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多くの企業の改革を行ってきたコンサルタントの河合拓による時事ニュースの解説

 ブログを引っ越しています。

http://ameblo.jp/takukawai/

 理由は、このYahooのセンスのないデサインに創作意欲がわかないからです。
こちらはとてもシンプルでうるさい広告もすくなく気に入っています。

 よろしければ覗いてみてください

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 「所有から使用へ」という流れが色々なプロダクトに波及している。今の若い人たちは、例えば税金だらけのクルマなど所有するのであれば、シェアしたほうが良い。家も家族にひとつより複数でシェアしたほうが固定費が安く済む。ついでに、開いている時間も誰かに貸せば稼働率が上がる。

 このようなロジックで、アイドルタイムを埋めてマネー効率を高めるシェアリングエコノミーと呼ばれるビジネスが拡大している。また、これを持って衰退しているファッション業界にもシェアリングエコノミーが拡大し将来のビジネスのカギになるというアナリストも多い。

 しかし、結論から言えば、ファッション業界で、このシェアリングエコノミーは救世主たり得ない。戦略論点としては小さい影響しかないというのが私の見方だ。理由は顧客目線で考えてみればすぐ分かる。

 例えば、冠婚葬祭やパーティー、初めてのデートなど、非日常的かつ非連続なイベントに必要なタキシード、和服(着物)、高級ブランドバッグなどは十分成立するだろう。アイドルタイムが極めて長いからである。実際、丸井などは、「春はパーティードレス、夏は水着と浴衣」がキラーアイテムになっている。これらの衣料品は、カーシェアリングと同様、期間・日程が定まっていて、目的も明確なイベントであるというのが特徴だ。

 しかし、スーツやカジュアル着など普段着の着方は多くの人が「朝起きて、今日な何を着てゆこうかな」とその日の気分で決める。毎朝、アプリで着てゆく服など探していたら、会社に遅刻するし、学校にも行けないだろう。アンダーウエアなど、夏の肌着は、他人のものだと気持ち悪いという人もいそうだ。

 そうなると、ファッションビジネスにおけるシェアリングエコノミーの活躍の場は、冠婚葬祭やシーズナルなイベント、パーティーやデートなど非連続なオケージョンに限られる。産業の圧倒的多数を占めるルーチン着への適応は難しい。

 また、高額品になれば、イベント優先でシェアすればよいと考える人も増えるだろうが、例えば高級時計のように自分の記念碑のような買い方をする人も一定数存在し続ける。最近では、エンゲージメントリングでも振られたときの保全のためレンタルする店もあるそうだが、そのような「例外」をもって全体を語るほど非科学的な分析はない。

 そもそも、そのような非日常的なファッション商品と言うのは、全市場規模の一部でしかなく、その影響が、10兆とも8兆ともいわれるファッション業界にどれだけ変革の影響をあたえるのかということになる。得てして、「新しいもの」が好きな人は、「大きさ」を定量的に語らないし、ファッション業界には数字が苦手な人が多い。ここがファッション業界の最大の弱点だ。

 自動車であれば、タクシー、地下鉄、バスという具合に突発的なイベントに対しても代替が存在するので、アイドルタイムが自分の都合にマッチしなくてもなんとかなる。しかし、スーツの場合、ベルトがクロコで靴が茶のスエード、カバンがナイロンなどという組み合わせはあり得ない。従って、シェアリングエコノミーは非日常的なイベントに必要なファッション商品に限定され、業界再編を語るネタとしてはあまりにおそ松君だ。

 また、シェアリングエコノミーは、結局「もったいない」という気持ちがビジネスを下支えしているわけだから、二次流通品や中古品との競争になる。すでに存在しているビジネスの一つのオプションでしかないのだ。業界再編の主要論点は、生産したプロパー品を如何に定価で売るかというところにある。

 ものごとは「鳥の目」と「アリの目」を両方使い、大きな絵と具体論を別ける必要があるのだが、どうもファッション業界はそのあたりの使い分けが苦手なようだ。

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デジタル化が進むと、旧来型の卸事業が「中抜き」され、中間流通が簡素化されバリューチェーン全体のコストが下がるといわれる。特に日本は多層階になる卸がバリューチェーンに入り込み最終小売価格を大きく底上げしているコスト高とリードタイム長期化の要因になっているのみならず、最終消費者の声が生産者に届かないという「情報の分断」も引き起こしているといわれている。

