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その後、私は又軽い眠りにつき、再び目覚めた時は溜博市だった。到着するのは大体八時半頃で、ちょうどお腹も空く頃だ。
ホテルに入る前に、いつも私の一番好きな四川(スーチャン)火鍋(ホーコウ)のレストランで食事をすることにしている。
ここの四川鍋は店自慢のだし汁に羊肉、ドジョウなどいろいろ煮込んで、ニンニクのタレをつけて食べるのだが、(そして沸騰させるまで煮込むので一番安全と思われる)、美味しくて滞在中ほぼ毎日一回はこの店で食事をする。
最近日本でも時々お目めにかかるようになった真中がSの字に鉄板で仕切られた鍋を使っている。
半分は普通のだし、片方は辣(ラ−)辛いだしと二つに分かれ、お好みの方で味を楽しめる。
その日も店は混んでいて席を確保するのも大変であったが、私共は常連客なので、店が特別に席を作ってくれた。
いつもはそこで食事をしながら彼と世間話を多くするのだが、私が先程の龍の話を持ち出そうとすると、今度は彼がここではその話題はよした方がいいと制した。
私もすぐに彼の意図を察したので、その話は食事中は一切出さなかった。
次の日の朝、出張事務所に行くと、サム龍(ロン)とマギー楊(ヤン)が既に出勤していて、「宮坂(グォンバン)先生(シェンセン)、弥好(ニーハオ)馬」と迎えてくれた。
トニーを含めたこの三人が私の中国出張所のスタッフだ。その日の工場視察、アポイントメントの確認など一通りの指示を終えた所で、部屋に貼ってあるアジアの地図を見てみた。事務所には青島のある山東省を中心にした地図と、中国全体と近隣諸国も含めたアジアの大きな地図がある。
それを見ながら、言われてみればなるほど日本列島の形は龍に似ているなあと、私もその時初めて認識した次第である。
そしてトニーに「日本的(ジーペンダ)様子(ヤンツ)、差(チャ)不多龍的(ブトウロンダ)様子(ヤンツ)」「日本の形は本当にほぼ龍の形をしているなあ」と感想を言った。そうしたらトニーは得意そうに、「北海道が頭で沖縄につながる諸島が尾っぽだよ」と説明してくれた。
そこで私はサムとマギーにも「弥們也知道馬?(ニーメンイエ
チータオマ)?」「あんた達も知っていたか」と聞いてみた。サムは少し上目遣いに小さな声で、何とも言えない様な顔付きで「知っていた」と答えた。
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