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悪質運転:厳罰化新法案 遺族ら「期待」「さらに法整備を」「限界ある」 同じ願い、異なる評価

毎日新聞 2013年04月12日 東京夕刊
 悪質運転によって死傷事故を起こした運転手を処罰する新法案が12日に閣議決定され「現行法の刑は軽すぎる」と訴えてきた遺族からは評価する声が上がった。一方で「まだ十分でない」「厳罰化では事故はなくせない」と異論も出ている。【伊藤一郎】
 「悪質な事故の抑止効果が高まると思う」。栃木県鹿沼市で11年4月、てんかん発作を起こした運転手のクレーン車が暴走した事故で長男(当時9歳)を亡くした伊原高弘さん(41)は新法案に期待した。特定の病気の影響で死傷事故を起こした運転手を危険運転致死傷罪で処罰する規定が設けられ、伊原さんは「てんかんを申告せずに免許を取って事故を起こすようなケースをなくしてほしい」。
 従来は危険運転致死傷罪にならないレベルの飲酒にも同罪を適用できるようになり、無免許で死傷事故を起こすと刑を重くする規定も新設された。
 飲酒事故の遺族で「関東交通犯罪遺族の会」(通称・あいの会)代表の小沢樹里さん(32)は「飲酒を含む悪質事故に対する刑罰の幅が広がったことは高く評価したい。今後は、悪質運転を促したり黙認したりした同乗者に対する刑罰の整備も求めたい」と話した。
 京都府亀岡市で12年4月に起きた無免許暴走事故で、次女(当時7歳)を亡くした小谷真樹さん(30)は「無免許事故を過失犯ではなく、危険運転致死傷罪に含めるよう求めてきたが、そうならず納得できない。国会審議で、悪質運転の被害者や遺族が理不尽な思いをしないような法律にしてほしい」と要望した。
 一方、交通事故遺族を含む被害者支援団体「被害者と司法を考える会」代表の片山徒有(ただあり)さん(56)は「交通犯罪は他の犯罪より再犯性が低く、厳罰化で臨んでも抑止効果に限界がある。アルコールを検知したらエンジンがかからない車の開発、道路のデザイン、交通ルール教育の徹底など抜本的対策に力を入れるべきだ」と語った。

 ◇精神科医ら差別、偏見懸念

 精神科医の学術団体「日本精神神経学会」の三野進理事は「病気を原因とする死傷事故は統計的にも極めて少なく、特定の病気と危険運転を結びつける医学的な根拠もない。特定の病気を挙げて刑罰の対象とする法律は諸外国にも例がなく、患者に対する差別や偏見を助長する」と批判した。

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