 従って、ファーストリテイリングが推し進めているよう、究極の製版統合、すなわち工場が直接消費者に商品を届けるというトヨタ生産方式、いわゆるJITを導入しようとしているし、この流れはセブンプレミアムに代表されるように、小売のプライベートブランド化を産業規模で進めている。

 また、逆にメーカーが独自でウエブサイトを開設し、自社サイトで消費財を直接消費者に販売する流れも加速している。特に化粧品などは、メーカーダイレクトのEC販売が卸、小売経由を抜かしているなど産業全体で「卸の中抜き」が進んでいるというわけだ。

 デジタイゼーション1.0の時代は、同一企業内で業務オペレーションの効率化を加速させてきたが、2.0の時代は、異なる企業間どうしを結びつける「流通の短縮化」を加速し、産業のエコシステム化を加速させている。

 それでは、元々卸というのは無価値で必要のないものだったのだろうか。

 生産と販売の中間流通に介在する卸ビジネスには伝統的に以下の付加価値があった。最も基本的な部分から列挙すると、、、

1. 調達機能
リテーラーが気付かないような珍しいもの、なかなか手にはいらないものなどをあらゆるところから探し出し調達する力である。

しかし、この機能はネット時代では競争優位たり得なく、リテーラーどころか、最終消費者がネットを使って直接海外のメーカーにアクセスし、ダイレクトに買う時代になってしまった。

また、こうした「中抜き」防止のために、卸は「商権」(商売の権利、仁義なき戦い風にいえば縄張り)と称して、お付き合いのある取引先にダイレクト取引を防止してきた。こういう縄張りビジネスは既に旧態化しており、やがて淘汰されるだろう

2. バイイングパワーの集約機能
これは、新幹線のバラ売りチケットを思い出せば良い。金券ショップなどで売っている期限付きの安売りチケットだ。

卸がメーカーから大量に製品を購買し、それを複数のリテーラーに「バラ売り」し、調達コストを下げながら、リテーラーの必要な商品を必要なだけ低コストで販売するというモデルだ。

このビジネスモデルは明暗がはっきりしており、競争力の高い製品を独占販売できる場合は非常に儲かる。例えば、靴下の糸などは、小ロット多品種なので、このモデルが成立してきた。

ただし、このモデルは劇薬と化す可能性も高く、これまで商事会社が数多く倒産してきた最大の要因(在庫先行型取引)であり、多くの卸はこの取引を禁止している。背に腹は代えられないような中小企業がリスク取引に手を出してキャッシュフローが悪化するということが繰り返されてきた。

このモデルもいずれネットで同じような機能に代替され、メーカーリスクでネット上で、バラ売りをマーケットに対して行い、複数のリテーラーが必要分を買えるようになるだろう。

3. 金融機能
これは、原材料や商品を調達してから、リテーラーが最終消費者には販売するまでの期間の資産流動性を高めるため、リテーラーに対して「預託在庫」というやり方で資金の収支ズレ(調達資金と回収資金の期間のズレ)を調整するというやり方で、実は、(多くのリテーラーは気づいていないが)最もバリューチェーンの取引を安定化させてきた付加価値である。

特に、日本のリテーラーは中小企業が多く、中期、長期の在庫の滞留に耐えられないことが多く、また、リテーラーの経営者の中にはP/Lしか読めず「キャッシュフロー」という概念さえない人も少なからずおり、黒字倒産という形で痛い目にあうこともあった。

また、リテーラーの現場では決算調整のために過剰仕入れの債務付替えのため在庫を卸に待ってもらったり、酷いケースになると、在庫を一旦返品して簿外管理をしている企業もある。

こうした悪しき習慣は金融機能とはいえないのだが「清濁併せ呑む」ことで、卸がだめなリテーラーの経営のバッファーになってきたということがある(あった)

 これも当然ながら企業統治の強化、会計基準の厳格化に加え、注目すべきはリース会社など、新しい企業がバリューチェーンに参入し、一旦在庫を買い取って滞留期間の資産流動化を支援するというビジネスが立ち上がっている。

