草の実・草だより

童話やエッセイの種を寝かすところ。備忘録。気ままなブログにおいで下さって有難うございます。

全体表示

[ リスト ]

 
佐賀県の武雄市立図書館がマスコミでも関係者からも評価される記事が新聞をにぎわしています。静岡新聞にも識者の記事で2回も礼賛記事が掲載されました。
武雄市立図書を「新しい時代のモデル」として評価する議員や関係者もいます。
 
私は図書館関連のMLにいくつか入っているので、地元の利用者や図書館で働く司書の専門家の立場からの発信もみていて、礼賛記事が独り歩きして追随する自治体が結構出始めたのが気になっています。武雄市の樋渡市長はTSUTAYA経営の武雄市図書館を全国モデルとして広めたいと公言していますので、1自治体での問題ではなくなっていると思ったからです。
 
意見を述べる場合には自分の目で確かめてから・・なにかを批判するときにはなおさら自分の言動に責任を持ちたいと思っていますので、今回その願いがかない、11月22日に見学できました。しかも地元市民の方のお話を伺い、全国から集まった図書館関連の皆さんとの合同交流会と見学会だったので、充実したものになり、複合視点でみることができました。感想を述べてみます。
 
先ずは、地元市民の方から改修前の図書館と歴史資料館の映像を見せていただきました。静かなたたずまいの居心地のいい図書館は、なぜ民営カフェ図書館になってしまったのでしょう。武雄の図書館問題を考えるときに、大事なことは「何が生まれたのか」の前に「何が壊されたのか」を知ることだと思いました。
13年前に建設したばかりの居心地のいい図書館と、価値ある歴史資料館が壊されたことにとても驚きました。改修には多額の税金が民間の1業者に投入され、今後も続くことでしょう。
     
入ってすぐ左側にあったという歴史資料館は、蔦谷のレンタルショップになっていました。武雄蘭学関係をはじめとする貴重な資料は、どこにいったのでしょう。隣のスペースも個人の絵のギャラリー展示場になっていたので驚きました。「まさか・・」の思いで
「歴史資料館」の看板を何度も見直しました。
 
  入ると、壁いっぱいの本で埋め尽くされ、コーヒーの香りが流れている感じのいい知的空間がぱっと開けます。 本の展示が工夫されてゆとりある空間で本の世界にいざなわれます。たしかにゆっくりしたい寛ぎの空間です。しかし、そこは全てTSUTAYA書店のもの。つまり、お金を払わなければなりません。
 入ってすぐの場所には魅力的に書店の本が並んでいて、クリスマス本コーナーなど、あり、本も上の天井までならんでいて知的空間を感じさせる効果があります。
 
でも、上の棚はみんなダミー・・つまり、金文字の偽の重厚な本の背表紙だけ・・ということです。
コーヒーショップでコーヒーを飲みながら書店の雑誌を読む・・もちろん民間のお店では大事な客寄せコーナーです。しかし当然お金を払わなくてはなりません。
 
ここで雑誌を販売することで、図書館に置く雑誌は極端にすくなくなったそうです。しかも、雑誌のバックナンバーは、要求しても手にできにくいとか・・。
スタバのあったところは今まで子どもの本のコーナーだったそうで、近くの巨木の祠をイメージした隠れ家みたいなお部屋もあったそうです。近くの保育園児は毎日のように通っていたそうです。それが今は、一番奥に押し込まれてしまいました。
新しいきらびやかな本が並ぶ書店とコーヒーショップを通り抜けないと子どもコーナーに行けないのです。 
書店を通らなければおとなも図書館に行けません。その図書館との境界線も簡単には分かりません。高い閉架書庫のようなところが図書館部分です。そして見上げるほど高い棚が並ぶ2階が公共空間です。
 
  書店すしょ
 書店スペースのゆとりに比べ、図書館スペースの窮屈さが気になりました。 
子どもの本が2階の高い書棚に移されていたのも驚きでした。子どもどころか大人も一人では取れません。本が選べません。 職員は高いはしごで取ってくれるそうですが、その職員の姿も少なく声がかけづらい状況です。
 
今までは児童室のすぐ近くにあったトイレも、水回りが近いという理由でスタバのものになったそうです。トイレは1か所になり、子どもは遠くまで行かなくてはなりません。
図書館のおとな雑誌コーナーに子ども雑誌も3種類混在してました。
 
図書館の本は、選びにくく、低学年からヤングアダルト向きまでが、ごちゃまぜに並んでいます。御いっしょに見学した司書さんが「私には本を探すことができない。この図書館では働けない」と言ってました。 ここの職員さんも大変だと思います。
 
さらに驚いたのは子どものコーナー。細長いスペースがあるだけの夢の感じられない場所になっています。そのスペースの反対側にテレビが設置されていました。
本を読むことを推奨するべき図書館でなぜ?
 
