猫の絵描きさんの個展やってます
呑み友達の高橋行雄画伯の個展が銀座と京橋で開催されています。東京駅近くで仕入れ先の方と商談を済ませた後、ちょっと覗いてまいりました。
「高橋行雄 ドローイング展(3/4〜3/10)」
京橋のひっそりとした一角に、パリの街から切り取ってきたような画廊、ギャルリー・コパンダールがありました。ちょいと中を覗くと、高橋画伯が座っておられました。
どうやらお客様とご一緒の様子。そっと中に入って絵を鑑賞させていただきました。今回展示されている作品には、今まで拝見したことが無い猫と女性の構図があり、ちょっと驚いてしまいました。
画廊の方の計らいで、高橋画伯と話しておられたお客様と同席。お茶をいただきながらお話を聞かせていただきました。そのお客様は金属を使った彫刻家とか。70歳を過ぎておられるのに元気いっぱいの方でした。
その方が帰られた後、一人の若者がやってきてじっと絵を鑑賞していました。しばらく眺めた後、「ありがとうございました」と帰ろうとしたので、自分は図々しくもせっかくですから座ってお話をしていきませんか?と言うと、嬉しそうに席につかれました。
高橋画伯の絵に対する印象を、いくつかの言葉で彼が表現すると、高橋画伯は絵について、滔々と話をし始めたのです。若き日にスウェーデンで絵を売ったこと、パリの広場で絵を描きながら自分の絵を売ったこと。好きな絵を野放図に描くのではなく、客が求めるものをアンテナを張ってアタマに入れる事。
今使っている画材のこと(いま画伯が使っている紙は、イタリア製の版画用)。対象をただ写実するのではなく、心を入れることを力を込めて話されました。色についても感じたよりももっと強く出すと、観る人に伝わるとおっしゃいました。
「藤田の線がすごく好きだった」
若い彼にはそれだけでわかったようで、ふんふんと頷いていました。絵心がまったくない自分は、まさかてなもんや三度笠の藤田まことではないよな、と心の中で考えていました。「ふじたつぐはる(藤田嗣治)」のことか、と分かったのは画廊を出る頃のこと。(トホホ)
藤田の線は何気なく描いてあるように見えるけれど、あの線は何度挑戦してもできない。
「スーッと引いてあるのだけれど、どんなにマネしてもできないんだ」
「体の部位は描くのではなく、陰影を作って表現している」
ともおっしゃいました。
そこから絵の描き方に入っていきます。姿かたちを写実することができても、全体を印象的にするには、細部を描きこむことが必要。たとえば人物よりも周りの静物や景色、女性の場合は手を描きこむこと。
「好きな絵を描いているばかりではダメ。もっと世界に目を広げて、いろいろな体験をしなさい。日本だけに目を向けていてはダメですよ」
その若者に向けた強いメッセージだったのだ、と気が付いたのは話の途中から。するとこの若者も絵描きなのであろうか。隣に座って目を輝かせながら聞いている彼のことをそっと観察すると、洗いざらしのGパンに渋い色のスゥェーターを羽織っている。左手の薬指には上品なシルバーの指輪が光っている。
さらりとしたちぢれた髪の毛は、亡くなった池田満寿夫のようである。
終始ニコニコと笑顔であった高橋画伯。でも話の内容は力が漲っていて、若者に対する愛情が感じられて心地よかった。突っ込んだ話をしていないのに、彼を何故絵描きだと見破ったのであろうか。疑問だったその点を問い質すと、画伯は笑いなあがら、若者のこの言葉を挙げたのです。
「清潔感ある絵ですね」
思い出せば、この言葉の後から高橋画伯の話は熱を帯びてきたのでした。
そして画伯が若者にかけた言葉は
「空間を動かすのです。そうすると見る人にバンッと伝わるのです」
すごい言葉だと思いました。
御付き合いさせていただいて、もう5年位になるでしょうか。いつも自分は酔っぱらっていてダメダメおじさんになっていたのですが、こうした高橋画伯の迫力あるお話を聞けて嬉しかったです。ありがとうございました。
個展は以下の通りです。是非ステキな猫の絵に会いに行ってみて下さい。
「−人・猫−高橋行雄ドローイング展」
会期/2013年 3月4日(月)〜3月10日(日)
会場/ギャルリー・コパンダール
11:00〜18:00(最終日17:00まで)
東京都中央区京橋2−7−5 京二小林ビル1F
「ねこを描く 高橋行雄 絵画展」
会期/2013年 3月8日(金)〜3月14日(木)
会場/オンリーニャン(ワン)ショップ ゆめ猫
11:00〜20:00(最終日16:00まで)
東京都中央区銀座5−8−20 銀座コア3F
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