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本年度日本アカデミー賞にて、見事「最優秀助演女優賞」を獲得した蒼井優。演技者として、ひとつの頂点を極めた彼女の最新作となるのが、アニメーション監督として世界に名高い『AKIRA』の大友克洋監督の実写映画『蟲師』。昨年9月、同作はベネチア映画祭に出品され、蒼井優もまた現地のレッドカーペットを踏んだ。そんな彼女が、古き日本の原風景を思わせるファンタジックな世界観をVFX満載で映像化した『蟲師』について語ってくれた。

――昨日のレッドカーペットは真っ赤な和服でしたけど、いかがでしたか? お着物を着て出たときは。

「最初はすごく悩んだんですよ。ふだん着ないのに、こういうところでお着物というのはどうなのかなとすごく思っていたんですけど、ひと目見て日本人だということがわかるということで、日本映画というものがわかってもらえればいいなと。日本映画がここまで来られるというのが。もっともっと日本映画を知ってほしいから、着物にしたんです」

――ぽっくりがすごく大変そうでした。歩きにくいですよね?

「たぶん見た目よりはぜんぜん大丈夫ですね。すごく高いヒールの方が逆に疲れるかもしれませんね」

――劇中でも和服を着てましたから、すごくそのイメージはあったと思うんですよね。なにか観客の方から声をかけていただくとかありましたか?

「やっぱり着物というものは喜ばれましたね。皆さんすごく珍しいみたいで」

――着物を着て行かれて、大成功ですね。

「そうですね。日本というのがわかってもらえて」

――さて今回の『蟲師』ついてなんですけれど、まずオーディションで参加されたと聞いています。大友克洋監督とも初めてということなんですが…どんな監督でしたか?

「初めて会ったとき? 第一印象は…正直なところあまり私に興味がなさそうだな、と思っていました。だから、帰るときは駄目かもしれないと思ったんですね。たぶん今回は、声をかけていただけないんだろうなと思っていたら、お話をいただけたので、すごくびっくりしました」

――大友監督の今までの作歴・経歴(漫画家。『AKIRA』の原作者であり、劇場版アニメを監督)をご存知でしたか?

「はい、もちろん。私の周りに大友さんファンが多くて、結構すごく色んなところから大友さんの話を聞いていて、鈴木杏ちゃんも『スチームボーイ』で大友さんと一緒にやられていて、“すごい人なんだよ”という話を聞いていました」

――(このところの監督は)とても貫禄がついてきた感じで、すごく落ち着いた印象で。

「私はそんなに大友さんとの付き合いが長いわけではないので、変化がわからないですけど、すごく頼もしいですね。一緒にお仕事をさせていただいて」

――大友監督の実写映画は、(82年の自主制作版『じゆうを我等に』、91年の『ワールド・アパートメント・ホラー』以来)3作目になるんですけど、監督の演出で特徴的なところは、どんなところでしたか?

「映像としての…監督の中で“そのシーンの中で画が決まっている”ということがすごく特徴的だなと感じました。こういう明かりがほしいとかここに影がほしいとか、もうちょっと上からのアングルだとか。もちろん最初から絵コンテがある。ほんとにもう“こう撮ります”というのがあって、先に決まっているのがすごく特徴的で、おもしろかったですね。今まで体験したことのない演出だったわけですから」

――絵コンテも監督ご自身で描かれたんですか。

「そうですね。“時間がない中で描いたから恥ずかしい”とおっしゃっていたんですけど、ぜんぜんそんなことなくて、すごく素敵な絵というか、さすがだなと。私が言うのもなんですけど」

――元々アニメーションをやられてきた監督としての、何か特徴的なものは?

「さっきと重なっちゃうけど、今まで一緒にお仕事させていただいたどの監督よりも、そのシーンの映像が(初めから)明確に決まっていることですね」

――共演者の方々に関してですけど、主演のギンコ役を演じられたオダギリジョーさんはいかがでしたか?

「そうですね…なんだろう、常に冷静で、とても冷静に作品のことを見ている印象がありました。それでいて、本当に引いて見ているわけじゃなくて、ちゃんと作品作りの中心にいる人ですし。そういう人がちゃんと作品のことを冷静に、引きで見られていることはすごく安心感がありましたね。とっても穏やかですし、どんなに撮影が大変でも、常にオダギリさんはオダギリさんでいてくれる。私も、少しでも助けになれればなと思っていました」

――オダギリさんにインタビューしたときにおっしゃっていたんですけど、監督はすごく“間”みたいなものを大切にする。普通の監督なら間をつまんでいくところをゆっくりとやっていくらしいんですけど。そういうところはいかがでしたか? 淡幽を演じる上でなにか求められましたか?

