とはいえ、ルールまで把握している人は意外と少ないのではないでしょうか? そこで今押さえておきたい、ラグビーの基礎知識と楽しみ方を、1972年創刊のラグビー専門月刊誌『ラグビーマガジン』の編集者、田村一博さんに教えていただきました。
まずは、これを知っておかなければ始まらないという、超基本的精神から。
「One for all, All for one(ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために)」
日本のラグビーには、そのプレーの根底にさまざまなスピリット(信念)があります。最も有名なのは「One for All, All for One」という言葉ですが、実は元はフランスの小説「三銃士」の中に登場したもの。
「ラグビーのメンバーにはそれぞれ役割があり、全員が協力することが求められるスポーツです。得点につながるプレーをした人だけでなく、チーム全員の努力があってこそ勝つ、という言葉です。また、ノーサイドの精神という言葉もラグビーでは有名です。試合中はお互いに目を吊り上げて戦っているのに、試合が終わったら握手をして、お互いの健闘を称え合うスピリットが大切にされています」(『ラグビーマガジン』編集者・田村一博さん、以下同)
日本のラグビーが愛される理由
ラグビーの選手は、スポーツ選手の中では体格の大きな人が多いのですが、他国のラグビー選手と比較すると、とても小柄です。つまり日本人選手は、その身体的ハンディを負いながら戦っていると言えます。
「日本ラグビーには、他国とは違う、テンポのある素速いプレーをすることが求められます。小さい者が大きな者に勝つために、身体的な特徴をハンディではなく活かせるようなプレーを確立しながら、日本は強くなってきているのです。また、元フランス代表の主将だったジャン=ピエール・リーブが言った、“ラグビーは少年をいち早く男にし、大人にいつまでも少年の心を持たせる”という言葉があります。ラグビーが愛されている理由は、この言葉通りである気がします」
3分で分かる! ラグビーのルールラグビーは1チーム15人で構成され、15人対15人で戦う「陣取りゲーム」です。ひとつのボールを奪い合いながら相手チームの陣地に攻め入り、ボールを持って前進していくことで陣地を広げていきます。相手のゴールラインの向こう側(インゴール)にボールを持ち込んで、地面にタッチすると、トライとなり得点が入ります。
【知っておきたいポイント-1】プレーによって得点が違うサッカーなどと違って、トライすれば一点が入る、という得点方法ではありません。トライは5点で、またトライが成立すると、キックで2点の追加得点が得られるチャンスが与えられます。また、ワンバウンドさせたボールをキックするドロップキックによる得点は3点になります。さらに、相手が反則したときに与えられる“ペナルティーゴール”というチャンスでは、キックしてゴールすると3点が追加されます。
「試合の残り時間が少なければ、5点が入るトライを狙わないと逆転できないでしょうし、反対にこちらが勝っているときは、ペナルティーゴールのチャンスを向こうに与えてしまわないよう、反則に気をつけるなど、場面場面で戦い方が変わっていくのがおもしろいところです」
![]() 【知っておきたいポイント-2】ボールを自分より前に投げてはいけない持っているボールを自分より前に投げると反則になります。「味方にパスするときは自分のいるラインより後方に投げて、ボールをつなぎます。また、持っていたボールを前に落とすと、それだけで“ノックオン”という反則になってしまいます。たったこれだけのミスでも、相手にペナルティーゴールのチャンスを与えることになってしまうので、時間がなく焦るような場面でも、正確さと慎重さが求められるスポーツなのです」
【知っておきたいポイント-3】各ポジションの基本的な役割と特徴ラグビーでは、15人のうち8人がフォワード、7人がバックスという役割につきます。「選手同士のぶつかり合いを避けることができないのがフォワードです。バックスより体が大きく、力の強い選手が求められます。一方、フォワードの獲得したボールを得点につなげることが多いバックスは、ボールまわしのテクニック力が高いことや、足が速いことなど、華麗なプレーを得意とする選手が多いです」
●フォワード(FW)
前線で体を張ってチームを下支えするため、身体的に優れた選手がつくことが多いポジション。 ![]() ・プロップ(PR/背番号1、3番)
