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目に見える世界意外を、今よりもっと素直に受け入れられた頃・・・小学校に入る前の話
私は突然、お腹が痛くなった。
伯母にいうと、
「食あたりだろうから、寝とき!」
という事・・・食あたりって何だろう?
初めて聞く言葉だった。
2歳で両親が離婚。母の実家に預けられて育った私は
母とは一月に1回、2〜3日しか会えなかった。
祖父母と伯父・伯母・その子どもたち(その頃一番下が高校生)の、
9人家族の家で育った。私は愛情を受けて育ったが、なんせ皆、大人ばかりだから忙しい。
大らかな人たちだったし、こんな風に放って置かれる事もしばしばで、
手のかからない子どもだったが、さすがにこの時は寂しかった。
・・・痛い・・・油汗が出てくる・・・ほかの事考えよう・・・あ、神棚
・・・階段があって、お人形の家みたいやなー・・・
気が付くと、私は神棚の中にいた。
20畳くらいの広さの板張りの部屋の右側に布団がしいてあって、
そこに私は寝ていた。柱だけで、壁の無い家だった。
奥の廊下を2〜3人の巫女さんが、忙しそうに行き来する。
その中の1人が近ずいてきて、
「これでもう大丈夫だから、良いというまで決して布団から出てはいけません。」
と言って、行ってしまった。
何か治療してくれたんかな・・・そういえば、もう痛くない。
ありがたいな〜。でも、結局、また一人か・・・つまんないなー
誰かと遊びたい。隣のみっちゃん、どうしてるかな〜。暇じゃないかな〜。
すると、突然みっちゃんの声がした。
家の外から「遊ぼうよ」と呼んでいる。
柱だけの、一部屋と廊下しかない家だったから、
みちゃんの顔もよく見えた。
なんでみっちゃんがココに居るんだろう。遊びに行きたいな〜。
でも、巫女さんが「良い」って言うまでって言われたし・・・。
それにしてもしつこいな。今日ににかぎって・・・。
断っても諦めない隣のみっちゃんは、何だかだんだん顔がちがってきたような気がした。
「ねえ、良いでしょう。バレないよ。ちょっと遊んで、すぐ戻ればいいし。」
・・・何で巫女さんに駄目って言われてる事を、みっちゃんが知っているんだろう?
みっちゃんは家には入れないらしい。
あくまでも外に誘い出そうとしている。
・・・お伽話で人をだます、『あまんじゃく』が脳裏をよぎる。
誰かにばけて、家の外に誘い出し、ひどいめにあわせる嘘つきだ。
私は布団をかぶって、みっちゃんの声を聞かないようにした。
どれくらいたっただろう。
巫女さんが戻ってきた。
「はい。もう大丈夫だよ。」
何が何だかわからないうちに、私はもとの部屋にいた。
お腹はすっかり治っていた。
治ったら、すぐ隣のみっちゃんの所に遊びに行こうと思っていたけど、
なんとなくやめた。
その後も、みっちゃんにあの時の事を聞いてみたかったけど、聞かなかった。
・・・みっちゃんも、何も言わなかった。
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