特に金利の高い東南アジアで生産しているような企業については、金利の低い国の金融機関が上手に入り込めば、リテーラーにとって金利が下がるのみならず、販売期間を通してフリーキャッシュフローが大きく改善することになる。そうなると、ダークな部分も含めて機能していた卸の役割は益々薄くなるだろう

4. 人材力
実は、卸の最も高い付加価値と言うのは、「有能な人材」を数多く抱えているというところなのだ。冒頭の3つと違い、かなりアバウトな競争力じゃないか、メーカーとリテーラーには有能な人材はいないとうことか、と反論されそうだが明確な理由はある。

一つは、生産と販売というのは目指すべきDNAが異なり、多くのオペレーションがトレードオフの関係にあるということである。例えば、生産を生業とする企業は「稼働率」を高め「単品コスト」を下げることを最優先させるが、販売を生業とする企業はキャッシュフローを最優先させるため必要なものを必要なだけ、必要なときにだけ欲しいと考える。

その結果、卸がバッファーとなって受給調整や金融機能を発達させて来たわけだが、生産の事情と販売の事情の両方に精通し、生産と販売のトレードオフを状況によって解決できる人材というのは極めて少ない。

メーカーの人がプロダクトアウト的発想に染まり、リテーラーの人が過度なマーケットイン思考に陥り無茶や無理ばかりいうというというのはそういう背景がある。

実際、仲卸の重要な機能として、中間流通にいる人材の「問題解決力」が現場レベルでは最も重要な機能となっており、ここだけはデジタルが進歩しても決して代替されるものではないだろう。

ただし、最近のリテーラー(特に巨大化したリテーラー)の中にはグループ内に商事機能を持つ、あるいは商社から有能な人材を、大枚をはたいて引き抜き、グループ内の主要ポストに抜擢するなど人材の内製化を勧めている企業もある。

 このように、伝統的な卸機能と言うのは、いずれのビジネスモデルにおいてもデジタルによって代替されてゆく可能性が高く、大手の総合商社のように商事機能とトレードから金融ビジネス、版権などのソフトビジネスに転換する動きが加速してゆくだろうと思う

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 10月26日の日経新聞によると、「米アップルが25日発表した2016年7〜9月期の決算は、純利益が前年同期比19%減の90億1400万ドル(約9400億円)、売上高は9%減の468億5200万ドルだった。主力のスマートフォン(スマホ)「iPhone(アイフォーン)」の販売鈍化が響いた」とある。

 また、これをもって「成長神話の陰り」という論調が多くを占めるが、本当にそうだろうか。

 我々日本人が経済を語るときは、どしても「輸出」と「物販」を前提に考える。しかし、もはや国の競争は「輸出」でもなければ「物販」でもない。よく考えてみれば当たり前で、我々の目の前にはモノが溢れている。人はもう過剰消費はしないし、むしろアイドルタイムや重複機能を埋めるカーシェアリングや空き家の民泊利用、Amazonの読み放題サービスなどを利用し、ムダのない「賢い消費」が拡大している。無駄を省いてシンプルを求める潮流。あの過剰消費大国の中国でさえ日本の無印良品が流行っているのだから、この潮流は世界的なものだろう。

 MacbookProのアップデートタイミングが遅い、Macbook Airがなくなる、iPhoneが売れなくなる、というのはみな20世紀型の発想だと思う。

 スマホは生活の城下町となる。

 一昔前、土地土地にはお城があり、城下町があった。城下町の住民は重い年貢を課せられ重労働を強いられながら「殿様」に年貢を納めていた。

 今、カーAV、ゲーム、ナビ、コンデジ、クレジットカード、書籍、新聞などは、すべてスマホの「アプリ」となっている。そして、これらの産業は、将来、OSベンダーにアプリを供給し、売上の何%かを払うモデルになってゆくだろうと思う。あたかも、その昔、百貨店がテナントから売上の30%を受け取っていたように。こうしたOSベンダー -プラットフォーマーともいうべき存在が、「産業のアプリ化」と集約化を進め、アップル、Amazon、グーグルなどによって陣地の取り合いをしているのが今の状況だろう。お金の儲け方が21世紀型に変わってきた(ゆく)わけだ。

 ハードウエアが売れるとか売れないとかで、騒いでいるところがもはやセンスがないと思う。世の中の流れ、ビジネスモデルの変化、そして、今ハイテク企業がやろうとしている戦略、方向性を正しく読み解きたい。このままでは、アメリカ城の城下町住民になり、重い年貢をアメリカに払い続ける国になる可能性が高い。それほど、スマホの生活への影響はこれからも浸透してゆく。

