「しつけのための体罰を犯罪とすべきか」に関する国民投票
本日、世間で話題となっている国民投票の投票用紙が郵送されてきました。
内容は上記写真のとおり「子どもをしつけるための善意の体罰を、ニュージーランドでは犯罪行為とすべきか」について、イエスかノーかを問うものです。どちらかにチェックして20日までにポストに投函することが求められています。
2007年以前のニュージーランドの刑法では、子どものしつけのために適切な腕力(reasonable force)を行使することが許容されていました。2年前、グリーン党のスー・ブラッドフォード議員が「この刑法59条但し書きが児童虐待を助長している。子どもに対していかなる腕力の行使も容認すべきではない。」と主張し、当時与党だった労働党が賛成して、刑法がブラッドフォード議員の主張にそって改正されました。
この少し前に、売春が合法化されましたので、私は「売春は合法で、しつけの体罰が違法かよ」と思いました。
じっさい、当時の世論はこの改正に反対の意見の方が多かったです。お尻や手を軽くペンペンすることさえ禁止されることへの反発=体罰は時には必要論と、家庭のしつけに国家が介入することへの反発が反対の大きな理由でした。そのときのしこりがまだ残っていて、このときの法改正に反対するグループが有権者の1割以上の署名を集めて国民投票の実施の要求をした(イニシアチブ)というわけです。
しかし、この国民投票の結果には拘束力がなく、単なる意見聴取のアンケートに過ぎません。当時この改正に反対した国民党が今は政権を取っていますが、キー首相は、改正された法律を今さら反故にするつもりはないと発言していました。また、この国民投票は、質問文があいまいで不適切だと批判されています。さらに、この国民投票には890万ドルの経費がかかります。新聞社が実施した世論調査では77%が税金の無駄使いだと回答しています。しつけのための体罰の是非については、また日を改めて書こうと思いますが、民主主義というのは、手間とお金がかかるものですね。
それからもう一つ、この国民投票用紙の裏側は多言語での表記となっています(サムネイル写真)。この国では、永住外国人も選挙権があるので、英語が分からない人のためのものです。永住外国人にも選挙権があることは素晴らしいと思います。しかし、英語が分からなければ情報不足となり、日常的な政治判断が非常に制約されます。参政権を行使したいのであれば、英語を理解すべきというのが私の考えです。ですので、この多言語表記は、おためごかしの過剰サービスと感じてしまいます。
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