飲酒ひき逃げ懲役17年判決 「未必の殺意」認定 「被害者の命よりも自己保身を優先させた身勝手極まりない犯行だ」――。長野市で昨年11月、当時17歳の女性2人が酒気帯び運転の車にはねられ、1人が引きずられて死亡した事件。長野地裁の高木順子裁判長は19日、当時19歳の元少年(20)が引きずりを認識していたとして「未必の殺意」を認定し、懲役17年(求刑・懲役20年)を言い渡した。殺意を否定していた弁護側は即日控訴。亡くなった徳竹優菜さんの母親は「被害者の気持ちをわかっていただいた」と受け止めた。
元少年が引きずりを認識していたか否か、殺意の有無が公判の最大の争点。証人25人が出廷し、公判は15回と県内の裁判員裁判では最多となった。
スーツ姿の元少年は高木裁判長の言い渡しを身動きせずに聞き、「主文は以上です」と告げられると、軽くうなずいた。理由の朗読の間も、じっと聞き入った。
判決では、元少年の車が2人をはねて二百数十メートル走行した後、いったん停車したことを目撃証言や再現実験の結果などから認定し、「停止した事実は、被告人が『悲鳴』や『異状』に気が付いていたと雄弁に物語っている」と指摘。弁護側の引きずりの認識はなかったとする主張を退けた。
高木裁判長は量刑の理由で、計約700メートルにわたって引きずられた徳竹さんの苦痛、一人娘を失った徳竹さんの母親の悲しみや、徳竹さんの友人に後遺障害が残ったことなどを重視。「車底部に巻き込んだまま引きずった殺害方法は残忍で、2人の若い被害者と家族の人生を暗転させた責任はあまりにも重大」と非難した。元少年が以前から飲酒運転を繰り返していたことから「酒気帯び運転には常習性もある」と指摘した。
一方で元少年の認識が死亡させるかもしれないという「未必の殺意」にとどまり、発端が過失による交通事故であること、長期の服役が元少年に及ぼす影響を考慮し「厳しい刑に処すべきであるとの意見と、更生を期待する意見との間で慎重に評議した」と言及した。
地検の小池充夫次席検事は「事実認定も量刑も、おおむね納得出来る」と評価した。小池次席検事によると、事件の再現実験では人形やスピーカーを車底部に取り付け、運転者が引きずりを認識し、悲鳴が聞こえるかどうかを試した。家裁審理のときには運転歴が豊富な人が被験者だったが、地裁での公判に向け、元少年と同年代で運転歴の浅い男女で改めて実験したという。殺人罪の認定について、小池次席検事は「手厚い捜査と立証を積み上げた結果だと考えている」と話した。
一方、元少年の弁護人の有吉美知子弁護士は「検察側が目指す結論ありきで話が進んだ」と判決を批判。「家裁の『未必の殺意はなかった』という結論を覆す具体的な説明はなかった。新たな事実が出てきたわけでもないのに、なぜ家裁の判断と異なる結果になるのか」と疑問を投げかけた。
(2012年10月20日 読売新聞)
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飲酒・交通事故
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