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 Japan SC todayという雑誌から依頼を受け、混迷するアパレル業界再生の決定版といえる論考を書き上げました。

http://www.jcsc.or.jp/cat_magazine/p_20161028_5943

 当初、4000字で頼まれたのですが、気づけば6500字を超える論考となりました。
練りに練り上げ、かなりのインサイト、あたらしい切り口が提示できたと自負しています。なかなかマイナーな雑誌ですが、11月1日に発売となります。ぜひ読んでみてください。

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 生鮮食品をメイン商材とするスーパーがネットスーパーを立ち上げ利用者が拡大している。Amazonも米国でコンビニ事業に進出し生鮮食品を扱うという。

 日本でも、買取モデル中心の「スピードのAmazon」、モール型モデルの「品揃えの楽天」、「ファッションのZOZO」、「中古品ヤフオク、メルカリ」という具合に、消費者に使い分けが進み、もはやこれ以上の機能拡大はカニバリズムをおこすだけ、というところまできているため、残されたホワイトスペースは「生鮮食品」のみとなっている。

 私であれば、この生鮮食品を中心軸において消費者にとって最も利便性が高い戦略とは何かを考えるのだが、単に、グループ参加の企業をポイントカードで結び、買い物を回流させるだけ、結果的にAmazonや楽天に差別性を持たないやり方が多く、これでは先はないと私は思う。

 例えば、私であれば「クックパッド」のようなアプリと連携させることを考える。クックパッドで「すき焼き」を食べたいと考える。クックパッドには材料とレシピ、そして住所から近所のスーパーの特売情報まででてくるから、ここから「長ネギ」、「糸こんにゃく」など必要な具材がわかり、ボタンをおせばヨーカドーやセブンイレブンから必要な具材を仕入れ、ワンパックで注文できるという仕組みだ。

 出荷先は、自宅配送と近所のコンビニで受け取るかいずれかを選択できるようにする。将来は家電はIOTで結ばれるだろうから、冷蔵庫の中身もスマホで見えるようになる。例えば、「タマゴは冷蔵庫に3つ残っている」とか「焼き豆腐は一斤ある」などの情報も分かるようになるだろう。そうすれば、足りない具材だけを注文することが可能なのだ。

 GMSは、なぜコンビニエンスストアが好調なのかを考えて欲しい。一つは、魅力的なプライベートブランドが増えてきたこともあるが、もう一つは「お一人様」の増加、ハンバーグや唐揚げなど「単品」の需要増加が背景にある。しかし、これらは高カロリーでジャンクなものが多い。また、今は男性、女性ともに健康志向が強く自宅で自分で調理をしたいという層が広がっている。しかし、(私のように)急に料理に目覚めた人間が料理をはじめてスーパーに行っても、買い物さえろくにできない(量が分からない、特別な調味量の場所が分からないなど、そもそもスーパーに行くのが面倒くさい)など、途中で折れてしまうのだ。

 もし、仕事中に「今日は家でペペロンチーノを作り、白ワインで食べよう」とひらめいて、スマホからクックパッドを開き、必要な食材をワンパックで自宅の近くのコンビニで受け取れたら。。。

 私は会社帰りに食材を近所のセブンでうけとり、自宅で腕を振るってとびきりのペペロンチーノをアルデンテでつくる。ワクワクする。

 私は生鮮食品ビジネスに革命が起きると思う。また、こういう発想こそ差別化戦略だと思う。

 そして、こうしたことはコンビニとスーパーを配下に持つ、イオン、セブン、ローソンなどは十分できるはずだ。しかし、なぜか企業の人達は、米国で「コインロッカーで受け取る」とか「ガソリンスタンドで受け取る」といって、日本では考えられないようなことを真似したり、カスタマージャーニー、カスタマーエクスペリエンスなど、横文字で分かったような、分からないような気になっていたりとちぐはぐ感を感じてしまう。

 上記戦略は、Amazonや楽天など、実店舗を持たないEC企業ではできない戦略だ。いずれどこかがやると思うが、個人的に是非実現してもらいたいので書かせていただいた。

