堀江、田中、リーチの使い方/トヨタ・ホワイト監督<TLの名将が見た日本代表(2)> トップリーグ(TL)で指揮を執る海外出身の名将が独自の目線で日本代表、ワールドカップ(W杯)について語るシリーズ第2回は、トヨタ自動車のジェイク・ホワイト監督(55)です。07年大会で南アフリカを優勝に導いた知将は、選手の起用法、対戦相手との探り合いが勝利の鍵になると説きました。 【写真】記者会見に臨むトヨタ自動車のジェイク・ホワイト監督と姫野和樹主将 ◇ ◇ ホワイト氏はW杯を語る前に、日本の成長の陰に、大学ラグビーのレベル向上があると指摘した。大学がTLを押し上げ、TLで選手が育つ流れが代表強化につながっていると話す。 ホワイト氏 まず言いたいのは、3年前の来日時と比べると、大学のレベルが上がっているということだ。TLに入ってすぐに活躍している選手が多くのチームにいることがそれを証明している。トヨタでも、木津がすぐに日本代表候補になり、姫野も即戦力として代表でプレーしている。サントリーの梶村、堀越、パナソニックの山沢らも才能豊かな選手だ。そういった良いシステムが、日本ラグビーの飛躍的な進化を支えていると言える。 TLで2シーズン戦った経験を踏まえ、日本代表で特に印象深い選手としてプロップ具の名前を挙げた。 ホワイト氏 具のスクラムの安定感は素晴らしい。日本はスクラムが弱いイメージが世界にあったが、近年それが変わってきた。昔はティア1(世界最上位グループの強豪)を相手には、すぐにボールを出さないと通用しなかったが、今はしっかり組んで勝負し、そこからボールを出せるようになった。そうなると姫野、リーチなどのバックローの選手がボールを持ってプレーする余裕がうまれ、相手はディフェンスが読みづらくなる。そういう意味でも、具の存在は大きい。 強豪アイルランド、スコットランドと同組の日本。W杯制覇の味を知る知将は、目標の8強に向けた戦いをどう見ているのか。 ホワイト氏 日本の人たちは、1次リーグ最終戦のスコットランド戦に勝たないと決勝トーナメントに進めないように思っているが、スコットランドがアイルランドに勝つことも考えられる。そうなれば、スコットランドに勝ってもボーナスポイント(BP)の影響で上に進めないこともある。つまり、ロシア、サモア戦のBPが必須になるということだ。私がスコットランドのコーチなら、最終戦が日本というのはいやだし、日本のサポーターの前で決勝トーナメントをかけた試合はしたくない。各チームのコーチは、誰をどの試合で使い、いつ休ませるのかを、今考えている。つまり、相手コーチの頭の中も探りつつ、準備をしないといけないということだ。 日本代表がW杯で成功を収めるためのポイントを聞くと、経験豊富な選手の使い方を挙げた。 ホワイト氏 ビッグゲームなら、誰もが堀江、リーチ、田中の3人で試合をフィニッシュさせたいと思うだろう。プレッシャーがかかる残り20分の場面では、その3人をグラウンドに置きたいと考えるはずだ。彼らをベンチからスタートさせ、展開を見ながら投入することも考えられるが、先発の場合は控え選手が鍵になる。残り10分で出場する若手が、とてつもなく大きな重圧を受ける展開になるかもしれない。試合の流れを変えるインパクトプレーヤーも大事だが、W杯ではボールを持って簡単にトライなどできない。その3人の使い方は、日本代表にとって重要なポイントになるかもしれない。 ◆ジェイク・ホワイト 1963年12月13日、南アフリカ・ヨハネスブルク生まれ。教師や若年層の南ア代表の指導者を経て04年に南ア代表監督に就任し、07年W杯で優勝。13年にはブランビーズを率いスーパーラグビー準優勝。モンペリエ(フランス)などの指揮を経て17年からトヨタ自動車監督。04、07年にIRB(現ワールドラグビー)の年間最優秀コーチ賞受賞。 |
