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東京の私大を出てすぐにお仕着せの結婚をした貴和子は、バージンを捧げたのも夫ならその後の対象も |
短編で ひまつぶし
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ちょっと笑える、軽〜いお話です。 見渡せばあなたの周りにも、こんな人がいそうで、いなさそうで・・・・・。 o(^ー^)o 他人の顔 1 奈美の友人である貴和子に、 「雀みたいな蚊がわたしの脚に咬みついて、わたしの血を半分吸っていった」 などと、平気で言う叔母がいることが少しも不思議でなくなるのに、10日とかからなかった。 「てめえら、そんな高いところで空気吸ってんじゃねえよ。空気が薄くなるわ、ったくよー」 終電を待っている深夜の駅のホームで、酩酊状態の男にこう絡まれる程の巨漢夫婦の妻のことである。 何事もオーバーに言わないではいられないのは、血筋なのだろうか。本人に言わせれば、その叔母と自 分は、色の白いのだけが取り柄のコンプレックスだらけの女なのだそうで、顔の面積に比べすべての部品 は、確かに小作りである。そのひとつの目を、精一杯見開いて喋るのが、彼女の癖だ。 奈美は思う。色の白いのは十分に取り柄であると。そのうえ貴和子の肌は、絹のように滑らかでもある のだから。 だがこうも思う。仮に喜和子の肌が黒かったとしたら、いえ、日本人の並の肌色であったとしたら、少 しでも大きく見せようとして引いた太いアイラインや、少しでも高く見せようとぼかして引いた2本のノ ーズシャドーも、さらに顔の面積を少しでも小さく見せようとして塗った、唇からはみ出たローズピンク の口紅も、きっとひどく下品に映ったに相違ない。 どうやら色の白さは、最後の一枚ですべてのカードをひっくり返すくらいの威力があるものらしい。 その威力を存分に手にしている貴和子ではあるが、彼女の魅力はむしろ、その性格にあると言った方が いい。体が大きいと、やること成すことすべてが緩慢で、大雑把。正しく彼女はそれに当てはまる。 「わたしはのろまで不器用だから、何をやっても人の3倍はかかるの」と本人が言うように、確かに何を やってもやらせても、遅い。しかし一生懸命やってのそれだから、周囲は憎めない。 要するに貴和子は、おっとり育った我がままなお嬢さんなのである。 つづく |