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macOS sierra

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macOS sierraがリリースされた。無料ということで早速インストールしたのだが、これがすこぶるよい。

何が良いのかというと、全バージョンのEL Capitanとほとんど変わらないところ、使い続けていると微妙に使い勝手が進化していたり、シンプルになっていたりしているところだ。なんの違和感もなく、というか、ひょっとしたら何も気づかずに sierraを使っているかもしれない。しかし、確実に使い勝手はよくなっており「あ、ここデザインよくなったね」とか、「こんなにシンプルになったんだ」というところが彼方此方に見える

特に、写真やメッセージなどはiOSと機能が重複しており、操作も自然だし、なにより全体的に安定感というかキビキビ感もでてきた。(新しいOSだからかもしれないが)

このOS、Apple payやWatchとの連携など、これからAppleの新サービスに足を踏み込む人に、ジワジワと良さが伝わってくるように思う。マイクロソフトのアップデートは、前バージョンの見る影もないほど違うものになるが、macOS のように基本的な構造は変えず、アプリの使い勝手の良さを進化させるとか、他のデバイスと連携させるというのはとてもうまいやり方だと思う。(しかも無料)

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昨日、8月7日米国サンフランシスコにてアップルのスペシャルイベントが開催され、アップルウオッチ シリーズ2と、iPhone 7が発表された。

内容に関する詳細は、他のメディアに譲るとして、最もがっかりしたのは噂のMac Book Proが登場しなかったことだろう。また、アップルウオッチ シリーズ2も、期待していたほど大きな変化もなく、あえて言うなら「防水になったこと」と「GPS」が内蔵されたことだけだ。

 噂の「薄型化」や「長時間のバッテリーライフ」などはなく、大きく使い勝手が向上したとは言いがたい。また、ポケモン GOがアップルウオッチで使えるようになったというプレゼンが冒頭でなされたが、「とうとうアップルもここまで落ちたか」というほどセンスのないものだった。アップルウオッチ シリーズ2の世界販売は期待できないものになるだろう。

 これに対して、正常進化とも言えるのがiPhoneだ。特に、カメラの進化は著しく、二つのレンズを搭載することで望遠の「ボケ」を演出することができ、いよいよ一眼レフの市場に侵食してくるほど進化を遂げている。また、音はステレオとなり、こんな小さなデバイスで音楽など聞くのか、という昔の常識を打ち破る方向に進化をしていっている。ヘッドフォンのワイアレス、ブルートゥース化は、すでに予想されており、BEATSやBOSEが次々にワイアレスヘッドフォンをだしている現状をみれば、当然こうなるだろうと予想がついた。

 防水や防塵に加え、大きな期待はフェリカの採用だ。これは、Suicaやクレジットカードを登録しておくと、iPhoneで電車の改札口を通り抜けたり、クレジットカード代わりで決済ができる。ガラ系が数年前にすでに実現していた技術だが、日本独自の仕様のためアップルの採用は遅かった。私のように、クレジットカードにマイレージやステータスを登録している人はどうなるのか、まだまだ進化の途上だがいずれ、そうした付加価値情報も取り込んでゆくだろうし、各店舗が独自に発行しているポイントカードもすべてiPhoneに取り込まれてゆくだろう。

 個人的には、ブラックカラーはそそるものがあった。

 さてさて、正常進化をとげたiPhoneだが、大きな問題がある。というのは、これらの情報は、すでに一ヶ月ぐらいまえから全てリークされており、ほとんどの人が知っていたということである。スティーブ・ジョブズ時代の「One more thing」や「サプライズ」は考えようもなく、すべてが予想されたものだったということだ。せっかく、内容としては非常によい方向にいっているのに、情報管理の甘さからなのかサプライズが無かった。

 また、やはりMac Book Proに期待していた人は「あれ?」となったに違いない。すべて演出が期待値を下げてしまったという感想である。個人的な感想を言えば、ティム・クックになってから、スティーブ・ジョブズ時代のような「これでもか」というぐらいの新製品ラッシュがなくなり、「小分け化」が進んでいるような気がする。やはり、アップル社員の気持ちはまったく無視して言わせてもらえば、スティーブのようなStay foolishな独裁者が舵取りをしたほうが、「アップル、ここまでやるか」というショーが見られるのかもしれない。

