ブラザレンについての諸断章

このブログは、プリマスブラザレンに関する個人研究の成果なんかを書いています。所属集会(教会)の公式見解ではありません。

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2012年04月

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中村敏さんの


日本プロテスタント海外宣教史: 乗松雅休から現在まで 


が新教出版社から出ていますが、今回は、この本の一部を紹介しながら、ブラザレンと福音宣教、とりわけ、海外伝道をめぐる考え方について、考えていきたいと思います。

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このプリマス・ブレズレンの教えは、1888(明治21)年にイギリス人宣教師(H・G・ブランドによって日本に伝えられた。ブランドはケンブリッジ大学に在学中にプリマス・ブレズレンの信仰に入り、卒業後単身で日本に伝道のためにやってきた。教派主義を否定し、聖書の教える純粋な教会の在り方を解くブランドに共鳴した諸教会(とくに日本キリスト教会・日本橋教会)の信徒たちが次々と自分の教会を脱会し、ブランドのもとに加わった。そのために当時日本の教会でプリマス・ブレズレンというと、「教会荒らし」の代名詞のように用いられた。

この時明治学院の神学生であった乗松は日本橋教会で奉仕しており、事情で休職していた牧師に代わって、ブランドのもとに走った人々を説得する立場であった。(中略)乗松もプリマス・ブレズレンの群れに身を投じることとなった。こののち彼は明治学院を中退し、以後日本各地で直接伝道の生活を送り、彼を通して多くの人々が信仰に導かれる。

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しかし、確かにこの時代から、各地の既存教会の信者さんの切り崩しに近いことをしていたんだなぁ、と改めて思いました。その意味で、なんとなく、今のJWのグループとよく似ている雰囲気が漂います。

ま、単身身軽に伝道に出て、組織からの支援を期待しない、Faith Missionを地で行く感じですが、これもさすが、キリスト教界のゲリラ部隊みたいな側面があるプリマス・ブレズレンだなぁ、と思います。

脱会した信者さんを説得する乗松が、説得されてしまったのは、ミイラ取りがミイラになったような感じですが、日本国内でも伝道活動を熱心にしていたようです。同信会さんのサイトには、このあたりの伝道活動の記録がきちんと載っていますが、旅館を借りたり、路傍で伝道していたようです。行き交う街の人々に呼びかけながら伝道する、という伝道の方法が、伝道のための主要なメディアだったようです。

現在でも、伊勢崎のあたりのキリスト集会の関係者が、年に1回か2回程度、東京都内での路傍伝道をするイベントをしておられるようです。ちなみに、私はビラ配りをしたことがありますが、行き交う人相手に伝道した経験はないです。はい。 


中村敏さんの


日本プロテスタント海外宣教史: 乗松雅休から現在まで 


が新教出版社から出ていますが、今回は、この本の一部を紹介しながら、ブラザレンと福音宣教、とりわけ、海外伝道をめぐる考え方について、考えていきたいと思います。

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乗松は、卒業後家族や藩(松山藩)の期待を受け、立身出世の道を目指して上京した。まず東京の根岸にあった松山藩の学寮で学んだ後、神奈川県庁に就職した。この時彼が下宿した家の老婦人が、日本最初のプロテスタント教会である横浜海岸教会(最初は日本基督公会)の熱心な信徒であった。彼女に連れられて教会にいって以来、乗松は熱心に求道生活を続けた。そして、1887年(明治20)年に、横浜海岸教会で稲垣信牧師から洗礼を受けた。時に乗松24歳であった。

中略

しかし、(明治学院神学部)卒業を前にして、そのころ日本に入ってきたプリマス・ブレズレンの教えとの出会いが、その後の彼の生涯を大きく変えたのであった。プリマス・ブレズレンとは、19世紀の初期にイギリスのプリマスで始められた信仰運動である。J・N・ダービーがその主唱者で、互いをブレズレン(兄弟たち)と呼び合った。当時の英国教会は形式主義に傾きがちであったが、彼らは制度や儀式、信条にとらわれなかった。彼らは特定の教派を作らず、聖書のみに絶対的な権威を認め、職業的教職制度を認めず、日曜日ごとに聖餐式を守り(「主のテーブルを開く」といった)、熱心に伝道した。アイルランドので信仰と祈りのみに頼って数千人の孤児を養った有名なジョージ・ミューラーもこの群れの一員であり、海外伝道に熱心であった。