スクラムの最前列で相手とぶつかり合い、押し合うポジション。丸く大きな体の選手がつくことが多く見られます。 ・フッカー(HO/背番号2番)
プロップ同様にスクラムの最前線でぶつかり合いますが、ラインアウトのスローイングや、スクラムの中でボールを後方に送るために蹴る役割を果たすため、器用さも求められます。 ・ロック(LO/背番号4、5番)
空中戦と言われるラインアウトでボールを競い合うため、背が高い選手が多いです。また、スクラムの真ん中でパワーを発揮する必要もあります。国際的には2m超の選手も多く、男の中の男のポジションと言う人もいます。 ・フランカー(FL/背番号6、7番)
常にボールと一緒に動きまわり、真っ先にタックルします。動き続け、タックルし続ける勇気とタフさが求められます。 ・ナンバーエイト(NO8/背番号8番)
フランカーの仕事に加え、もっとボール前に出る攻撃力が求められます。自由さもあり、フォワードのスターポジションです。 ●バックス(BK)
グラウンド後方でゲームをコントロールしてチームをリードしていくため、足の速さやボールを蹴る能力の高い選手がつきます。 ![]() ・スクラムハーフ(SH/背番号9番)
フォワードとバックスのつなぎ役です。試合中は、ずっとパスをし続けるので、小柄ですばしっこく動き続けることが求められます。 ・スタンドオフ(SO/背番号10番)
チーム全体を動かす司令塔と呼ばれ、ゲーム全体をデザインする役目です。パスもキックもうまく、広い視野も求められる花形ポジションです。 ・センタースリークウォーターバック(CTB/背番号12、13番)
ボールを持って前に出ることが多いポジションです。タックルする機会も多く、頑健な体躯も求められます。 ・ウイング(WTB/背番号11、14番)
仲間が運んでくれボールをトライにするポジションです。チームでいちばん足が速い人が多いです。 ・フルバック(FB/背番号15番)
キックを蹴ったり、相手キックを受けたりするポジションです。また、チームの後方に立つので、全体を動かす指示の声も重要です。ディフェンダーとしては「最後の砦」と呼ばれています。 ラグビー観戦の楽しみ方とは?![]() ラグビーを見るのが初めての人には特に、スタジアムで観戦することをおすすめします。
「大きな体の男性同士が本気でぶつかり合う姿は、格闘技を思わせる場面もあり、迫力があります。タックルしてぶつかり合う音を感じたり、スタジアムのお祭りのような賑わいを味わったりすることで、試合観戦がより楽しめるでしょう。ラグビーには細かなルールもあり、席から見えづらい場面などでは、試合を見ていてわかりにくいところもありますが、最初からルールをすべて勉強していかなくても、そのリアルな迫力を楽しみに行ってみてください」
では、いよいよ開催が近づく日本大会は?
「ラグビーワールドカップ2019日本大会」はこうして楽しむ!![]() W杯での注目ゲーム9月から開催されるワールドカップの中で、注目すべき試合は2つです。
・日本VSアイルランド、スコットランドの試合
「予選リーグ(プールA)では、日本、ロシア、サモア、アイルランド、スコットランドの5カ国の中で2位までに入らないと、決勝トーナメント(8チーム)には出場できないのです。過去の大会で、日本は決勝トーナメントには進んだことがありませんから、格上のアイルランド、スコットランドのどちらかには絶対に勝たなければいけません。この2カ国との試合は、ぜひ観てほしいです」 ・世界の強豪同士の試合
「予選リーグ(プールB)のニュージーランド×南アフリカ、プールCのイングランド×アルゼンチン、プールDのオーストラリア×ウエールズは、世界中のラグビーファンから注目される試合です。世界の強豪と言われる選手が集まったチーム同士の戦いは見ものです」 覚えておきたい日本代表の選手たち![]() 現在、日本代表に選ばれた15名の選手は、元日本代表だったヘッドコーチとともに、ワールドカップに向けてトレーニングを続けています。
「現在の日本代表は、世界ランキング11位です。なかでも注目すべき選手は、2015年大会でも主将を務めたリーチ・マイケル。ラグビーが強いニュージーランドの出身で、世界でも名の知られた選手です。ポジションはフランカー(6番か7番)を務めています。また、ウイングの福岡堅樹選手は爆発力があり、50mを5.8秒で走る脚を持っていて、世界レベルのスピードを出す選手と言われています。彼は2019年のワールドカップと、2020年の東京五輪に出場した後、引退して医学部を受験し、医者を目指すことを決めています。ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフは元日本代表で、1999年のワールドカップには日本代表の選手として出場しています。また、元ニュージーランド代表選手でもあり、1995年大会ではワールドカップで準優勝したときのメンバーでもあります。瞬発力や駿足力を必要とする日本独特の戦い方をよく知っていて、日本ならではの戦い方をサポートできるコーチです」
