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清美ちゃんへ。
高校時代は名字でしか呼んだことがなかったね。
政子さんから電話をもらって、君が僕と交際したいって間接的に知ったのは、三年生の秋の終わり、文化祭が終わってからだったね。 学校でも美少女でモテモテだった君から、交際したいって政子さんから言われた時は、正直信じられなかったよ。 学校では一度も同じクラスになったことがなかったね。二クラスしかなくて、しかも五人しか女子がいない工業高校だったのに、今考えても不思議だね。一度は同じクラスになりたかった。三年間ずっと思っていた。口もきいたことなかったよね。 その君から「交際したい」と間接的にも申し込まれた時は、うれしくてしかたなかったよ。デートをするでもなく、あの頃は手紙か、電話だったね。君は僕と電話している時、よく笑ってくれたね。学校で顔を合わせても少ししか話せなくてね。 お互いにテレていたのかな。 最初のデートは僕が受験する大学を二人でみにいったことだったね。 その時も僕の話によく笑ってくれたね。僕もよく笑った。 でも、それが最後のデートだったね。 結局僕は浪人、君は就職。立場が違いすぎた。悲しさが二重にも三重にも感じた。 復活する機会はいくらでもあったのに。最後に電話した時のこと、生涯わすれられない。 君は「あなたは変わってしまったんでしょ」と小声で言った。 変わってなんかいない。むしろ君のことが好きでたまらなくなっていた。 お互い子供だったんだね。 だけど、君との失恋以来、何度も他の女性と交際できるチャンスはあったけど、君との別れが、また来るんじゃないかと思って、交際できなかった。 もう一度会いたい。会って「今でも好きだ」と伝えたい。 君と最後にあったのは、確か僕が日本福祉大学の受験の日、その夕方、金山駅で政子さんに偶然会って、「まっていたら清美ちゃんくるよ」と言われた日だったね。 君は僕が政子さんと一緒にいることにおどろいたようだったね。相変わらず可愛いと思ったよ。 それから浪人していた時にも、クラス会で会ったね。 それからは一度も会えなかったね。もう三十四年も前のことになるね。 何年たっても君も事が好きだよ。 君との交際ができなくなってから、誰と知り合っても君と比較してしまい、君以上の女性とは出会えなかった。 今でも、これからもずっと好きでいるよ。 |

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