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注意:遡ってお読みください。これは、最後のページです。
その男は、どう見ても喜和子の夫とは思えない。誰かに、似ている……。そう、あの年下の指導員・
梶浩介である。もちろん浩介ではないが、横顔はよく似ている。
奈美は思いをめぐらせた。彼女は離婚したのだろうか。いやその前に、家出ができたのだろうかと。疑
問符を貼り付けられたまま忽然と消えてしまった喜和子の出現は、唐突で奇異すぎた。
整形をした、顔…。
「てめえら、そんな高いところで空気吸うんじゃねえよ。空気が薄くなるわ、ったくよー」
と、酔った男に悪態を言われるような夫婦がどこか微笑ましく、そんなふたりがもう夫婦でないのかと
思うと、ちょっぴり寂しい気がしないではない。
多分貴和子は、念願かなって亭主以外の男に抱かれ、もしかしたら今が大恋愛の最中なのかもしれな
い。だが一方、それで本当に彼女は幸せになれたのだろうかと思う自分がいて、だがそれは、今の奈美に
は知る術もなく…。
たった半年の付き合いで、いったい彼女の何を知ったのかと考えれば、彼女の幸不幸を今さら知ったと
ころで意味もなく、第一今の彼女は、自分の知っている貴和子の顔ではなく、他人の顔…。
奈美はこう思うことにした。いいんじゃないの、と。
浩介似の男に腰を抱かれ、エスカレーターに乗って消えていく貴和子の後ろ姿を見送っている奈美を、
等が訝しげな顔でエレベーターの前で待っている。紳士服売り場は5階で、早く行こうと口が動いてる。
等はどちらかというと長身痩せ型で、スーツがよく似合う。女店員の勧めで何着も試着している。褒め
られて、ほくそえんで、ネクタイもジャケットも買う気になっている。
それを奈美は、他人の顔を見るような目で、見ていた。
おわり。
*****
「結婚とは、してもしなくても後悔するものだ」とは、誰の言葉でしたでしょうか。。
しかし若いときの結婚は、何てふわふわと、落ち着きがないものなのでしょうねぇ。
「いいじゃない!」「素敵じゃない!」が、
「ま、いいっか〜ぁ」になるのも、結婚のひとつのあり方かもしれません…。
拙い文章を最後までお読みくださり、ありがとうございました。
皆さまに、心から感謝いたします。
な〜んちゃって、途中からどんどん恥ずかしくなってきていた、私目でございます。(‘へ’;)
蛇足 際立ったキャラ貴和子のモデルは実在しますが、後半は全くのフィクションです。
整形…彼女ならしかねないかな〜と思って書きました。知ったら、怒られちゃうかも。
でも今、無性に会いたくなっています。じわ〜っと…。
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