利き酒ならぬ「利きチョコレート」って、やったことあります?
チョコの質の高さとおいしさを十二分に味わうには、絶対に、歯でかんではいけないそうである。舌の先にのるくらいのかけらを、ゆっくり、ゆっくり口の中で溶かす。この時、チョコレートが上質なものであればあるほど、香り高くなめらかな舌触りが広がっていき、小さくなったかけらはやさしくとろけてすうっと消えてしまう。それでいて、口の中にはいつまでも、やわらかな波のように香りが残っているのである。
四種類ぐらいのチョコレートがあって、一つ目のかけらがあまりに美味だったから、次もさぞかし…と思って、わざと大きめのをつまんで口に入れる。あれっ、さっきのと全然ちがう!まるっきり溶けていかないし、どんなに舌を動かしても、チョコレートの香り以外のおジャマな何かが、からみついて離れない。でもこの二番目の正体は、ニュージーランドを代表する有名な板チョコだったりする…こんなに余計な味のするものだったっけ?
ここは、海のそばの小さなチョコレート・カフェ。「チョコレートにひたる一日」というイベントが月に2度ほどあり、こんな楽しい「利きチョコ」も、そのお勉強コーナーの一部である。なるほど、「いいチョコレート」って、ほんのひとかけらでここまで満足できるんだ…これからは安売りの板チョコのバカ食いはやめます!開始早々、なんてためになる体験かしら。そんなふうに思ったわたしはちょっと、いやかなりの未熟者だったかもしれない。
実際は「ひとかけらで満足」なんてうそだった。この日は「ひたる」というだけあって、朝から夕方までチョコ食べっぱなし!でも、ありきたりのちびっこイベントとは全然ちがうところがミソ。朝のお茶は大人っぽいチリ風味のホットチョコレートだし、お茶うけはなんとチーズと、それにぴったりのチョコレート・ディップ。そして、最高級チョコレートを調理台いちめんにぶちまけ、思う存分デコレーションの細工やトリュフ作りの実習。それがすんだら真っ青な空と海をみわたすカフェで、チョコレートを巧みに使ったお料理のランチ…。
ここまで読んでううっ、となってるアナタはたぶん、スーパーの板チョコしか知らない人。なんと「いいチョコレート」とそうじゃないチョコレートのちがいは、ここにもあるのだ。「いい」チョコなら、これだけ食べてもうんざりしない。それどころか、食べるにつれいい気分になってきて「さぁ〜もっといってみよう!」てなことに。
たしかに、午前中の勉強で「良質なダークチョコレートは体にいい」とか「大昔はお薬だった」とか、ありがたいお言葉も耳にしたけれど、そんな大義名分はさておいて、みんなただただ目の前の、できたてのチョコレートを口にしていたなあ、ものすごくいい笑顔で…。誰一人、アキアキなんてしていないのだ。
おみやげに持ち帰ってきたのも、袋にギュウ詰めの手作りトリュフ。素人が初めて作ったのに、この上品なおいしさは、やっぱりチョコのよさのせい?ハッ、今チョコレートが食べたくなってきた人、スーパーの板チョコでこの気分を出そうったってダメですよ。街で一番ていねいに手作りしているお店に行って、カカオたっぷりのダークチョコを探すこと。そうして、ゆっくり舌にのせて…いつの間にかいっぱい食べちゃうところまでやれば、完璧、かも!?
(マツザキリカ)No.57/06/2010
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<Kazzyの補足>
リカがチョコに溺れた場所はこちら→http://www.shechocolat.com/
海に面したちょっと穴場的なカフェです。写真は Chocolate lovers sharing plate $24.50
チョコに溺れたリカを救い出すのが大変でした。生チョコを使ったホット・チョコレートはKazzyも好物。
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