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2008年11月12日(水)
熊谷飲酒9人死傷事故 判決 遺族「厳罰信じる」
判決を前に心境を語る遺族の小沢克則さんと妻樹里さん=10日、東松山市神戸の自宅
熊谷市の県道で2月17日、飲酒運転の乗用車が対向車と次々と衝突し九人が死傷した事故で、危険運転致死傷罪に問われた元トラック運転手玉川清被告(32)の判決が12日、さいたま地裁(若園敦雄裁判長)で言い渡される。検察側は同罪上限の懲役20年を求刑。弁護側は「正常な運転ができないほど酔ってはいなかった」と同罪は成立しないと主張している。判決を前に、死亡した小沢義政さん、妻雅江さん=ともに当時(56)=の遺族らが、心境を語った。
「懲役20年の求刑は検事さんが被害者の気持ちを分かってくれたもの。意見陳述を通して、裁判官の皆さんも私たちの気持ちを分かってくれれば、(同20年を)出してくれると信じている。今は祈るだけです」。両親を失った長男小沢克則さん(32)は静かに語る。
父義政さんには、夢があったという。うどん店を出すこと。ムギを栽培し、自宅にはうどんを打つための専門の小屋があった。「(大学生の三男)恵司が働くようになったら、修行に行けるかな」と話していたという。義政さんの打つうどんはおいしく、克則さんの妻樹里さん(27)は「私が体調が悪くて何も口にできない時でも、お父さんが作ってくれたうどんだけは食べられた」と振り返る。
母雅江さんは、とにかくおしゃべり好きで明るい人だったという。長女恵生さん(22)とは仲が良く、一緒に買い物や旅行に出掛けた。事故当日は雅江さんとの日帰り旅行の帰り。顔に大けがを負った恵生さんは「現在も両親を失ったことを受け止められない。幸せな家族だったのに」と語る。
「割り切れない気持ちがずっと続くと思うと本当に許せない」と憤る恵司さん(22)。事故で一時は重体に陥った。命は助かったが腰の骨を折り、医者からは「1年間は神経がつながらない」と言われたという。一時、歩行は不可能とされたが、家族に支えられ、通院しながら懸命の リハビリに励んでいる。「僕一人じゃここまで頑張れなかった。家族がいたからできた。絆(きずな)を感じている」
自宅には、克則さん夫妻の結婚式の写真が飾られていた。家族全員が笑顔。裁判を通して涙や厳しい表情ばかりが印象に残っているが、本当はみんな笑顔を持っている。いつになったら心の底から笑い合える日が来るのか。
http://www.saitama-np.co.jp/news11/12/09x.html
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