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小島克博・中島 考・手島勲矢著
原理主義から世界の動きが見える キリスト教・イスラーム・ユダヤ教の真実と虚像
PHP新書 780円
この本は、原理主義という言葉がどのように生まれ、どのように理解され、どのようなコンテキストの中で語られてきたか、ということを分かりやすく、勝つ丁寧に解き明かした本です。
一般向けの本であるだけに、若干ジャーナリスティックな表現も見られますが、表現の部分は別として、事実としては非常に丹念にどのような環境の中でどのような意識の中で、キリスト教原理主義が生み出されてきたのか、その人々が持っていた意識とはどのようなものだったのか、ということを非常に分かりやすく明らかにしています。
また、現在のようなコンテキストの中で、原理主義が語られるようになった経緯と、それがもともと誇りを持って語られ、用いられていた意味から大きく異なって、一種の蔑称になってきていることを示しています。(こうなっても仕方ない頑なさをブラザレンの諸先輩方は持っていたと思いますが)
この本の中に、ジョン・ネルソン・ダービー、ムーディの立場について、そして、それが後の原理主義者にどのような影響を与えたのか、ということが書かれています。
とはいえ、この本の重要性は、ブラザレンや原理主義自体を否定的に、切って捨てているわけではなく、プロテスタント自体がそもそも原点回帰の意識から始まったと意味で、カルビンもルターも原理主義と考えることが可能であること、そしてカトリックの中にも原理主義的な要素があることを示しています。
また、この本を推薦する理由は、ユダヤ教自体の歴史的変遷をたどりながら、イスラエル建国とシオニズム運動を単に陰謀史観として捉えるのではなく、ユダヤ教の理解の変遷がいかに彼らの建国、イスラエル国家の理念に影響したのかを示しています。
後、もうひとつの重要な視点は、手島先生の指摘で、問題なのは、原理主義ではなく、教条主義、あるいは心の狭さであるという指摘だと思いました。これは、ブラザレンを考えていく上で、非常に有効な指摘だと思いました。
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