写真:長田洋平/アフロスポーツ
箱根駅伝ランナーを強くする食の秘訣 第1回2019年8月28日 2002年から2005年の箱根駅伝で、圧巻の4連覇。初優勝した2000年以降、計6度の優勝を誇る強豪校・駒澤大。この輝かしい実績の裏には、長距離ランナーの身体作りにおける食の重要性を説く名将・大八木弘明監督のもと、25年もの間、献身的に選手の栄養サポートを行ってきた栄養士がいることをご存知でしょうか。
「箱根駅伝ランナーを強くする食の秘訣」の第1回は、栄養バランスに気を遣いながら、家庭的な温もりを大事にし続けてきた栄養士が作る、駒澤大の朝ごはんを紹介します。 25年間、寮で食事を作り続ける 二子玉川の瀟洒な街並みを多摩川沿いに進んだところに位置する、駒澤大・玉川キャンパス。体育館、陸上競技場、多目的グラウンドなどの施設を備えるこのキャンパスは、体育会の部活動とサークルの活動拠点となっています。
駒澤大陸上競技部に所属する選手46名は、玉川キャンパスの近くにある学生寮「道環寮」で寝食をともにしています。この寮で、箱根路を目指す選手のために25年もの間、食事を作り続けているのが、栄養士の大八木京子さんです。夫の大八木弘明監督が1995年に母校である駒澤大のコーチに就任したことを機に、大八木さんに白羽の矢が立ちました。 「今では考えられませんが、当時は下級生が食事当番を担っていました。当然ですが、これでは栄養バランスの良い食事はとれないですよね。大八木監督は長距離ランナーの体作りにおける食の重要性を認識していたので、まずは食生活の改善に着手。私がメニュー作りと調理を担当するようになりました」
道環寮では月曜日から金曜日、選手に朝食と夕食を提供しています。大八木さんは、朝・夕の全メニュー作りと夕食の調理を一手に担います。朝食の調理のみ、寮の近所の方と分担しながら行っています。 「朝食の時間は7時30分頃からなので、5時過ぎには準備を始めます。朝は1日のスタートなので、まずはしっかりとご飯を食べてもらうことで、たんぱく質を摂取してもらいます。おかずには卵料理や焼き魚、納豆やサラダをバランス良く添えています」 朝食のメニューは、事前に決まっている練習内容に合わせて、1週間くらい先の分まで決めています。「実際に調理するよりも、メニュー作りの方が悩む」と大八木さんは言います。「バリエーションを増やすのが大変で。最近は市民ランナーでも詳しい方がいるので、逆に教えてもらいたいくらいです(笑)」
そう言って笑う大八木さんが味付けにおいて意識しているのは「バランスを考え、家庭的であること」。「過度にアスリートであることを意識しすぎず、家庭料理の延長線上にあるような料理を出し続けていきたいと思っています。OBが寮の食事を懐かしがってくれたり、また食べたいと言ってくれるのは嬉しいし、励みになりますね」 駒澤大の朝ごはんを紹介 それでは、駒澤大陸上競技部の朝ごはんを、メニュー作りのポイントとともに紹介していきます。
【2019年8月5日(月)の 朝食メニュー】
主食:ご飯 主菜:目玉焼き、ウインナー、ほうれん草のソテー 副菜1:納豆 副菜2:鶏肉サラダ 副菜3:味噌汁 乳製品:乳飲料 【メニュー作りのポイント】 「朝食は1日のスタートなので、体や脳(学生なので!)を活性化させるために大切です。陸上部員は朝練も行なっているので、朝から疲れてしまわないように糖質とたんぱく質がしっかり摂取できる、バランスの良いメニューを心がけています。卵、納豆はたんぱく質が豊富で、アミノ酸スコアも完璧な食材なので、ほぼ毎日並びます。ほうれん草とソテーしたウインナーと鶏肉サラダでさらにたんぱく質とビタミンを加えてみました」 【2019年8月6日(火)の朝食メニュー】
主食:ご飯 主菜:チキンナゲット、焼売 副菜1:納豆 副菜2:卵焼き 副菜3:笹かま 副菜4:ブロッコリー 汁物:味噌汁 100%ジュース 差し入れのお菓子 【メニュー作りのポイント】 「納豆、卵の他にチキンナゲット、焼売でたんぱく質を加えました。納豆はカルシウム、鉄、食物繊維が多い優良な食材です。常備している海苔やシラスと一緒に食べることで、カルシウムをより多く摂ることができます。キムチも欠かせないので一緒に摂ってパワーアップしています!」 【2019年8月7日(水)の朝食メニュー】
主食:ご飯 主菜:焼魚(鮭) 副菜1:納豆 副菜2:温泉卵 副菜3:ポテトサラダ 副菜4:かまぼこ 汁物:味噌汁 果物:バナナ 100%ジュース 【メニュー作りのポイント】 「鮭はたんぱく質だけでなくビタミンB1や鉄も多く含まれるので、よくメニューに取り入れています。魚類の脂質は体に良いです。この日はポイント練習を控えていたので、バナナを添えてエネルギー不足にならないようにしました。朝食時に食べる選手もいれば、練習までの補食として食べる選手もいます」 夏場と箱根駅伝の直前は注意を払う 長距離ランナーの年間スケジュールは、トラックシーズンと駅伝シーズンに大別することができます。大会は年間を通じて行われるため、時期によってメニュー内容をガラッと変えることはありませんが、食欲が落ちやすい夏と箱根駅伝を目前に控えた12月末は、細心の注意を払います。
