

山あればこそ

 
    山あればこそ
                中村ちづこ


 このブログの管理人を実名でお呼びした事はないと記憶している。
五十歳を人生の一区切りと考えて、人よりはいささか早い退職をした私は、ハローワークから手当てを受けて、尾張の小高い丘の上にあるポリテクセンターで、パソコン操作の授業を受けていた。

 管理人はその同窓生だった。誰が呼び始めたか、彼を師匠と呼ぶようになっていた。
講座が終わる頃にはすっかり師匠という呼び名が定着してしまっていた。
人の面倒見が頗るよい彼に、師匠の呼び名はぴったりだった。

 師匠と呼ばれる時、こそばゆいような表情である。
少々迷惑な呼び名であるかもしれないが、私はおかまいなしにここ数年、師匠と呼び続けている。

 気が付けば、彼は山歩きの師匠になっていたからだ。
山行歴五十年、何事にも慎重な性格。
その門下生である事は、この上もなく私に有益なことだった。

 数年の山行で、実年齢を忘れてしまうほど体力に自信が出来ていた。
心肺機能が良くなり、かっては健康に自信がなかった私も病気とは無縁になっていた。

 師匠とその仲間たちと、山稜で至福の時を共有してもらっているからに他ならない。
山仲間たちもまた、実年齢からは程遠く、みんな体力年齢が若い。
この高齢化社会の時代、体力年齢を守る努力を忘れていない面々だからだろう。

 澄んだ空気を肺いっぱい吸って、琥珀色のインスタントコーヒーを飲む時、人生の憂さはすべて忘れている。

 山は心とからだの健康の源である。
山を歩く事のできる健康に感謝して、山あればこそ、この人生のひとときを大切に歩みたい。

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