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Tim GrassはGathering to His Name(2006)の7章P150-151で、 以下のように述べています。 ------------------------------------------------- 他の長期に続いた出版事業としては、R.L.Alanの出版事業がグラ スゴーで行われたが、1863年から1919年まで続いたものの、 Pickering & Inglisによって買収された。Pickering & Inglisは閉鎖型 ブラザレンの出版社を買収し、その結果、上位2社に出版物が集中 することで、もともと極端な分散化志向を持った運動がそのつなが りを深める上で一定の役割を果たした、とはいえ、すべてのことがこの 出版物の大量発行によるものではないが。M'Vickerは、この運動の そもそもの出発点である聖書中心主義はこのことによって危険にさ れらされていると主張した。具体的には、「ブラザレン派の人々が、 それ以前のキリスト者の人たちと同様にたくさんのライブラリー・シリ ーズのような連続ものの出版物を出すことは、あたかも聖書が普通 の人には難しすぎる書物であるかのような印象を与える。聖書より、 それらの書物を人々が読むようになるのであれば、これらの書物が 焼かれてしまうことを望むものである。」 ------------------------------------------------- このあたりの精神性は、日本でも引き受けられています。聖書が 中心であり、聖書以外の出版物が重視されない傾向は、日本のブ ラザレン派の中でも見られます。最近、ウィリアム・マクドナルドの 新約聖書註解の非常に分厚い(とはいえ、ソフトカバーの本)が伝 道出版社から出版されており、これが出たのは、ある意味で、歴 史的転換的事件だと思っています。それまでは、註解書といえば、 CHM5書として知られる、モーセ5書の註解だけを出版しているだけ だったのですが。 版権の関係からか、F.F.Bruceの著作の翻訳が出ないのは、少し 残念ですが。いい註解書などがいっぱいあるのに。 日本では、ブラザレン派と関係の深い出版社は、伝道出版社以 外にもいくつかあります(過去に活動していたものもありますが現在 は休止中)が、伝道出版社がその中でも最大手であり、事実上、ほ ぼ、独占状態といってよいと思います。独立といわなくても、流通は 伝道出版社に依存している出版社もあるようです。その結果、ウェ ブメディアが普及するまでは、自費出版されている方々がおられま す。ウェブメディアが普及しても、自費出版しておられる方もおられ ます。中には、コピー印刷のような軽印刷による、註解を出しておら れる方もおられます。頭が下がります。 最近、少し、伝道出版社の出版傾向が変わってきているので、 今後、一層日本人著述者の聖書註解が出るといいなぁ、と思います。 |
ブラザレンの発展史
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Tim GrassはGathering to His Name(2006)の7章P150で、 ブラザレン派の出版社が成功したさらなる理由について以 下のように述べています。 -------------------------------------------- ブラザレン派の信者向けの聖書書店が成功した理由は、こ れらの書店の出版物の熱心な読者がいただけではない。彼 ら(ブラザレン派の人々)が学ぶことに非常に熱心であるだけ でなく、男性信徒にとって、彼らが学んだことを公の場で学ぶ ことや、公の場で福音を語ることを通して示す場があったから である。第3の理由は、PickeringやRitchieが優れた事業の 開拓者であったこともさることながら、効果的なコミュニケーシ ョンが読者とできる人であったからである。 Pickeringは子供向けの聖書物語で、視覚的な補助(イラス ト)を利用することで人気を博した。彼のイラスト入りの子供聖 書は、20世紀後半まで利用されたことでも、この本の人気は あきらかであろう。人々の関心を引くような新刊がどんどん出 版され、1880年以降、夏の本のセールが開かれるほど盛況で あった。 ---------------------------------------------- こういうことを考えると、非常に革新的な動きを英国のブラザ レン派の書店はしていた、取り組んでいたように思います。 まるで、今のMinistryという雑誌見たい、というと、言いすぎ だとは思いますが、従来の枠組みを破る、という革新性を 持った集団であったのですが、その革新性を持った集団の 特性を守ろうとするあまり、その集団の固有の特性を保つ ような保守化が進んでいるのでは、という疑念が私だけの ものであればよいのですが。FFブルースというこのグルー プの関係者でもある新約学者の方が書かれていた文章が 非常に印象的であったので、ここでも紹介しておきたいと 思います。この文章は、メイドインジャパンのキリスト教とい う本の中で引用されていたものです。 「共同体が従来の環境から新たな未知の環境に移植され る際によく見受けられるのは、伝統の固定化、あるいはま さに化石化ともいうべき重大な局面である。伝統を移植当 時の型通りに残そうとこだわることによって、共同体はアイ デンティティと安心感を保とうとしているのかもしれない。も っとも有名な例は、おそらくアーミッシュだろう。なぜ有名か といえば、その伝統が彼らの生活様式全般を形成している かどうかである。しかしそこまで包括的でないものも考慮に 入れるなら、これはごくありふれた現象である。 (中略) 古くから定着しているなじみ深い教会の中に留まるほうが 安全で心地よい、と感じるものは多い。明るくなると、いつく しんできた伝統の不具合―暗いままなら隠しておけた不具 合―が照らし出されてしまうかもしれないのだ。」 マーク・R・マリンズ著 高崎 恵訳 トランス・ビュー, pp. 10-11. オリジナルは、上の訳書の情報によれば、 Bruce, F.F., Tradition Old and New (Exetor: Paternoster Press 1970), pp. 17-18. 不具合があっても直したらいいじゃないか、読者と 交流しながら、ということで出版社を始めたのかなぁ、 とこの部分を翻訳しながら、思い出してしまった。 教会(集会)を巡る環境は時代の流れとともに変化 する(少なくとも社会を構成する人自体が入れ替わ る)ので、化石化してないか、ということを時にチェッ クしてみたほうがいいのかもしれない。とはいえ、 変わらないものもあるのだが、そういえば、萬代不 易から会社名を取ったおもちゃ会社のバンダイがあ ったがあそこは、商品を変えながらも子供のおもちゃ に特化しているという意味では、ビジネスモデルを変 えていないとはいえる。とはいえ、時代の変化に合わ せて、かなり柔軟に変えていると思う。 大体、東映戦隊ものを海外輸出して、パワーレンジ ャーシリーズとして、売りだしたのは、この会社らしい。 アメリカのターゲットとかに行くと、戦隊もの商品をい ろいろ売っていた。子供が小学生だったこともあり、 日本で戦隊もの(ガオレンジャーとか)を見ていたの と同様、アメリカ人俳優を使いながら、完全に作りか えられていたのには、驚いたが、戦闘シーンが多い ので、いいとこのおうちのお母さん方からは人気が なかったけれども。ときどき、空手のシーンとかがあ って、アメリカ人監督が考えたアジアをそのまま 描いたような(セガールが出てくる作品で時にあるよ うな誤解をさらにひどくしたようなもの)仕上がりのも のもあり、その微妙さに思わず笑ってしまったことも たびたびであるが。 化石化の問題は、パワーレンジャーでもみられただ けに、案外根が深い問題かもしれない。 |
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Tim GrassはGathering to His Name(2006)の7章P150で、 以下のように述べています。 ----------------------------------------------- 商業的な視点からは、主流のオープンブラザレンの出版社の経営は 非常に成功したといってもよい。その成功はそれらの出版社の活動 が長く続いたことからも明らかである。Dempsterが指摘するように、 一つの理由は、これらの出版社の潜在的読者層が限られていること を知りつつも、その受取手が多数である(訳者註:つまり、だれかが買 ってプレゼントする)ことを理解していたからである。購入者が本を受け 取る人が読んで何かを得られると確信し、本を買うよう勧めた場合、 売り上げは確保されるからである。信者たちは、まだ信仰を持っていな い人たちに配布するような伝道的な書物を購入したり、子供向けの聖 書のお話の本を購入したり、信者にとってその独自の聖書理解に沿っ た聖書理解を深めるための書籍や、牧会を考える人たち向けの書籍 が多数出版された。 -------------------------------------------------- この出版事業の成功は、ブラザレン運動のコンセプトを他のクリスチャ ンたちに知らせることや、神とは無関係に生きていた人たちへの 伝道という点で、非常に有効に機能したのであろうと思います。 ただ、ひょっとして、このような出版事業での成功は、後でGrassも 述べているとおり、教理の独自性を深めていく結果(ほかの信者集団 との交わり)につながったという面で、両義性を持ったものとして 捉えたほうが良さそうです。 日本では、いまだに輸入物の翻訳書籍に依存している部分が強く、 内部からその教理面について、日本人の手によって書かれた書物 は限られているとはいえ、出版物ではありませんが、このブログに コメントをくださる方々のように、最近は、ブログやウェブメディアで ご発言なさっている方も少なくないので、今後の日本人が日本人に わかりやすい言葉で、聖書理解を伝えていくことができるといいなぁ、 と思います。 伝道出版社とその関連の出版社がいくつかありますが、それ以外は 自費出版のような形での書物が多いため、せっかく書かれたものが 十分流通しない、というのは残念でなりません。かといって、この出版 不況のご時世に新たに出版社を設立するというのは、どう考えても 無謀だと思います。そんなこともあり、ブログ、という手段を選んでいます。 ようです。 |
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Tim GrassはGathering to His Name(2006)の7章P149で、 以下のように述べています。 ------------------------------------------ オープン・ブラザレンの特徴をさらに多くの人々に伝える ような書籍を出版するとともに、Pickeringのようなこれらの 出版社は、基礎的なキリスト者の教理に関する数多くの出 版物を出版していった。いくつかのものは、非ブラザレン系 の著者であったが、ブラザレン系の著者の多くは、ブラザレ ン運動の関係者でない福音派の人々が書いた書籍を用い るのではなく、ブラザレン派にとって当時問題となっていた 儀式主義(イギリス国教会のハイチャーチ派の台頭、これ に影響を与えたのが今年カトリックで烈福が決まったらしい ニュートン。