「淡幽に関しては、“もっとゆっくりしゃべってほしい”という指示がありました。あの時代に生きているからこその、ゆったりとしたしゃべり。何か説明するにしても、ゆっくり説明することは、決しておっとりしているように見えるわけではないんだなというのを感じました。というのも私は、ゆっくりしゃべるとおっとり見えるんじゃなかという思いがあったんですが、ゆっくりしゃべってみると、よりいっそう強く見えるんだなと、今回できあがったものを観て思いました」

――菜箸を使う淡幽の出演シーンは、とても印象的です。もちろんほとんどがVFXが関係しているシーンですから、演じるときにはそういったところは見えないんでしょうけれど…演じる上でのご苦労はありましたか?

「やっぱり、箸のさばきには気をつけました。怪我はしていても、やはり動きは綺麗にやらなきゃいけない。あのシーンはすごく綺麗なシーンになるなと見ていて思っていたので、どう綺麗に動けているかとか、怪我しているからあまりにも元気じゃいけないしという感じで、色々と思いながら演じました」

――その、とても時代性がはっきりしないパラレルワールドのような、昔の日本のような、レトロSFのような不思議な世界観だったのですが、その世界観を生きるキャラクターを演じる上で気をつけた点はありましたか?

「そういう世界観だからこそ、ちゃんと感情を出すことに気をつけました。すごく映像に力がある作品だとわかっているんで、その分、わたしたちは負けないように、中身も強くないと映像に引っ張られちゃうんじゃないかと。淡幽の中身・内面と映像の強さ、両方がお互いに引っ張り合うことによって、作品がちょうどいいバランスの強い作品になるんじゃないかと思っていました」

――そのバランス感覚が大事!?

「そうですね。どっちかに頼るんじゃなくて…と、思っていました」


――漆原友紀さんの原作はお読みになったんですか?

「はい」

――いかがでしたか? ご感想は?

「おもしろい世界だなと思いました。絵のタッチもおもしろかったですよね。初めてああいう漫画を読みました」
――ああいった世界は好きですか?

「はい、好みでしたね。初めて読み終わったときはオーディションの前で、淡幽役でぜひ出演したいという気持ちでした。でも淡幽という役は、ちょっと自分の中では、蒼井優のイメージと重ならなかったので、だからすごく不安ではありましたね。出たいけれど出られないかも…っていう方が強かったので。それで、オーディションに行ったら大友監督は、役についてよりも普通の他愛のない話をずっとしていて…あれ? みたいな。私は大友さんのビジョンに、淡幽としてはあまり入っていないのかなと思いました」

――では、実際に演じる上で、それなりにご苦労をされたのですか?

「台本を読んでからは、大丈夫でしたね。淡幽の感情もすんなり入ってきたし」


――この作品ならではの、蒼井さんが考えるおすすめというか、見どころはどこでしょうか? これから日本の観客の皆さんもご覧になります。

「たぶん、一度じゃ理解しきれない世界だと思うんですよ。原作を読まれている方はわかるかもしれないけど、初めて観てみると最初はまず感覚的におもしろいなと思ってもらえる作品だと思います。で、だんだんと何回も観ていくうちにすごく悲しかったり切なかったりして、徐々にそういうストーリー、登場人物に感情移入できる。何回も観ていくうちにおもしろみがどんどん増していく作品だと思うんです。そういう楽しみ方を私はおすすめしますね。1回で全部を理解しようとせずに」

――僕も昨日正式に拝見して、2回目なのですが、2回目からはより理解が進んで。

「そうですね。私も(完成したものは)今までに2回観たですけど、2回目…どんどん、台本の時点でこの世界を理すごく解していたつもりのはずなのに、できあがったものを観るとよりいっそう楽しめましたね」


――世界の中に自分がどんどんと染み渡っていくような…。

「うん。そうですよね」

――不思議な感じですよね。

「1回目は客観的に作品を外からしか観られないけど、段々そう入っていく感じですよね。その表現ぴったりですね」

――段々と、あの時代の中に自分が生きているような感じになりますよね。本当に蟲がいるような。

「観た瞬間より、その後からもっと“あの作品すごいよかったよね”って、なっていくような気がしているんですよ」


――そうなると思います。80年代にあった『ブレードランナー』…映画史に、後になっても燦然と輝く映画ってあるんですけど、そういう雰囲気を持っている映画ですよね。

「できるだけ、長い期間(劇場で)やってほしいですよね。劇場で観るべき作品だと思います。最初の映像もすごいですから」

――試写室で観て、昨日大きなスクリーンで観て、大きい方が断然感動が迫ってくるという。

「あれは大きなスクリーンで観ないともったいないですよ。大きければ大きいほどいいんじゃないかっていうぐらい。本当に本気だって気がします。大友さんが」

――演じているときは、VFX関係はぜんぜん見えていないわけじゃないですか。完成したものを観ての感想はどうでしたか? 蟲をみた感想は?

「絵コンテがあったので、わりと自分の想像していたものと合っていました。想像していた、それからさらに発展した…大友さんの技術というか、そこ。間違った方向にぜんぜん想像していなかったので、よかったかなと。大友さんはすごいなあ〜と。本当に感動しましたね。自分が(頭の中で)思い描いていたものが、本当に目の前に現れることになるんですから!」

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