「夏は暑さで食欲が落ちてしまいがちです。選手の体重は部で管理していますが、なかには極端に減ってしまう選手もいるので、補食としておにぎりやバナナを提供したり、疲労回復に効果があるとされるビタミンC、ビタミンB1を多く含む食材を使うようにしています。体重が減少傾向にある選手への声がけは積極的に行っています」 「箱根駅伝は大学3大駅伝の中で最も距離が長いので、本番1週間くらい前から徐々に炭水化物を増やしていきます。いつものご飯に加え、季節柄、温かいうどんやお餅を出すことが多いです。後はあまり胃に負担のかからないものを出すように意識しています」 こうして、寮でしっかりと食事をとった選手が大会で力強い走りを見せ、結果を残してくれたときが何よりも嬉しいと大八木さんは言います。メニュー作りにおいて全幅の信頼を寄せる大八木監督と、毎日の食事を楽しみに待っている選手のために、大八木さんは厨房に立ち続けます。 |
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今季限りで勇退の京産大・大西監督 関西の大学スポーツ界をリードしてきた名将2人が今季限りで勇退する。京産大ラグビー部の大西健監督(69)は1973年の就任以来、無名の選手を鍛え上げ、スクラムを看板に躍進。4度の関西制覇のみならず、世界殿堂入りした大畑大介さんら日本代表を多数輩出した。40年以上、曲げずに貫いてきた信念の道のりをたどった。
23歳の青年がラグビー部監督に就任したのは大学創立9年目の1973年だった。同好会からスタートした部はBリーグに昇格したばかりで部員は30人ほど。グラウンドはハンドボール部やホッケー部と共有していた。まだ強豪校としての形すらない時に、強化を託された大西監督は最初に、こう話した。 選手とも年が変わらず、「キャプテンみたいな感じだった」。だから、練習後によく夢を語り合った。話し合いを重ねながらできたのが、今も生きる3つの目標だ。(1)同大と互角に戦えるチームを作ろう(2)ラグビー発祥の国、イングランドの芝を踏もう(3)大学チャンピオンになろう。練習だけではなく、グラウンドの確保や寮の部屋の手配、新入生の勧誘など、あらゆることに忙殺されながら、就任年にAリーグ昇格を決めた。 順調な船出も、すぐ壁にぶちあたった。啓光学園(現常翔啓光学園)、天理大での現役時代、いずれも監督を務めた藤井主計氏の影響で「スクラムを押すという発想はなかった」とランニングラグビーを志向。だが、上位へはなかなか食い込めなかった。78年の京大戦ではスクラムで完敗。「FWが押されるとバックスが全く機能しないということを嫌というほど思い知った」。まだ新興校で、人材確保もままならない。「努力で強くなれるところはスクラムとモールだ」。それが、伝統のスクラムが誕生したきっかけだった。 花が開いたのは就任10年目だった。82年に初めて全国大学選手権に出場。16―45で敗れたが、早大相手に認定トライを奪うなどスクラムでは優位に立ち、名をはせた。そして、87年のAリーグ最終戦。10―9の僅差で、同大に初めて勝利した。90年にはイングランドに遠征、ケンブリッジ大と試合した。 3つの目標のうち、2つは成就した。しかし、大学選手権では過去7度進んだ準決勝で敗退している。今年がラストチャンス。「最後だから…とは思っていない。毎年同じ気持ちでチャレンジしているから」と特別な感慨は漂わせないが、部員の合言葉は「大西先生のために日本一」だ。 開幕を控えたある日。柔和な表情で練習を見守っていた大西監督の顔つきが、スクラム練習が始まると一変した。声を荒らげる時もある。こだわりが垣間見える瞬間だ。 時には2時間にも及ぶスクラム練習だけではない。体重が落ちないように焼き肉や鍋を全員で囲む“栄養合宿”しかり、早朝の筋力トレーニングしかり。今では強豪校が当たり前にやっていることを40年以上前から、人知れず続けてきた。 「私にとって京産大ラグビー部は家族。家族のためなら頑張れる」 69歳の今も、5時半に起床し、6時半からのトレーニングで目を光らせる。コーチ陣に指導を任せている時でさえ、練習中は決して座らない。20代の時と変わらないスタイルで、最後のシーズンに挑む。 |
写真:長田洋平/アフロスポーツ




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