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レトロブームと、京都を舞台にした小説「夜は短し歩けよ乙女」で、人気に火が付いた電気ブラン(京都市中京区のバー)
明治時代につくられた「日本の洋酒」電気ブランが再び、人気を呼んでいる。
レトロブームに加え、京都市在住の作家森見登美彦さんが、今年の直木賞候補になった小説「夜は短し歩けよ乙女」で、京都の歓楽街を舞台に偽電気ブランという酒を登場させたことが、火付け役になったようだ。
■4年間で2割増 若者にも人気
電気ブランを製造販売する合同酒精(東京)によると、浅草の神谷バーを中心に長年販売してきたが、ここ2、3年、製造が増え、2006年度の生産量は02年度と比べ2割アップ。「歴史の長い酒の生産量が急に増えるのは珍しい」(広報)と喜ぶ。
人気の理由の一つはレトロブーム。明治、大正、昭和を感じさせる居酒屋などに好んで置かれている。同時に、今年の山本周五郎賞と本屋大賞2位に輝いた「夜は短し歩けよ乙女」のファンから同社に「電気ブランはどこで飲めるか」と、幅広い世代から問い合わせが寄せられている。
小説では、門外不出の電気ブランの味を再現しようと、京都中央電話局の職員が味も香りも異なる「偽電気ブラン」を偶然に発明。ヒロインが木屋町や先斗町を舞台に、謎の老人と偽電気ブランの飲み比べに挑む。
中京区の飲食店を営む渡邉貴一さん(30)が妻(31)は、電気ブランの味を気に入り、8年前から店に置いている。「小説に書いてあった」と話し掛ける利用客もいるといい、渡邉さんは「若い人にも注目され、うれしい」と話している。
電気ブラン 1893(明治26)年ごろ東京の実業家、神谷傳兵衛がブランデーにワイン、ジンなどを混ぜたアルコール度数45度のカクテル。「ハイカラで、ぴりぴりした飲み口」が名前の由来。
■明治時代の京を連想
作家、森見登美彦さんの話 5、6年前、母が買ってきて電気ブランと出合った。酒が飲めないので、アルコール度数がきつく、くせのある味だなと思ったが、名前が面白く、私が好きな明治時代の京都を連想させた。いつか小説で使おうと温めてきた。酒が人気を呼ぶとは意外です。ただ、小説に書いたのは偽電気ブランなので「だまされてはいけない」ですよ。
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