職員に聞いたら「今の子どもたちはアニメが大好きでニーズが多いから」とのことでした。
読書を推進する図書館の意義について考えてしまいました。
 
子どもの本のカウンターには職員がいなく、黄色いペンキで塗った鎖で、子どもがカウンターに入れないようにしてありました。 
カウンターの後ろの高い棚に大型絵本が箱に入ったままの状態で10冊ほど置いてありました。
「大きい本は怪我をすると困るので直接手に触れさせない」のだそうです。
  
入ってすぐに市長の書いた本や武雄関連本が平置きしてありました。これは民間の書店だからできること。
 公共の図書館では、特集企画を組むのにも、個人を顕彰するのにも、まずは、多方面の考えの本を並べるはずです。公共は公平公正が求められるからです。
ここは公共図書館ではなく、公設民営書店図書館だと思いました。
 
公共図書館スペースには、特集企画を組む様なゆとりのあるスペースはありません。
書店に「いいとこどり」をされていると感じました。
 
近隣の自治体から「1000円図書館」と言われているそうです。
コーヒーを飲まなければスタバにすわれない。行けば本も買いたくなるからです。
 公共の意義はお金がなくても、障害があっても、すべての人が恩恵を受けることができることではないでしょうか
 
貸出カードに Tポイントが付くことも問題だと思います。カードは自由選択制で規約を読み同意したうえでということにはなっているそうが、CCC(TSUTAYA書店)が個人情報を使って分析しビジネスに活かしている会社だということも、結果的にそれに公が加担していることも懸念を抱きます。
 
駐車場には高級車が多いとも聞きました。
近隣の若者やビジネスパーソンは確かに魅力を感じ喜ぶでしょうが、今までの利用者の行き場所が心配です。高齢の方、子どもにとって入りにくい図書館になったことが、よくわかりました。
 
TSUTAYAが自分のお金で商売することには何の問題もありません。地域も活性化することでしょう。でも改修を市からも4億5千万円を投入したとのことで、今後の運営もさらに多額の税金を投入されることでしょう。
市長が東京で決めてきたという「スピード感がある施策決定で、新しい公共空間」と絶賛されている図書館ですが、以上が私の実感です。
 
同時期に伊万里図書館と指宿図書館も見てきましたが、全ての市民や利用者への誠意と愛情が感じられる図書館でした。武雄をモデルにと考えている自治体は、その違いを体感し、知ったうえで新たな施策を考えてほしいと切に思いました。
弱者や文化を大事にしてこそ、真の地域の発展になると思います。
 
公共の役割とは? を考えさせられた図書館見学でした。見学会を企画実行してくださった関係の皆さんに心からお礼申し上げます。
 
昨日上記の話を夫と次女に話しているときのことです。
いつもは優しいおばあちゃんが、きっときつい物言いになっていたのでしょう。
次女の長女(1歳半)が、途中から「う〜〜ん。う〜〜ん」と声なき声で
唸り始めたのには笑ってしまいました。きっと不安になったのでしょう。
 
おばあちゃんが怒っていたのは、あなたにではなく、弱者や文化を大事にしない
おとなたちにですヨ。
 
追記
 
内容に間違いがあると失礼なので、同行の皆さんにMLを通して確認しました。
間違いを1つ指摘していただいたので訂正しました。
それはTSUTAYAのスペル。草の実のスペルはTUTAYAになってました。 
 

閉じる コメント(3)

ひどいですね。今に日本は世界一子供を大切にしない国になりそうですね。子供のためになることをはきちがえていると感じる事が多すぎて。草の実さんの声が広がりますように。

2013/11/27(水) 午後 0:39 [ izana ] 返信する

顔アイコン

コメント有難うございます。
貴女に頂いたコメントを拝見し、さらに書き足しました。
お金を払ってコーヒーを飲み、本を買う場所を公共図書館が1企業に提供しているということがよくわかりました。
図書館のミッションから大きく外れています。
子どもを大事にしない国にいい未来はありません。
久しぶりに本当に怒れた草の実でした。

2013/11/27(水) 午後 8:40 [ 草の実 ] 返信する

顔アイコン

武雄市民の一人です。
メディアの異常なほどの"現在の"図書館ベタ褒め状態に戸惑っています。
2000年に開館した図書館を市長の判断で昨年(2002年)の秋から改造され、今年の4月に再開館しましたが、改造されるまえの図書館は十分に良い図書館だったと思っています。

しかし、小さな町ゆえ、実名で批判する事は出来ません。

また、図書館へ頻繁に行けるのは、図書館に近い所に住む市民になりがちなので、今のような改造より、移動図書館を実施するべきだと考えてきましたが、ひどい現実に呆然としています。

改造されるまえの図書館の子供用スペースは現在のスタバの客席です。
一番明るくて気持ちの良い場所でした。
そして、絵本類は小さい子どもたちが自分で取れる高さの棚にしてありました。その、すぐそばに子供が使いやすいトイレ。
それを潰してカフェを置いた今の図書館は、もはや、図書館の方がオマケのような状態だと思っています。
地元民では声をあげにくいので、市外の方が、こうした意見を発信して下さる事は非常にありがたい事です。
心より感謝致します m(__)m ありがとうございます。 削除

2013/11/30(土) 午前 1:13 [ wataridori ] 返信する

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事