同書 p.14
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乗松は、坂の上の雲で最近話題の秋山真之や正岡子規の先輩にあたり、秋山好古の後輩にあたる人物で、松山藩の学寮という意味では、まさに、秋山・正岡の先輩筋にあたる人物ですが、横浜で、ヘボン(ヘップバーン)が始めた横浜の教会にいたようです。その意味では、教会史的には、植村正久の後輩に当たる人物といってよいでしょう。

このころの明治学院大学は、明治・大正期の主要な伝道者を養成している学校でもあり、乗松もその一人であったということのようです。

何より、このなかを読んで思ったのは、プリマス・ブレズレン(プリマス・ブラザレン)は、ほとんど存在を知られておらず、解説がいるほどの教派であり、中村さんがその特徴を(女性信徒は、頭にベールをかぶるという特徴を除いて)非常に明白にとらえているのが面白かったです。その意味で、上に書かれた中略以降の部分が、他のキリスト者集団との明白な区別、とも言えるように思います。

他の方の視点が結構、ポイントを突いているので、ブラザレンの特徴の概略を知るのに非常に参考になるように思います。上の中村さんの記述は、その参考例として案外重要かもしれません。
中村敏さんの


日本プロテスタント海外宣教史: 乗松雅休から現在まで 


が新教出版社から出ていますが、今回は、この本の一部を紹介しながら、ブラザレンと福音宣教、とりわけ、海外伝道をめぐる考え方について、考えていきたいと思います。

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1921(大正10)年1月に乗松が小田原で57歳で昇天した際、朝鮮で彼に導かれ伝道者となった。朝鮮人2名が朝鮮から駆けつけた。その一人、金太熙が葬儀の席で涙ながらに語った乗松への思いは参列者一同を感動させた。

イエスキリストは神様であるのに、人とおなりなされた。この愛に励まされて乗松兄は朝鮮の人を愛しました。世の中には英国人になりたい人たくさんおります。米国人になりたい人たくさんおります。(中略)けれども乗松兄は朝鮮の人になりました。この愛はいかなる愛でありましょうか。

おりしも朝鮮人が過酷な日本の植民地支配に耐えかねてついに立ちあがった3・1独立運動から2年足らずの間であった。多くの朝鮮人にとって日本人は無慈悲な征服者であり、不倶戴天の敵ともいうべき存在であった。そうした歴史的文脈での金の思いに、乗松の朝鮮伝道の在り方が余すところなく示されていると言えよう。

同書 p.13
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この記述を見ながら、従来尊敬をもって接してきた、朱子学をはぐくんだ礼節が重要であった国家であった当時の中国で、アヘン戦争期以降の欧米列強のやりたい放題の様を見せつけられていく中で、福沢諭吉君は脱亜入欧をいち早く果たし、朝鮮半島、大陸に対して優位に立とうとしていたそれこそ、坂の上の雲を目指して歩んでいた時代背景の中で、この金さんの表現は非常に重要だと思います。ともに朝鮮の人を神が愛した人として対応しようとした乗松の姿を見るようだと思います。

福沢諭吉が、学問や殖産興業、富国強兵を図り、欧米に比肩しなくとも、アジアの中でトップになることで、朝鮮や中国(当時の清朝)を指導するような立場を目ととしていたのに比べ、乗松の立場は、それと大きく違う形をとりながら、ともに朝鮮の民とあるものとして位置づけし、神の愛を示していこうとしているという意味で、非常に興味深いと思います。

乗松雅休の研究者である藤尾氏の研究によれば、朝鮮の水原に渡った当時の乗松は、ただ一語、神という言葉のみを知った状態で朝鮮半島に渡ったようです。このような冒険的な精神を一方的に賛美するものではありませんが、乗松という人物を考えるとき、この指摘は重要か、と思います。

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