悲しみ支え合う 熊谷9人死傷事故遺族らが「あいの会」結成
秋の全国交通安全運動が21日から始まる。県内の交通事故死者(概数)は19日までで、全国ワースト2位の137人。昨年同期より7人少ないものの、厳しい状況は変わらない。残された遺族は深い悲しみや苦しみを抱えながら生きていくことを余儀なくされる。そんな遺族たちが支え合い、社会にさまざまなメッセージを発信するため、県内の交通事故遺族が中心になって関東交通犯罪遺族の会「あいの会」を7月に結成した。
発足メンバーは6人。うち4人は、熊谷市で2008年2月、飲酒運転の乗用車が衝突して9人が死傷した事故で遺族となった小沢さん家族。正面衝突された軽乗用車の小沢義政さんと妻雅江さん=いずれも当時(56)=が死亡した。会には東松山市に住む長男の会社員克則さん(35)と妻の樹里さん(31)に加え、軽乗用車に同乗していて重傷を負った双子で三男の恵司さん(26)と長女恵生さん(26)が名を連ねる。
乗用車を運転していた男は危険運転致死傷罪で懲役16年の判決が確定している。克則さん、樹里さん夫妻らは事故原因となった飲酒の責任を問うため、同乗していた男2人を告訴。2人は危険運転致死傷ほう助罪で、一、二審とも有罪判決を受け、最高裁に上告している。会を立ち上げようとした切っ掛けについて、樹里さんは「今後の法整備について、要望書を個人として民主党に出そうとしたら、団体でないと受け付けないと言われたから」と言う。
克則さんは「事故当時、全く分からない世界に突然投げ込まれてしまったが、交通事故の遺族からもらったアドバイスに救われた。自分たちと同じような人が出ないのが一番いいけれど、そうした人たちを手助けしたい」と話す。
小沢さん一家は犯罪被害者の催しに参加するなどしていくうち、ほかの交通事故遺族とも出会い、問題意識を深めていった。「全国的な組織だと、遺族同士が顔を合わせて苦しみや悩みを共有する機会がなかなか持てない。近くにいる人たちでそうした場をつくれないか、とも思った」と樹里さん。ほかに2人の遺族も参加して7月、会をつくることが決まった。
飯能市の会社員中村正文さん(42)は10年4月、市内でタンクローリーにひかれた妻友美さん=当時(34)=を亡くした。2人の息子は当時、4歳と1歳。中村さんは「途方に暮れ、子どもたちを里子に出すことも考えた。でも、小沢さんたちと知り合ったことで、いろいろと相談しながら子育てと仕事を両立できている」とほほ笑む。
もう1人のメンバーとなった東京都稲城市の会社員東光宏さん(42)は10年1月、大田区内で母令子さん=当時(75)=が自転車にはねられ、死亡している。東さんは「自転車には自動車運転過失致死傷罪は適用されない。相手がたまたま自動車やバイクでなかっただけで、どうしてこうも扱いが違うのか」と法律に疑問を抱いてきた。
会は現在、定期的に集まりながら、会則やロゴマークを決めるなど、本格的な活動開始に向けて準備している。今後は、新設が検討されている準危険運転致死傷罪についての要望書提出や、ほかの遺族への支援などを行う予定だ。
「あいの会」の「あい」は、「愛」「わたしのI」「アイデンティティーの頭文字のI」を表している。「交通事故遺族になっても、自分を見失いたくない」という願いを込めたという。今も事故の後遺症と闘っている恵司さんは言う。「これからは、自分が支える側になりたい」 |
あいの会 活動
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