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2008年10月3日(金)
「罪認め謝罪を」 遺族「耳を疑った」 熊谷9人死傷事故初公判
閉廷後、記者会見する遺族の小沢克則さん(左)と妻樹里さん=2日午後、県庁
「耳を疑った」。遺族の感情は怒りを通り越していた。熊谷市で飲酒運転により九人が死傷した事故で、危険運転致死傷罪に問われた元トラック運転手玉川清被告(32)の初公判が二日、さいたま地裁であった。玉川被告は「正常な運転ができないほど酔ってはいなかった」と泥酔を否定。これに対して遺族は「罪を認め、謝罪してほしい」と沈痛な思いを口にした。
事故が発生した二月十七日から七カ月半、玉川被告と初対面した形の遺族の小沢克則さん(31)は、「事故から時間がたち、気持ちが落ち着いたところもあったが、玉川被告の顔を初めて見て、当時のことを思い出した。自分の大事な両親の命を奪い、重傷を負った弟妹の今までの生活を奪ってきた被告に、憎さが込み上げてきた」と話す。
死亡した小沢善政さんと妻雅江さん=ともに当時(56)=の車に同乗し重傷を負った克則さんの双子の弟妹も傍聴席に臨んだ。弟は一時重体に陥り、克則さんによると「きょうはいるだけで精いっぱい。父と母の無念を晴らしたくて来たと言っていた」と話す。妹も体力がまだ回復していない。「許せない気持ちでいっぱいだ」と話していたという。
事故直後、玉川被告の血液からは一ミリリットル中、二・二ミリグラムと高密度のアルコールが検出された。それだけに泥酔を否定した同被告の言葉には不快な思いを抱かされたらしく、克則さんの妻樹里さん(27)は、「自分を保護するための必要な手段だと思う。けれど被害者や遺族を苦しませることは言わないでほしい。心からの謝罪が欲しい」と訴える。
証人尋問では、玉川被告の車が衝突したもう一台の車を運転していた被害者女性が証言台に立った。「私は心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、精神安定剤を飲まないと眠れない。同乗していた高校生の娘もパニック障害で真っすぐ歩けなくなっている」と事故の後遺症に苦しんでいることを告白。
玉川被告から謝罪の手紙を受け取ったが、「内容は二度と飲酒運転を起こさないと書いてあった。今後も車を運転しようとしているなんて信じられない」と怒りをあらわにした。
玉川被告は公判中、終始うつむき、被害者や遺族と視線を合わせることなく退廷した。
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