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コンコン、と軽い、木の扉をノックする音が聞こえる。
「どうぞ。」
リアは扉のほうを向いて、そういった。
「リア、買って来たよ。」
扉を開けて入ってきたのはセレスだった。セレスは手に大量の魔法薬の材料を抱えている。
「じゃあ、ブラックドラゴンの鱗の粉末と、孔雀石のかけらを机において。」
「うん。」
セレスは短くそう答えると、黒い粉末の入ったびんと、緑色の石を取り出して、机の上においた。
「ねぇ、リア。何つくるの?」
「石化を防止する薬。セレス、この前石化したでしょう。」
「あ゛ー、そうだっけ?」
セレスはしまったと思い、とぼけて見せた。
リアは、自分の失敗を許さない。一度でも失敗すると、次からは絶対失敗しないようにする。
リアは、セレスが石化したのは自分の不注意だと思い込んでいるのだ。
「ところで、ブレイクファスト帝国の状況は?」
「んーとね、潜入してきた兵士によると、魔女メディナが若返った事がすごいうわさになってるって。」
「魔女…メディナ…?」
「なんかね、とある黒魔術師が、洞窟で偶然会ったって話だよ。」
「じゃあ、ランチ公国は?」
「いまだ鎖国中。どうやっても入れないってさ。あの国魔法は一切使わないのに、誰も行ったことないんだよー。変だよねー。」
「さ、手伝って。後はこの一角獣の角の粉末を混ぜるだけだから。」
リアはセレスの話を聞きつつ、薬の調合を行っていた。
「ねー。さっきっから聞いてるとさ、この薬って…変なものばっかり入ってない?」
「大丈夫よ。本に書いてあったとおり作ったもの。飲めないはずがないわ。」
「やっぱり飲む薬なんだ…。」
この薬を飲むのが誰なのかは分からないが、確実に自分が飲むような気がしてならないセレスであった。
つづく
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