さらに、ワールドカップのほかにも注目の大会は目白押し。
絶対チェックしたい国際大会 直近スケジュールラグビーマガジン編集部がオススメする、これからチェックしておきたいラグビーの試合をお聞きしました。
1. 2月23日から始まっているスーパーラグビー
「世界レベルのスーパーラグビーというリーグがあります。そこに参加する、日本を本拠地とする「サンウルブズ」の試合は要チェックです。日本代表選手も出場しますし、他国のチームにも代表選手がたくさんいますから、ワールドカップの予習にはぴったりです」 2. 7月27日から始まるパシフィック・ネーションズカップ
「ワールドカップ開催の2ヶ月前とあって、しっかり調整した日本代表の姿が観られる絶好の機会です。日本は、フィジー(会場は岩手・釜石)、トンガ(会場は大阪)、アメリカ(会場はフィジー)と戦います。そのひとつとなる釜石鵜住居復興スタジアムは、2011年に津波で甚大な被害を受けた地域で、復興計画によって新設されたところです」 3. 9月6日のウォームアップゲーム
「ワールドカップ直前の9月6日には、熊谷にて南アフリカの代表選手と日本代表の戦いがあります。南アフリカは世界ランク5位ですが、2015年の試合では日本が僅差で勝利しています。また、この熊谷ラグビー場は今年のワールドカップのために大規模な改修工事が行われ、熊谷という街がラグビーで盛り上がっているのが楽しめます」 ラグビーを観たことがない!という人でも、ワールドカップ開催に向けて今から試合を観戦しておけば、徐々にルールがわかってきて、より楽しめるようになるでしょう。スタジアムに足を運んで、その迫力を味わってみてください。
Profileラグビーマガジンベースボール・マガジン社が発行するラグビー専門の月刊誌。選手のインタビューや注目すべき試合の特集が組まれ、予習や復習にもおすすめです。 https://www.sportsclick.jp/rugby/ 取材・文=吉川愛歩 写真提供=松本かおり 構成=Neem Tree |
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ラグビーW杯、公認チームキャンプ地が決定決勝トーナメント進出チームは千葉、東京、大分を拠点に
ラグビーワールドカップ2019組織委員会は11日、大会期間中に出場チームが滞在する「公認チームキャンプ地」が決定したと発表した。2018年4月20日に内定が発表された59自治体(52件)に続き、今回はプール戦および決勝トーナメント出場チームが拠点とする61自治体(55件)が決定。北海道から沖縄まで日本全国でワールドカップ開催をサポートする。 【図表】2019年ラグビーW杯日本大会プール組分け 決勝トーナメントに進出したチームは、千葉県浦安市、東京都B・Cと府中市、大分県別府市と大分市を拠点とし、プール戦に参加する20チームの公認チームキャンプ地は下記の通りとなっている。 【プールA】 アイルランド(市原市、横浜市、掛川市・磐田市、神戸市、春日市) スコットランド(東京都A、横浜市、浜松市、神戸市・兵庫県、長崎県・長崎市) 日本(東京都B、東京都C、浜松市) ロシア(さいたま市、埼玉県・熊谷市A、武蔵野市、海老名市、掛川市・磐田市、淡路市・兵庫県) サモア(山形県・山形市・天童市、埼玉県・熊谷市B、名古屋市、淡路市・兵庫県、福岡県・福岡市) 【プールB】 ニュージーランド(浦安市、東京都C、一宮市、別府市) 南アフリカ(浦安市、御前崎市、一宮市、神戸市、鹿児島市) イタリア(静岡市、豊田市、堺市、福岡県・福岡市) ナミビア(岩手県・宮古市、盛岡市、町田市、豊田市、大阪府・東大阪市、和歌山県・上冨田町) カナダ(岩手県・釜石市、神戸市・兵庫県、長門市、春日市、大分県・別府市) 【プールC】 イングランド(札幌市A、府中市、東京都C、神戸市、宮崎県・宮崎市) フランス(府中市、東京都A、静岡県富士吉田市・富士河口湖町、春日市、熊本県・熊本市A) アルゼンチン(福島県、埼玉県・熊谷市A、東京都B、大阪府・東大阪市) アメリカ(埼玉県・熊谷市B、堺市、福岡県・福岡市、読谷村) トンガ(札幌市B、埼玉県・熊谷市B、大阪府・東大阪市、堺市、長崎県・島原市、熊本県・熊本市B) 【プールD】 オーストラリア(北海道・江別市、浦安市、小田原市、東京都B。東京都C、掛川市・磐田市、別府市) ウェールズ(東京都B、豊田市、大津市、北九州市、熊本県・熊本市A、別府市) ジョージア(埼玉県・熊谷市B、御前崎市、名古屋市、堺市) フィジー(札幌市C、網走市、岩手県・宮古市、大津市、大阪府・東大阪市、大分市) ウルグアイ(岩手県・釜石市、北上市、埼玉県・熊谷市A、熊本県・熊本市B、大分市) ※複数の自治体の場合は、代表自治体・共同自治体の順で記載。 |
