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遠くから頬杖ついて、眺めてる。
いつも、そんな存在だった。
きっと、徳井くんはあたしの存在なんて知らないだろうし、
あたしの視線に気がついたことなんてないだろう。
でも、あたしは、
笑う顔、一生懸命になってる顔、怒ってる顔、悲しそうな顔
徳井くんのいろんな表情を見れるだけで幸せな気持ちになる。
だから、今の状態で満足してるし、何より恋してることが楽しい。
「あ、見て、ね、涙!」
「ん?」
「ほら、ほら!あそこ!」
「サッカー?」
あたしが指差すのは、グラウンドでサッカーしてる、徳井くん。のクラス。
「…まーた徳井?」
「え、何よー」
「や、別にいいんやけどさぁ、…なんか、」
「…何?」
「いや、このままでえぇの?」
「このままって?」
「見てるだけのこと。」
「…だって、しゃあないやん。」
徳井くんって、学校1の人気者やし。 と付け加える。
「…でもさぁ、」
「いいねん!見てるだけで幸せやし。」
「…………あ、」
「…ん?」
「そういえば、福ちゃんが徳井と友達やった気がする。」
「福ちゃんて、…涙の彼氏の?」
「うん。」
「へーぇ。」
「福ちゃんに頼んどくな!徳井に会わせたい子がおるって。」
「いや、ええよ!そんなん、あたしは、見てるだけで…」
「いや!会うべきや!」
「……。」
福ちゃんに頼んでみたら「おう、ええよ。」って軽くオーケーしてくれたみたいで。
成り行きで、
今日のお昼、あたしと涙と福ちゃんと徳井くんで会う。
ってことになってもうた。
んやけど、やっぱり緊張とかはするもんで、
「ちょ、ちょっと待って!無理無理!」
「何言うてんの、喋れんのよ?あの徳井と。」
ただいま、屋上のドアの前で必死に抗議中。
「…や、やばいって!緊張してんもん!」
「んなもん知らん!会うって約束してんねんから。な?」
「……………うん。」
諦めて、素直に連れて行かれることにした。
ガチャ
屋上の重たい扉が開いて、2人の後姿が見えた。
あたしの心臓は先程よりも大きく高鳴ってて。
「…やばい、ホント、死ぬ。」
「なーに言うてんの。 福ちゃーん、ごめんね、待たせて。」
涙が福ちゃんに声をかけたことで、
福ちゃんと徳井くんがこっちを振り返った。
「おう、待ってたで〜」
涙はあたしの手を引っ張り、徳井くんの前に座らせた。
涙は福ちゃんの前。
4人で円になるような感じ。
「徳井に会わせたい子って、吉子のことやったんや。」
福ちゃんがあたしを指差して、涙に言うた。
あたしと福ちゃんは、1回2回、会って会話したぐらいで。
徳井くんをチラッと見ると、あたしをマジマジと見つめてた。
「…吉子?何緊張しとんのよ!」
って笑う涙を、軽く目で制してみたけど、
赤い頬で睨まれても怖いはずがなくて。
「とりあえずさー、自己紹介しよーや。」
福ちゃんの声に、徳井くんが「せやなぁっ」と返事をした。
「俺、徳井義実。B組。よろしくな。」
視線を上に上げ、徳井くんを見てみれば、笑顔の彼がそこにいて。
軽く目眩がするほどに格好良かった。
「あ、あたしは…えっと…。A組の、花月吉子です。…よ、よろしく。」
となりで涙がクスクスと笑うのが分かった。
「吉子ちゃん…でいい?」
「えっ?あ、うん!」
「吉子ちゃんってさぁ、俺に何で会いたかったん?」
「え、あ…それ、は…」
返事に困って、フォローしてはくれないか、と
となりに座ってる涙をチラッと見ると、
「吉子ねー、徳井くんが気になるんだってー」
と、フォローとは全く逆の発言を笑顔でサラッと。
「なっ、ちょ、涙!」
「気になるってか、もう、好きらしいで!」
「涙!」
「え、そうやったんや。」と福ちゃん。
徳井くんは……………無言。
ヤバイ…どうしよう…
あたし、これフラれるの確定?
ってか涙は何を言うてくれてんの!
あーもう…無理、泣きそう…
涙を睨むこともできず、俯いたまま泣きそうなのを堪えてた。
「………ホンマ?」
ちょっとの沈黙を破ったのは徳井くんで。
明らかにあたしに問いかけてるのは分かったけど、
顔を上げることができなくて、
少ししてから、小さくうなずいた。
「俺、俺も、吉子ちゃんのこと、好きやってん、けど。」
「………えっ?」
パッと顔を上げてみれば、
頬を掻いて、恥ずかしそうにこっちを見てる徳井くん。
「え、あ……う、そ…」
「…ホンマに。」
「…あ、…え、と…」
「吉子ちゃん、俺と…、付き合ってください。」
ヤバイ、ホントに、泣きそう…
「お、お願いします。」
「…やった!」
ずっとずっと憧れてた徳井くんの笑顔が、あたしだけに、向いている。
夢、みたいで。
「吉子ちゃん、涙目とか反則やわ。」
徳井くんに抱きしめられ、視界が真っ暗になった。
聞こえるのは、徳井くんの声と、2人が去っていく足音。
それと、徳井くんの心臓の音。
あたしも同じぐらいドキドキしてるんだろうなぁ。
って考えてたら恥ずかしくて。
でも、心から幸せだなぁって、そう感じた。
遠くから頬杖ついて、眺めてたあたし。
今日から、あなたの彼女になります。
--------おまけ--------
「…てかさ、結果的には感謝なんやけど、
あたし、あそこでフラれてたら立ち直れんかったよ、涙」
「だって上手くいかんわけなかってんもん。」
「…何で?」
「福ちゃんに聞いたら、徳井も吉子のこと好きって言うてたって聞いたから。」
「…え、…な、何それ。」
コピらせていただきました。
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