このニュートンの弟は、ブラザレン派の初期の 人物の一人)や高等批評(聖書を解析し、分析的に聖書を 考える手法、リベラル派に大きな影響を与えた)の台頭へ の対応を意図した書籍を多く出す傾向にあった。多くの本が、 シリーズものとして出版される中で、あまり専門的にならず、 混乱しないような平易な用語をを用いつつ基本的な教理を 説明した「証の手引き(Witness Manual)」といった連続出版 物が出版されるとともに、伝道用の素材もたくさん出版された。 ----------------------------------------------- このような出版状況を見ていると、リベラル派神学やブラザレ ン派が、分離する母体であり、分離していく原因ともなった イギリス聖公会の儀式主義への回帰、オックスフォード運動 または、トラクト運動への反動として、本を大量に出版したこ とがわかります。あるめん、このような本の出版は、その時代 の人々からの時代の要請であったと思うのですが、それにこ たえるのみならず、その後のブラザレン派の基本的な考え方 にこのような他派の動きへの反動がしみついていったのでは ないかと思います。 その結果、リベラル派の神学やイギリス国教会の儀式への 重視を唱えるHigh Church派の考え方と自分たちの聖書理解 と対立するがゆえに、神学を否定していったわけですが、それ が現在まで、神学知らずの神学批判をする傾向の出発点と なり、そのような本が当時大量に印刷され、その印刷物での 考え方が広まることで、21世紀の日本にまで、影響を与えた と考えるのは、考えすぎなのかなぁ、と思いますけれども、 案外外れていないのではないか、と思ったりもします。 |
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Tim GrassはGathering to His Name(2006)の7章P148で、 以下のように述べています。 ------------------------------------------------------- オープンブラザレン関係の出版社が、2社スコットランドで 設立されているが、それらはいずれも、Donald Rossに多く の影響を受けており、これらの2社の初期の出版物は、 Rossのリバイバリスト的、大衆的、分離派的な要素を多く 引き継いでいる。1870年から、Rossはこののちに述べる 月刊誌のシリーズを発行しているが、それと同時に Aberdeen、EdinburghとGlasgowでの書店も経営している。 1879年に北米に自ら移住したのであるが、Henry Pickering(1858-1941)がNewCastleからGlasgowの書店を 運営するためにGlasgowに移り、1892年に実質的なオーナ ーとなった。そののち、William Inglisが1893年に共同経営 者(partner)となり、社業が拡大し、多くの世代のブラザレ ンの信者にとって、良質な出版物を出版した会社として知 られるPickering&Inglisが誕生した。Inglisが1908年に死亡 し、Pickeringは1922年にロンドンにうつったが、会社は、そ の存続期間にわたって、スコットランドとの強い関係を持ち 続けた。 もう一つの出版事業者は、John Ritchieであり、頑固で、 独立心の強いアプローチをとる北東スコットランドのブラ ザレンを代表するような人物である。1853年に生まれ、 1871年にDonald Munroの説教に触れ、改心した。 RitchieはRoss同様、印刷物を使って、リバイバル経験者 の情熱(impulse)とメッセージを伝えようとした。Richieは伝 道に関与するために世俗の仕事をやめ、1880年代中葉に、 カレドニアン聖書普及会(Caledonian Bible Carriage:馬車 を曳きながら伝道する組織)で奉仕した。彼の救霊への思 いは、The Believer's Magazineの記事をみれば、明らかで あるが、さらに1880年ごろKilmarnockで出版社を立ち上げ た。後に、この書店は、保守的なOpen Brethrenの一つの 象徴となり、現在でも、この会社は営業しており、創業時 の考え方を保っている。 ----------------------------------------------- このような記述を見ていると、スコットランド人の頑固さとい うのか、忍耐強さというのか、方針を決めたら変えない頑な さというのかは、良い面で出ると、救霊の熱心さへとつながり、 世界中で伝道者を多数輩出した背景に、スコットランドという 国の貧しさとこの朴訥さというのか、忍耐強さというのがある 様に思います。 その分、出て行った先でも、スコットランド人だけのコミュ ニティを作る傾向があり、やや内向きかなぁ、と思うところ もありますが。 スコットランドは、イギリスの中でも、Kirkと呼ばれるスコ ットランド国教会(カルバン派)を形成しており、アングリカン チャーチの中でもかなり異質と思います。 大英帝国、というよりはイングランドへの反感は、いまだに はげしく、一部のスコットランド人は、God Save the Queen と歌わない人々がいるくらいですから。まぁ、国家の中で、 連合国家となったスコットランドに対して、反逆のスコットラ ンド人などという表現があるほど、イングランド人にとって スコットランドはいまだに敵、ということがあるようですが。 しかし、書店がブラザレン運動に果たした役割、というのは、 非常に大きいことが、上の記述からもわかるように思います。 |




