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車窓に広がるは、心に落ちつく田園風景。 車内には人も少なく、ボックスを独り占めにし、靴を脱ぎ、前の座席に足を投げ出してみる。 カタンカタンと心地よく響く音。暖かい陽射し。これで眠くならないはずがなく、ちょっと目を閉じてみる。 ああ、幸せだ。 やはりこれが鉄道の良さなんだろう。なにも考えず、ボーっと車窓を眺め、眠くなったら心地よいジョイントの音を子守唄に、安らかに眠る。 折角列車に乗ったのに眠るなんて勿体無い!と言う方もいらっしゃるでしょうが、私はこれが好きで好きで堪らない。 ふと、目が覚めると、景色は変らず田園風景。この安心感も心地よい。すると、車内放送が入る。 “まもなく、日向に到着です。お出口は左側です。列車の交換を行う為、4分ほどお待ち下さい。” 都会では聞き飽きた自動放送なんかではなく、心落ち着く肉声放送。鼻声っぽい声も懐かしい。 しばらくすると、減速が始まる。何が違うのかは知らないが、国鉄型である113系は、聴き慣れない、しかし、どこか懐かしい音を立てて速度を落とす。そして、日向駅に到着した。 さて、と、私は腰を上げ、運手席のすぐ後。先頭の扉からホームに降り、ここまでお世話になった113系にカメラを向ける。そして、しばらくすると・・・・・ “上りホームに電車が参ります・・・・・” 上り列車がやって来た。こんな光景も、ラッシュで人が溢れる路線では到底見ることなど出来ない。 単線ならでは、鉄道らしい作業である。 日向を発車し、列車はしばらく走り、終点の成東駅に滑り込む。 成東は、そう。総武方面への鉄道を開拓した総武鉄道創立者である安井理民氏の出身地だ。 国道296号線経由で銚子を目指さず、成東に寄り道する形で総武本線が敷設されているのはそういった経緯の所為ではないか、と、密かに思っている。詳しいことは知らないのだが。 成東からは、東金方面への東金線が延びている。 そういえば、鉄道に興味を持ち始めたときに、九十九里鉄道に乗るため、ここから東金線に乗ったな。な〜んて昔の姿と今の姿を重ね合わしたりしてみたりする。 あの時は人が溢れ、長大編成が停まっていたっけな。鉄道が廃れていくという事を実感し、ちょっとブルーな気分になってみる。 今度は、東金に行って、九十九里鉄道の廃線跡でも見に行ってみようかしら、と、対象外の事をやろうかなんて思惟てみたりもする。 そして、あのとき確かに私の手を引っ張ってココまで連れてきてくれたオヤヂを思い出したりもする。そういえば、最近は墓参りもご無沙汰だな・・・・・。 あのころは成東なんて遠く異国の地、自分だけの足でココまで来れるなんて夢にも思わなかった。 そんなことを思い出したところで、この文を締めたいと思う。 文:急行あさひ磯辺餅 写真:かずじー
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鉄道紀行
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