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2012年9月5日(水)
法相、準危険運転罪を検討 悪質事故の罰則強化
滝実法相は4日、悪質な運転による交通事故の罰則を強化するため、自動車運転過失致死傷罪(最高刑・懲役7年)より罰則が重く、危険運転致死傷罪(同・20年)より軽い「準危険運転致死傷罪」の創設を検討していることを明らかにした。
■飲酒運転事故の遺族「現状に合った法を」
滝実法相が「準危険運転致死傷罪」の創設検討を明らかにしたことに対し、飲酒運転事故の遺族からは「厳罰化は当然」「踏み込んだ議論を」と期待の声が上がっている。
飲酒運転による事故で幼い娘2人を亡くした千葉市の井上郁美さん(43)は「細かい中身が見えてこないと何とも言えない」としつつも、「一歩踏み出したことはいいことで、期待したい」と話す。
飲酒運転の事故現場から逃走し、アルコールが抜けてから摘発される、いわゆる「逃げ得」をなくすため、井上さんたちは6月に法改正を滝法相に要望。全国から集まった約6万4千人分の署名を提出した。危険運転致死傷罪の創設から11年。この間、多くの遺族たちが泣き寝入りをしている。井上さんは「一つ一つの事例を拾い、一歩踏み込んだ議論をしてほしい」と訴える。
川口市で2008年11月、飲酒運転による事故で姉夫婦とめいの3人を亡くした遺族の女性(49)は「今の危険運転致死傷罪は抜け道だらけ。適用条件を細かく見直し、現状に合った法を作ってほしい」と願う。事故では運転手の女=当時(33)=から基準値を大幅に超えるアルコールが検出されながら、「飲酒の影響を認定するだけの証拠がなかった」として、危険運転致死傷罪が適用されなかった。女は自動車運転過失致死傷などの罪で起訴され、判決は懲役10年だった。事故から4年近くたった今も、納得はできていない。
京都府亀岡市の事故もあり、危険運転致死傷罪の見直しを求める声は高まっている。だが、どれだけ悲惨な事故も風化する恐れはある。「法律を変えるなら、今しかない。自分に関係ないと思っても事故は身近に起きる。一人一人の問題として考えてほしい」。女性は声を強くした。
熊谷市で08年2月、飲酒運転の車が衝突して9人が死傷した事故の遺族の小沢樹里さん(31)は「危険運転致死傷罪が適用できなかった悪質な運転者を補える法律ができる方向に動いたことには感謝したい」と歓迎した。
事故では、衝突された車に乗っていた小沢さんの夫の父義政さんと母雅江さん=いずれも当時(56)=が死亡するなどした。飲酒運転をしていた男は、危険運転致死傷罪で有罪が確定。同乗していた男2人も危険運転致死傷ほう助罪で一、二審とも実刑判決を受け、最高裁に上告している。小沢さんは「準危険運転致死傷罪でも同乗者を処罰できるようにし、裁判員裁判の対象にもするべきだ」と求めている。
小沢さんは今後、ほかの交通事故遺族とともに、法務省に対して、法律の適用範囲を具体的に盛り込むよう促す要望書の提出を考えている。「居眠り運転などを処罰できるようにしてほしい。遺族が行ってきた活動をくみ取り、しっかりした法律を作ってもらえれば」と期待した。
【危険運転致死傷罪】
酒や薬物の影響で正常な運転が難しい状態や、通行妨害目的、赤信号無視などにより死傷事故を起こした場合に適用される。法定刑の上限は負傷事故で懲役15年、死亡事故は同20年。1999年、東京都の東名高速で飲酒運転のトラックに追突された車が炎上し、女児2人が焼死した事故などをきっかけとして刑法に新設され、2001年12月に施行された。致死罪は裁判員裁判の対象となる。 |
活動記録
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