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京都議定書からの離脱は当然のことです。そもそも1997年の締結は、当時のアメリカ・クリントン政権が積極的に推進し、ゴア副大統領が基準年の不合理などを主張する日本に対して、経済制裁をちらつかせて受諾を強制しました。ゴア副大統領はノーベル平和賞を受賞しましたが、アメリカ議会は京都議定書を批准しませんでした。
欧州は下の記事に書かれている通り、旧東独等の非効率な発電所等を破棄し、また発電所を旧来の石炭から天然ガスに替えることで容易に目標を達成しました。しかも排出権取引市場という新たな金融市場を作って、その周囲に新たな産業を築いています。COP17で京都議定書の延長を求めたのも、温暖化防止をお題目として排出権取引市場を守るためでした。
結果的に日本だけが温暖化ガス削減の過重な負担を背負い、しかも日本が減らす以上に中国が温暖化ガス排出を増やしています。今や米国を追い越して世界最大の排出国は中国となりました。
日本の国益よりも世間受けを狙うルーピー鳩山は、わざわざ削減目標を25%に上げて、日本の負担を一層重くしました。そこに大震災が起こり、無能菅直人が反原発を打ち出したため、6%削減も困難となりました。
いかに無能な民主党政権といえども、この状態では京都議定書からの離脱をせざるを得ないし、出来れば25%目標も一挙に放棄して、もっと現実的な目標を再設定すべきでした。
日本経済新聞より
止まるか8000億円の国富流出、COP17合意の行方
2011/12/17 7:00
世界の温暖化問題を話し合う第17回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)が閉幕した。今回合意に至ったのは、2012年に期限を迎える京都議定書の延長。だが日本にとって最大の成果は、日本が新たな温暖化ガス削減義務の目標値を設けない姿勢を貫いた点だ。背景には、京都議定書の制約によって8000億円近い「国富」が、議定書で削減義務を負わない中国などに流出するという深刻な問題を抱えていたことがある。
「政府方針として明確にしていたほとんどの部分が反映される合意がなされた」。細野豪志環境相は13日の閣議後会見で、COP17の成果にこう胸を張った。各国の利害対立で合意が大幅に遅れた今回のCOPだが、国内では合意内容を好意的に受け止める向きが多い。地球環境産業技術研究機構(RITE)の秋元圭吾グループリーダーは「日本の思惑通りに近いだろう」と指摘する。
■産業界から評価の声相次ぐ
今回の合意を最も歓迎したのが産業界だ。京都議定書の延長による13年以降の第2約束期間に日本は国際公約となる削減義務目標を設けず、自主的な削減努力にとどめる。「京都議定書の単純延長論に与(くみ)さなかったことを高く評価する」(経団連の米倉弘昌会長)「第2約束期間に参加しない点に深く敬意を表する」(日本鉄鋼連盟の林田英治会長)――。産業界からは合意内容を評価するコメントが相次いだ。
1997年に合意した京都議定書によると、削減義務を負う先進国のうち、日本は08〜12年の第1約束期間に90年比で温暖化ガスを6%削減する。この数値自体は、欧州連合(EU)の8%や米国(01年に議定書脱退)の7%に比べ、表面上は特段に厳しくは見えない。
ただ70年代の石油ショック後に官民で省エネを推進した日本は、既に90年時点で削減余地が欧米よりも乏しくなっていた。例えばEUは冷戦終結後の90年代に、東欧の非効率なエネルギー構造を西欧基準に切り替えることで削減を比較的容易に進めることができた。しかもEUには加盟国間で排出枠を融通して目標達成を後押しする「EUバブル」と呼ばれる仕組みもあった。
EUのような仕組みがない日本は国内努力で達成困難な目標を実現させるため、途上国の温暖化対策支援を通じて排出枠を取得するクリーン開発メカニズム(CDM)や排出量取引などの「京都メカニズム」を通じ、海外から排出枠を買う必要に迫られた。
■自力で達成困難な削減義務
経済産業省の試算によると、日本は08〜12年の第1約束期間に官民で約4億トンの排出枠を購入し、削減義務を負わない中国や東欧などに6000億〜8000億円に上る国富が流出する見込みだという。日本は達成困難な削減義務を負ったうえ、経済成長のために温暖化ガスの排出量が増える途上国からの排出枠購入で埋め合わせる皮肉な立場に追い込まれた。
「日本の企業は多額の出費を余儀なくされている」――。ただでさえ長引く景気低迷や円高で追い込まれていた産業界の不満は限界に達しつつあった。しかも福島第1原子力発電所事故の影響で温暖化ガスの削減はさらなる困難に直面している。
COP17で日本が第2約束期間について自主的な削減努力で対応する姿勢を貫いたことで、13年以降は目標達成のために海外から無理に排出枠を購入する必要はなくなる。しかも今回の合意では、中国や米国も加わる包括的な枠組みを20年に発効させることも盛り込んだ。主要排出国すべてが加わる包括的な枠組みが発効すれば、日本などの一部先進国の企業だけが環境対策で不利な条件を負わされる心配もなくなるわけだ。
とはいえ日本も手放しで喜んでいるわけにはいかない。地球温暖化は世界共通の深刻な問題。削減義務を負わないことで温暖化対策を一気に緩めることになれば、国際社会から厳しい指弾を浴びることになりかねない。
日本は京都議定書の枠組みから完全に背を向けたわけではない。「京都メカニズム」自体は地球レベルの温暖化ガス削減に有効だとの立場から、改良を加えたうえで13年以降も活用を続けていく姿勢を示している。
政府が13年以降に国際ルールへの採用を目指しているのは「2国間クレジット」と呼ばれる制度だ。先進国が途上国との2国間合意に基づいて省エネ技術を供与し、見返りに温暖化ガスの排出枠を獲得する。
■温暖化対策と国益を両立できるか
現行のCDMは国連による審査に煩雑な手続きが必要なため、実施に時間がかかる。省エネ機器や石炭火力発電などの日本が得意な技術を使った削減も認められにくい。2国間クレジットによる削減が国際的に認められれば、日本は排出量を削減しながら省エネ製品の海外への浸透も同時に進められるわけだ。
COP17では、13年以降の市場メカニズムのあり方について「各国の国情に応じた様々な手法の実施に向けて検討を進める」ことで合意した。今回はEUや米国、中国の陰に隠れて存在感が乏しかった日本。温暖化対策と国益を両立させる仕組みをいかに国際社会に認めさせていくかが地球温暖化問題における今後の大きな課題になる。
(本田幸久、銀木晃)
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