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SR5度V、元豪代表監督が選ぶ15人/ディーンズ氏<TLの名将が見た日本代表(1)> 今週はトップリーグ(TL)で指揮を執る海外出身の名将が、独自の目線で日本代表、ワールドカップ(W杯)について語ります。第1回は世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」で5度の優勝経験を持つ、パナソニックのロビー・ディーンズ監督(59)です。オーストラリア代表を率いて11年W杯に出場した経験を踏まえ、「自分なら」と先発15人をセレクト。ベテランSH田中史朗(34=キヤノン)の起用法を、日本躍進の鍵に挙げました。 【写真】日本代表について語ったパナソニックのディーンズ監督 日本ラグビーを熟知する名将は、15年大会以降の日本代表について「選手層も含め、深みがこれまでとは違う」と進化を認めた。日本での指導は6年目。TLでしのぎを削るライバルチームにも幅を広げ、注目選手を聞いた。「海外のクラブでコーチをすることになっても連れていきたい選手」として名前を挙げたのがフランカー姫野、WTB福岡、FB松島の3人だ。 ディーンズ氏 まずは姫野。彼のプレーには魂がある。だから彼がプレーすれば周りの選手がついてくる。どんな試合でも、問題点を探すのではなく、解決策を探しながらプレーしている。心と体の強さも備わっており、間違いなく世界レベルの選手と言えるだろう。福岡はチームが機能し、チャンスさえ与えれば必ず得点に変えてくれる。日本の大きなチャレンジの1つが、チャンスをどう得点に変えるか。それができるのが福岡だ。松島は彼自身の頭の中でラグビーが明確になった印象を受ける。以前は1人の才能ある選手だったが、経験を重ね、声とプレーで周りの選手を動かせる本物のFBになった。 もし自身が日本代表監督なら、どんなメンバーで開幕ロシア戦に臨むのか−。代表候補選手のリストをにらみ、「難しいね」と苦闘しつつも、15人の名前を並べてくれた。 ディーンズ氏 1、2番はチームの柱となる稲垣、堀江。彼ら2人はキャリアの中でも最も良い時期に来ていると思う。3番は具。スクラムが注目されるが、彼はフィールドプレーでも自分からすすんで体を張れる。ロックにはトンプソンを入れたい。経験があるし、彼のような正確で堅実なプレーができる選手はW杯では貴重だ。難しいのはCTB。いろんな組み合わせが考えられるが、私なら、正しいプレーを徹底して遂行できる立川を入れる。 ディーンズ氏は、途中出場する選手の重要性も強調した。ポイントに挙げたのが、代表69キャップを誇るSH田中の存在だ。 ディーンズ氏 (苦戦した)昨秋のロシア戦でも分かったように、W杯に簡単な試合は1つもない。だからこそ、コーチは経験のある選手を後半から使いたいもの。フミは試合のテンポをどこで上げ、どこで落とすかを熟知している。難しい局面でピッチに入っても、チームの柱としてゲームを正しい方向にコーディネートしてくれるだろう。 日本が目標と掲げる史上初のベスト8。世界が日本の実力を認めているからこそ、難しさもあると語る。 ディーンズ氏 16年から、日本の多くの選手がスーパーラグビーでの戦いを経験した。そのプラス面は計り知れないが、それはもろ刃の剣であることも忘れてはいけない。前回大会で南アフリカに勝利した事実、そしてSRで世界のラグビーの目にさらされた事実。「やってみたら強かった」というサプライズはもうない。対戦相手も日本の強みであるテンポのあるラグビーを徹底的に分析し、彼らのベストチームで臨んでくるだろう。日本はアイルランド、スコットランドという強豪とも、十分に戦えるだけの力はある。勝利するためには、どこで、どのようにリスクを取りにいくかだ。W杯は自分たちを試す究極の場。明日はない。生きるか死ぬかがその場で決まる。そういう舞台だ。【奥山将志】 |





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