 優等生になり、情報漏えいが問題視さらるアップル。それでも、プロダクトは魅力的なのだから、魅せる技の復活を期待したい。

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ザ・会社改造 三枝匡

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 三枝匡さんの代表三部作に続く、四冊目の会社復活ストーリー。前作三部作は複数の事実を集めたフィクションという形式をとっていたが、今回は「ミスミ」を実名で登場させ、社長就任から現在に至るまで、500億から2000億(当時の4倍の成長を遂げる)までの道のりを描いている。内容は、美談ばかりでなく誤った判断、致命的なミスなどもあますところなく表記しているため、主人公「三枝」以外は仮名となっている珍しい形式のノンフィクション。

 内容は、これまで同氏が三部作で繰り返し述べてきた「タイムベース理論」を中心に、製造(トヨタ生産方式)と販売(コールセンターの集約化)の改革をメインに描いている。流石に、ハンズオフの評論家(野党と呼んでいる)と違い、ハンズオンを心情にしている同氏らしく、内容は極めてリアリティがあり現場感に溢れている。

 個人的なことだが、私は「三枝三部作」を穴が空くほど読み込み、コンサルタントとして最初に手がけた静岡の工場の再生に成功した時に「バイブル」としてホテルに持込み、毎晩のようにチェックリストをつくって、同工場の黒字化を半年で達成した経験を持つ。三枝氏に憧れターンアラウンドの道に入り同氏から計り知れないほどの影響を受けた。

 私も一人前になりいくつかの再生案件を手掛ける中、改めて三枝氏の最新作を読み、本当にこの人はすごい人なんだと関心した。企業改革を「戦争」と捉え、改革の打ち手に「軍事用語」を使うところなどは同氏の特徴だ。そこに、米国帰りの科学的アプローチが加わり「情」と「理」を鼓舞するところが、同氏の本が時代を超えて人に愛され読み継がれてゆくところだろうと思う。

 特に、日本企業が海外で「ちまちま病」に陥り、大した成果も上げられないでいるというところは、私の専門領域である、日本のアパレル企業の人たち全員に読んでもらいたい。課題の構造は全く同じだと感じ、多いに勉強になった。ユニクロが柳井氏が社長になった瞬間海外が成功したのはその証拠だろう(同社は未だに米国では赤字だが)

 今、私は、B2Cの改革、再生を手がけているが、もし、三枝氏が今のB2C企業を手がけたらどうなるだろうという思いはある。というのは、現在の日本のB2Cの企業改革の論点は、同氏がいう「創る、作る、売る」という「くるくる回し」のスピードが論点ではないからだ。特に、産業として将来が危ぶまれているアパレル業界は「くるくる回し」の議論は20年前にSPA / QR という概念で決着がついた。

 そして、その結果、業界は同質化に陥り、消費者の過剰とも言える「買い替え需要」を前提に産業が必要以上に膨れ上がり、超供給過多となっている。このような特殊な状況下に置いて、バリューチェーンの垂直統合、およびタイムベース理論は競争優位足り得ない。むしろ、全く新しいサービス、業態開発による新規需要の創出が期待され、同時に、アジアを中止とした国際化も果たさなければならない。

 その意味で、三枝氏の再生のレシピは、やはり一定の需要に支えられたB2Bの業界に当てはまるという特殊性を指摘することができるだろう。同氏が絶賛するDELLはスマホにやられスピードそのものが競争優位ではないし、カンバン方式を掲げるトヨタも、EV技術などイノベーションが、オペレーション優位と合わさって競争優位を出している。オペレーショナルイフェクティブネスそのものが競争優位の必要十分条件ではない。その意味で、同氏がいう「プロ経営者はどんな業界でも結果を出せる」というのは、やや言いすぎだろうと私は思う。(僭越ではあるが)

 そんなことを感じながら、本書を読み進めたが、同書から我々が学ぶところは非常に多い。最初からITを勧めてくる改革者は偽物だ、人は同じ作業のみを専門でやると全体が見えなくなる(セル生産方式)、特に、繰り返しこの本ででてくる「切断力」の使い方など参考になるところは多い。

