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.「考えられへん光景やった」負傷の映像カメラマン、現場を歩く 京都・暴走車事故
産経新聞 4月16日(月)10時30分配信
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多くの通行人が行き交う事故のあった交差点 =京都市東山区(安元雄太撮影)(写真:産経新聞)
京都市東山区の祇園で歩行者18人が死傷した暴走車事故の翌日、松葉づえをついて車のルートをたどった負傷者がいる。左足に打撲を負った同区のビデオカメラマン、米田喬(たかし)さん(29)。自分が倒れた四条通の交差点から、一歩ずつ歩みを進めた。「しっかり生きていかなあかん。後ろめたさもあるけれど…」。そう語る目に、事故現場はどう映ったのか。
事故から一睡もできずに迎えた13日午後2時ごろ。規制線が解かれ、花束がささげられた四条通の交差点を訪れ、そっと手を合わせた。もう一度自分の目で現場を確かめ、犠牲者の冥福を祈りたかった。目を閉じると、自分をはね、猛スピードで走り去っていく車の後ろ姿が脳裏をよぎる。
「どんな気持ちやってん。何を、見ててん…」。藤崎晋吾容疑者(30)=死亡=の運転する軽ワゴン車は、交差点から北へ約190メートルの電柱に激突し、大破。そこまで左足をひきずり、数分かけて歩いた。報道陣や事故のことを話す通行人の声を耳にしながら。
あの日、交差点の南側にいた。白川まで、満開を迎えた桜を撮影しに行く道中だった。自転車にまたがって信号待ちをしていたときだ。突然、「ドン!」という衝撃が左膝の裏に走った。
しびれるような激痛とともに地面に倒れ込みながら見えたのは、交差点に猛スピードで突っ込み、人を次々にはねていく車と、自分のすぐそばで頭から血を流して倒れ込んでいる女性の姿だった。あちこちで悲鳴が聞こえ、騒然とする現場。頭が真っ白になり、震えが止まらず、しばらくその場に座り込んでいた。
「僕を含めて、人をなぎ倒していった。考えられへん光景やった」。強い恐怖と、信じたくない思い。「『恥ずかしながら帰ってまいりました』というような後ろめたさも、ある」。それでも、しっかり生きねばならないと思う。
現場を歩いたことで、てんかんの持病があったとされる藤崎容疑者にあらためて募った疑問がある。「(てんかんの発作で)意識がなかったら、狭い道をあのスピードでは走れないかなと思う。でも、普通に運転していて、横断歩道を走り抜けた精神も理解できない」
車の中は見えず、藤崎容疑者の表情はうかがえなかった。
「実際にてんかん発作が起こっていたのかどうか、はっきりしてもらいたい」。なによりも真相解明を強く望んでいる。
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