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ついにIG嵐君がやってくれた。
アユマスターズ全国決勝大会進出。本当に喜ばしい限りだ。
タケチャン、N島君と寒河江川に着いたのが、午前7時45分。後半のエリア交代直前。
聞くところによるとIG嵐君は前半上流エリアとのこと。
「上流部で絶好のポイントを見つけたので、できれば前半は下流部を釣りたい」と言っていただけにちょっと不安。前半は番号順の入川で、前の人を追い越せないので、一気に走ることのできる後半にポイントをめざし、最後まできっちり釣る作戦だった。
8時に近づくにつれ、後半に勝負を賭けようとする選手達が少しずつ中央線付近に集まってくる。しかしIG嵐君の姿は無い。交代のホーンがなっても来ない。どうしたのか、もしかして狙いのポイントに入れて徹底的に釣って、前半で勝負を決めようとしているのか。
大半の選手が川に入り竿を出している頃にやっと姿が見えた。ゆっくりと歩いてくる。「釣れた」と聞くとにっこり笑って「はい」。感触は良さそうだ。やはり時間ギリギリまで釣ってきた。
本部前まで来ると、目の前がガラアキなのに気づき、そのまま入川、真ん中のザラ瀬にオトリを出すがなかなか釣れない。我々は対岸へ移動することにした。
移動中、下限の橋のすぐ上で東京の「友技会」の釣友K藤氏がいた。応援のY田氏の話では前半は6尾釣ったが後半はまだゼロ。やはり下流エリアは厳しいようだ。IG嵐君もあいかわらず釣れない。いくら前半に数を稼いでいても後半にもいくらか掛けなければ厳しいだろう。
上流の荒瀬の人がかけたようだ、ついて下がって引き抜く。「あれ、あの人は・・」と近づくと、やはり2年前桧木内川の全国大会で一緒だった長野のK島氏だった。私が行くとすぐ気づいて「おぅ」と手を上げてくれた。そのうちこちらへ渡って来た。「しばらく」、「どうしたのよ、いねえから驚いたよ」などと雑談。いつも飄々としていて、この人には試合の緊張感はない。対岸の人が下がっていくと、「よし、あの石の頭は釣ってねえな」とすぐさまオトリを入れる。見ているところはキッチリ見ている。間もなく強烈なアタリ。「よし」と竿を立て、引き抜く寸前に身切れ。「話しかけてたからバレちゃったね、ごめん」と言うと、「話しかけてくれたから掛かったんだよ」とあっさり切り返してくれた。
IG嵐君は左岸の際に移動していた。聞くとやっと1尾かけたらしいがその後はさっぱり。残り15分。少しずつ下流へ移動、葦際を釣っていく。残り5分最後の瀬落ちまで行って1尾掛けた。間もなく終了。
結果、12尾、Aエリア7位で予選通過。7位とはいえ、10位まで12尾、最後の1尾がなければ通過できなかった。「キッチリとどいた」感じ。長野のK島氏、東京のK藤氏ともに敗退。K島氏はゴミで1尾放流。K藤氏は後半1尾も追加できなかった。
A,Bエリア10位までの選手、計20名の決定戦。5位まで入れば全国だ。
IG嵐君、クジ運良く1番を引いた。やはり今年はのっている。「どこに入ればいいでしょう」と聞くので「下見で一番釣れたところにしたら」というと「どこも釣れなかったんですよ」。「じゃあ真ん中のフリーエリアにしたら」「あそこも釣れなかったんですよねぇ」。「でも、予選で手付かずはあそこだけ、アユが残っているのを信じて、釣るだけ釣って、釣りきったら下がりながら1尾1尾拾うしか・・」あくまで決めるのは本人。釣るのも本人。あまり押し付けがましくならないうちに我々は昼食を摂りにその場を去った。
決定戦スタート。IG嵐君も決心したらしく、フリーエリア左岸際へ。我々も対岸へ移動。遠目に見たよりも良さそうなポイント。まったくの感ながら「6尾は出る」と勝手に決め込んだ。
上の瀬落ちに並んだ2人が続けて掛けた。間もなくIG嵐君にも1尾目。少しおいて2尾目、3尾目と快調に掛けていく。掛ける度に対岸に陣取った「小国川FC」の面々から大歓声。ギャラリーが集まってくる。レポーターや雑誌のカメラマンも続々と。それにしても実に巧い「引き釣り」だ。久々にじっくり見て、師匠であるK子嶋名人の技をこれほどまでに習得しているとは、恐れ入った。
10年近く前、小国の満沢橋の上で、私と2人並んで、K子嶋名人から「K子嶋流引き釣り」の手ほどきを受けた日が懐かしく思い出された。もっとも私のほうは途中で音を上げ、逃げ出してしまったのだから偉そうなことは言えない。それほどまでに神経をすり減らす難しい技だった。あの時IG嵐君は確か高校生だったはず。
5尾目を掛けたところでペースダウン。7尾目で残り1時間を切った。その後少し釣り返してみたがアタリはない。「釣りきった」と判断して、下流へ釣り下る。あと3尾掛ければ5位以内は安全圏だろう。
が、掛からない。空けたポイントには他の選手がすかさず入るが掛かる様子はない。「誰が釣ったと思っているんだ。完全に釣りきっている。掛かる筈が無い」
30mほど下った平瀬で1尾。残り30分。徐々に下り、事前に私が「あのカーブの葦際が良さそう」と言っていたところに差しかかる。「なんとか1尾」と願っていると、強烈な引きが竿を曲げた。必死に下ろうとするアユをうまくいなし、引き抜く、キャッチ。途端に、対岸から「バンザイ・バンザイ」の大合唱。みんなも「これでとどいた」と思っているのだろう。愛すべき仲間達だ。
結果11尾。堂々の3位。山形県人初の全国大会進出。よかった、よかった。
ここでちょっと自慢。アユマスターズ全国大会の出場者を見ると、関東、北関東、中部の釣氏が圧倒的に多い。特に最近は岐阜、栃木が強い、事実今回のAブロックからの5人のうち3人が栃木。あとは埼玉とIG嵐君の山形。全国シード選手のうち、昨年の優勝、準優勝もともに栃木。
東北勢は分が悪い。さすがに名手ぞろいの岩手からは過去4人が出ているが、青森、秋田、福島はいまだにゼロ。宮城は私1人。そして今回山形からIG嵐君が第1号、めでたし、めでたし。
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