 ただし、高度に「プロ化」されたファームや投資銀行のような組織で、トップが切断力を乱発するとプライドの高い従業員はすぐにやめてしまうだろうと思う。こういう組織は、切断力よりもロジックや合理性、明朗性のほうが大事だ。また、ミスミのような業態は金型のようなプロダクトを愛する人は少なく、むしろ「経営塾」としての場に期待する人が集まっている気がする。私の専門のアパレル業界はこの逆で、ブランドが好き、服が好きという人で構成されているため、三枝式のレシピはそのまま通用しないだろうと思う。日本の工場のように、上意下達型業態で成り立つトップのスタイルだと思う。

 やや批判めいた意見が多かったが、それでも同書の内容が素晴らしいことにはかわりない。三枝氏を神と崇めるのでなく批判精神をもって読み進められれば、同書の味わい方は何倍にもなるだろうという意味を込めて。

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 アベノミクス、金融緩和、ヘリコプターマネー。言葉が一人で踊っている感があり、おそらく多くの国民も一体何が起きているのか理解できないだろうと思う。

 連日騒ぎ立てる株価や円相場も一般庶民にとっては関係ない。ただ、将来は明るくない、日本は破綻するという漠然とした不安をもっているだけだ。貯金をしてもダメだから投資をしなければならないといわれる。しかし、日々の生活で精一杯で投資などする余裕もない。慌てて貯金を取り崩したり家のお金をかき集め、ちょっと上がっている株でも買ってみようかと株式投資に手を出したは良いが、株価は徐々に下がり大損。

 「なんだこりゃ」と怒りは沸騰。

 金融の専門家がいうことは難しくてよくわからないが、政府がやっている意味不明な政策も、すくなくとも自分の生活には全く響かないことはわかった。新聞を見ると経済学者もアベノミクスは失敗だったという論調が多くなってきた。給与は上がらない、将来は不安、株式投資もうまくゆかない。いったいどうしたらよいのか。。。

 おそらく、大多数の国民がこんな感情をもっているに違いない。

 今の状況をものすごく単純化していうと、日本政府は「ものの値段」を上げたいのと、「円の値段を下げたい」という二つをやろうとしている。ユニクロやニトリ、ABCマートのように、「ものの値段」を1/3ぐらいにしたりして、服や家具、靴の値段が下がることは(少なくとも)我々消費者にとって別に悪いことじゃない。むしろ、歓迎すべきことだ。

 しかし、日本政府はそう考えない。ものの値段が下がればカイシャの業績が落ち不況になる。不況になれば雇用も減って社会不安が起きる。税金も取れない。

 日本の円が高くなると輸出がやりにくくなる。外国から安価なものがたくさん入ってくるので、日本のカイシャは世界にむけて商売がしにくくなる。カイシャの業績が落ちて不況になる。税金も取れないし借金も増える、と。

 そこで、お金を沢山すったり株を買ったりして「ものの値段」を上げようとしているわけだ。

 さて、こう考えてみた時、「あれ?おかしいな」と感じないだろうか。
 「ものの値段」ってどうやって決まるんだろうか、と。

 例えば、島にあなたが住んでいる。リンゴを食べたいと思って周りを見渡すと、Aさんがリンゴを売っていた。他には誰も売っていないようだ。Aさんは、「リンゴ一つ500円
」で販売していた。他にリンゴを買う方法がないのだから、Aさんから「言い値」で買うしかない。あなたは、リンゴに500円を払って買うわけだ。

 それを横目で見ていたBさんが、リンゴを400円で売りだした。リンゴの仕入れは100円ぐらいだったので400円で売ってもボロ儲けである。当然、あなたはリンゴが欲しくなればAさんでなく、Bさんから買うようになる。Aさんも「これは大変だ」とばかりに、仕入れたリンゴが腐る前に、リンゴを値下げする。そうなるとリンゴの値段はどんどん下がってゆく。実は、今の日本の状況はこんな感じなのだ。

 具体的に考えてみよう。

 今、あなたの周りに「欲しいのだけど手に入らないもの」ってあるだろうか?テレビや冷蔵庫? テレビは10年前に買った液晶テレビで十分だ。服? 去年、たっぷり服は買ったのでタンスにたくさんある。ちょっと我慢すれば今年でも十分着れる。どうやら服もいらない。

 毎日の食材。これは、毎日必要だ。キュウリ、鶏肉、ビール。さて、どこで買おうか?最近はAmazonに頼むと当日に持ってきてくれる。近所のスーパーも良いが、面倒くさい時はコンビニのが近い。最近、コンビニも値段が下がってきてスーパーと変わらない。さて、Aで買おうかBで買おうか、、、

