山梨県 武田勝頼公資料室

武田勝頼公は悲惨な最期を遂げた 武田滅亡の軌跡

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【伊那高遠城、落城 新府城に危機迫る】『武田勝頼公は生きている』より 著者 平山三郎氏(大和村田野出身)
 伊那の高遠城は勝頗公の弟の仁科五郎信盛が守っていたが、この守りもまた織田の大軍と悲壮な戦いを繰り返した後、三月二日になってついに全員自決してしまったという悲報が高遠から届いた。肉身が守っている最後の砦(とりで)ともいえる城も落ち、一族のほとんどが戦死したり敵方に寝返ってしまった今となっては、未完成の城では到底敵の大軍を防ぐことは覚束ないと知って、勝頼公はガックリ肩を落とした。その日、腹心とされる者を集めて、城内で最後の軍議が開かれた。
 勝頼公は集まった武将の顔を一人一人食い入るように見回してから
「おのおの方も先刻承知のとおり情勢は急迫しており、一刻も綬がせにできない。この先いかがしてよいものか、腹蔵なく意見を述べられよ」
と、言った。しかし、しばらくは沈黙が続きだれとて咳一つする者さえなかった。
 
【勝頼子息、信勝公の考え真田昌幸・小山田信茂・長坂長閉・勝頼の決断】『武田勝頼公は生きている』より 著者 平山三郎氏(大和村田野出身)
 
しばらくすると、信勝公が重苦しい沈黙を破って発言した。
「私は、織田信長にとっては甥に当たる者でありまた、高遠城に攻めてきた城之介信忠にとっても甥に当たりますので、誤解されるかも判りませんが、父上が思われるとおり、この城で決戦することは無理だと思います。しかし今どんなにりっぱな城に立て寵っても、このように血肉を分けた一族や家臣に謀反されたのでは十分の戦力がありません。所詮(しょせん)武運が尽きたと考えるべきです。そこでこの城は延べ幾十万もの甲斐の国の人々の汗と脂を絞って造った城です。捨て去ることはできません。それゆえ私はこの城で武田が累代継承してきた重宝の御旗や、楯無しの鎧などを焼き捨て、一族そろって潔く討ち死することが一番よい方法と思います」
と、言った。
 
【真田昌幸】
 真田昌幸が、これを聞いて口を開いた。「信勝さまのお言葉には感激いたします。しかし、もう一度お家の武運を拓(ひら)く道を考えるべきだと思います。幸い私は、上州の吾妻城を持っておりますから、ひと先ずそこへ行かれてから再挙の術を考えたらいかがかと思います」と言った。
 
【小山田信茂】
 すると、郡内(大月)の岩殿城主である小山田信茂が昌幸の言葉を遮って
「なるほど、吾妻城も、駿河(静岡)の久能城と、わが岩殿城と並んで関東の三奇城と言われ要害堅固ではあるが、何を好んで、この火急の際に他国まで行かなければならない理がありましょう。私の城はここからは至近の距離にあって相模にも近いので、戦局を有利に導く位置にあると確信いたします」
と、言った。
 
【長坂長閑】
勝頼公は、いずれも一理あることと思い、決心し兼ねているところへ腹心の長坂長閑が勝頼公の側に進み寄り、耳打ちをして言った。
 「真田昌幸は三代目の臣、小山田は譜代の臣です。また信玄公時代から二十四将に列する家来でもあり、城は領内に有って難攻不落ですから小山田の言われるのが道理と考えます何の憚ることはありません」と進言した。
【勝頼公の決断】
勝頼公はこの進言を聞いて甲斐の領内の方が安心できると思ったので
「おのおのの意見はそれぞれもっともであるが、余は直ちにこの城を発ち、岩殿城で構え戦局に対処することに決する。今から指示する者は、それぞれ持ち場に帰り再挙の日を待たれよ」
と、言って、それぞれ指示する者を呼んで「真田昌幸は吾妻城に、高坂源五郎は信州(長野)の海津城へ、武田信豊は雪姫を連れて信州佐久の小諸城へ、小幡山城守は上州(群馬)沼田へ帰って命を待つように」と言い渡した。人質曲輪から出した忠臣の人質約百人には、金子(きんす)を渡して思うところに落ちのびて身の安泰を図るように申し渡して城を出した。
 
【人質の殺害】
人質になっている木曽義昌の母と妹と嫡子は、これを監視していた上野豊後守の一隊が、新府に通じる逸見筋の藤井坂井原に    引き出して「固い絆(きずな)で結ばれているお前たちの当主が謀反したことは、武田にとって憎んでも余りある仕打ちである。お前たちを八つ裂きにしても飽き足らぬくらいだ。生かしてはおけぬ」と言って、その場で躍り上って殺した。後日この場所を躍り原と呼んでいるのをみても、いかに憤激して殺したかが窺えるのである。

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