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40半ばのおばちゃまだとて、春になったらキラキラと乙女気分にひたりたい…わっ、陽気に浮かれてなにを言い出すのだ、わたしは!?でも、冬の間のどんより気分を吹き飛ばすなら、暖かい日の光の中、おしゃれなおやつの時間などを過ごしてみたっていいと思う(乙女とか言いつつ、結局は食い気の話である)。 できれば、ばらの花が咲き乱れるお庭に、純白のクロスのテーブルのしつらえ。そこへ運ばれてくるのは、三段重ねの銀のトレーに乗った、見目麗しいスコーンとケーキとサンドイッチ。香り高いお紅茶も一緒に…ホホホ、これこそ乙女のアフタヌーン・ティーですわよ。おしゃれで上品、そしておいしいものをちょっとずつつまむ楽しみ。ニュージーランドの食のスタイルは、イギリスの影響を色濃くうけている。だから、もともとはイギリスのものだったこんなおやつも、気軽に楽しめてしまうはず…だったらいいのだが…。 残念ながら、ちゃんとしたアフタヌーン・ティーは、近所のカフェにいけば出てくる、というものではない。ほとんどは格式が高めのホテルやこだわりのカフェのかぎられたサービスだし、要予約で、人数も二人ぐらいではだめだとか、思いつきではプランが実現しないのだ。そりゃ大変、と前々から予約をいれ、気合もいれて出かける。さあこれで、夢の時間のはじまり、はじまり〜? しかし、こっちがその気で乗り込んでも、なかなか理想どおりにはいかないのである。ここはニュージーランドであり、どうかするともろもろがカジュアル路線になりがちなのだ。ふだんはフラットホワイトかなんかを飲んでる四角いテーブルに、ただの白いお皿の三段になったのがでてきて、その上には、いつものスコーンと、一口ではおさまらないサンドイッチと、激甘マフィンが!?お紅茶も、ティーバッグ!?ちょっと、ちがーう。これじゃなーい。こんな会議室みたいな情緒のない部屋もアレだし、銀の食器はどこ?もっと乙女な感じの、英国式アフタヌーン・ティーがいいのに! と、軽々しく言ってはみたが、アフタヌーン・ティーの本式、というのは、実は非常に堅苦しいものらしい。英国貴族が夜のお出かけ前に、軽く空腹をしずめるために始めた習慣だというけれど、やんごとなき方々というのは、そういうものをつまむ間にも食べる順番をうるさく言われ、礼儀作法をみっちり仕込まれて、凝った装飾のお部屋や美しく生けたお花、ぜいたくな食器の鑑賞のしかたなどをいちいち学ぶものだったらしい。その作法は、今でも日本の茶道のようにきちんと確立されていて、ちまたのお店などのスタイルはあくまでも略式だとか。本式の世界では、キャーおしゃれー、なんてはしゃいでいると、きびしいマナーの先生の咳払いが聞こえてきそうだ。 それだったら、わたしはニュージーランド式でいいかも…。そんなにがんばらなくたって、今の季節はどこのお庭もすてきだし、焼きたてのスコーンが出てきたら、順番なんて気にせず、アツアツを真っ先に食べちゃうのだ。サーモンのサンドイッチもこの国らしくてよろしいと思い、流行りのカップケーキもかわいいから許す!一見ちょびちょび乗ってるだけに見えても、三段全部いただくとお腹もいっぱい。はたしてこの気分は、乙女か?おばさんか?春の日の幸福感の中では、そんなことすらもうどうでもいいのだった…。 写真の High Tea は、クライストチャーチ郊外にあるTea Housesで出される本式のもの。ここはカップ&ソーサーも英国アンティーク品を使うこだわりのお店です。http://www.theteahouse.co.nz/ 筆者:マツザキ リカ(Kazzyの妻) ニュージーランドの情報誌「Gekkan NZ」にフードエッセイ"Good Kiwi Tucker"を好評連鎖中。 http://www.gekkannz.net/gekkannz/latest_gekkannz/ |
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2014年09月23日
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