サンウルブズ、逆転負けで連勝逃す SO松田が20得点中15得点で◆スーパーラグビー 第4節 ブルース28―20サンウルブズ(9日、ニュージーランド・オークランド) 日本チームのサンウルブズはブルース(ニュージーランド)に20―28で惜敗し、初の敵地2連勝を逃した。通算1勝3敗。2度のシンビン(10分間の一時退場)を出すなど反則が多く自滅したが、前半は今季初先発のSO松田力也(24)=パナソニック=が1トライ、1コンバージョンキック、2PGで全得点を挙げる奮闘を見せた。次戦は16日に秩父宮でレッズ(オーストラリア)と対戦する。 9月開幕のW杯代表入りを目指し「10番修業中」の松田が、ラグビー王国で全20得点のうち15点を挙げた。初先発のSOを託されながら勝てる試合を落とし「勝てるところまでいったのに。本当に悔しい」と肩を落とした。 代表の万能BKとして重宝され、今季は本職のSOでサンウルブズに送り込まれた。前半は4、12分のPGで6得点。6―8と逆転された後の同30分、チームが激しいタックルでボールを奪うと、センターのリトルの背中を通すパスなどを交ぜながら防御ラインを突破した。最後は約20メートルを独走してトライし、前半は一人で13得点を稼いだ。 サンウルブズと同時進行で強化しているジョセフヘッドコーチ配下の代表候補は国内合宿中で、ライバルの15年W杯代表・田村優(キヤノン)も参加。敗れたものの、海の向こうで存在感を示すために参加したスーパーラグビーで貴重な経験を得た。反則の多さが目立つなど課題も残るが、代表と同じく鋭い出足で重圧をかける防御では成果も発揮。「信じることをやり切れば勝てるのも分かったし、できなければ勝てる試合も勝てない」と前を向いた。 |
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練習生として日本代表候補キャンプに招集
昨年6月のテストシリーズを最後に日本代表から離れていた立川理道(クボタスピアーズ)が、2大会連続のワールドカップ出場へ向けて、ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチからチャンスを与えられた。 日本ラグビー協会は3月5日、千葉県・浦安市で実施している日本代表ワールドカップトレーニングスコッドのキャンプに、29歳の立川を練習生として追加招集することになったと発表した。 2015年のワールドカップでCTB、SOとして4試合すべてに先発して歴史的な3勝に貢献し、2016年にジョセフ体制となってからはHO堀江翔太とともに共同キャプテンを務めていた立川。しかし、代表55キャップ目となった昨年6月のジョージア戦を最後に桜のジャージーを着ていない。 昨年秋には日本代表メンバーから外され、ジョセフ ヘッドコーチはその理由について「彼の最近のパフォーマンスが我々の求めるレベルに達していなかったということです。彼のことは選手としてリスペクトしています。この先のトップリーグの試合、今後の活躍で彼がこの逆境を乗り越え、復活してくれると信じています」と語っていた。 昨年12月に発表された第三次ラグビーワールドカップトレーニングスコッドおよびナショナル・デベロップメント・スコッドにも立川の名前はなく、今年のサンウルブズ(スーパーラグビーの日本チーム)にも選ばれていないが、2月2日にトップリーグ選抜の背番号12をつけて日仏ラグビーチャリティマッチ(クレルモン・オーヴェルニュ戦)で奮闘。そして今回、練習生ながらキャンプに招集されたことで、ワールドカップの代表メンバー入りへアピールするチャンスをもらった。 なお、同キャンプに参加していたFL/NO8徳永祥尭(東芝ブレイブルーパス)は負傷のため途中離脱となった。 |











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