 こういう状況(上記のリンゴの状況)だろう。そういう時に、「ものの値段」って上がるんだろうか?むしろ、私達の周りには不要なものや同じもので溢れていて、ここしか売っていないとか、ここしか買えないというものはない。そんな時代に、無理やり「ものの値段」を上げるとどうなるか、ということである。

 ものすごく馬鹿げているのは、お金の単位を明日から変えてしまうことだ。1000円と書かれているお札の価値を、いきなり10000円にしてしまう。そうなると、300円のリンゴが1000円札で3個買えたのが、10000円にしないと買えなくなる。その代わり、国民に大量に10000円札をばらまくわけだ。

 確かに「単位」は変わった。しかし、ゼロが一つ増えただけでリンゴはどこでも買えるし、そもそもそんなに簡単にお金の価値を勝手に変えられると、今まで貯金していた財産が一気になくなってしまう恐怖におののく。今はこういう状況になっている。

 それではどうしたらよいのか?

 答えは簡単ではないが、方向性ははっきりしている。「まだ行き渡っていない商品やサービス」を作り出し、島の最初のリンゴのように、誰もが高くても欲しくなる状態を作ることである。登場したときのiPhoneが良い例だ。所得が日本の半分以下のタイに行っても、みんなが数万円もするiPhoneを持っていた。これはすごいことだ。iPhoneは便利だからみんな「高くても」欲しがる。日本企業に、こういう「新しい市場。新しい需要」を創出するように頑張ってもらわなければならないし、我々の資産も、そういうことをやろうとしている企業の株に振り向ける必要がある。

 しかし、周りを見渡してみよう。カーナビ、出版、電話、テレビ、映画。最近ではスーパーなどまで、すべてスマホのアプリになっている。そして、それらのアプリを作っているのは、全てアメリカのカイシャだ。SONYがAR技術をつかってゲームで儲けそうという感じで株価を上げているが、これまでの歴史をみれば数年後、あるいは、数十年後にはプレステもARもスマホかタブレットのアプリになっているのは明らかだ。

 やがて、日本の上記のようなカイシャは限界に達し、アメリカのソフトウエアのカイシャにまるごとやられてしまう。昔書店だったAmazonは、ネットでなんでもやり始め、日本で一兆円の売上を上げている。セブン&アイなどのGMSがオムニセブンだと声高に叫んでも、私は見たこともないしAmazonや楽天で十分満足している。Googleは、次々と無料で面白いアプリやサービスをスタートし、私のパソコンやスマホの中はGoogleだらけになってしまった。

 この状態は、島で最初にリンゴを販売したAの状況である。少なくとも、日本のカイシャは競争にも参加していない。人件費の安いアジアのカイシャより、すこし丁寧に作っていますとか、品質が良いです、と言いながら3倍とか4倍の値段で売っている。また、円安に誘導し高いコストをごまかしている。

いずれ円高になれば化けの皮が剥がれ、国民がユニクロやニトリに殺到するように、アジアの安いカイシャにやられるだろう。実際、スマホやパソコンは、日本のカイシャは韓国や台湾のカイシャにやられまくっている。

 こういう状況の中、本来は

1.世界で競争できる日本のあたらしい産業を生み出し、世界から稼ぐ(円安に神頼みのジャパンブランドでなく)

2.あるいは、日本の少子高齢化をくい止め、国内の消費総需要を高める

 のいずれかしかないはずだ。簡単ではないが方向感は難しくもない。誰が考えてもわかる単純なことだ。島のリンゴの例の最初のAの状態をつくることである。

 昨日、テレビを見ていたら、なんと日本には空港が100もあり、そのほとんどが赤字だという。空港をつくれば一時的に仕事が発生するからだ。また、その赤字を補填するために意味不明な税金をとり補填しているのだという。だから、日本の飛行機チケットは世界一高いようだ。こんなことを続けていてまっとうな状態になるのだろうか。

 少子高齢化対策、年金、雇用など将来不安解消、日本企業の世界化支援、あるいは優良な外資企業の日本誘致、意味のない公共事業の是正などやることは山のようにあるはずなのだと思うのだが。。。

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