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前回の記事では、
日本が巨大なデフレギャップを克服し、被災地を復興し、震災で冷え込む消費まで克服するには、
少なく見積もっても、
フロー(GDP) ストック(国民資産) フロー(GDP)
30兆円 + 20兆円 + 3兆円 = 53兆円
デフレギャップの穴埋め分 大震災による被災総額 大震災による消費低迷 合計
(被災地復興に必要な金額)
という巨額の財源が必要であることを書きました。
※ただし、デフレギャップの穴埋め分30兆円は単年度(2011年度)のものでしかありません。デフレ克服にはさらに何年も続けて財政出動が必要になると思われます。累計にすれば、400〜600兆円必要だとも言われていますが、ここでは話を簡単にするために、基本的に単年度(2011年度)に限って考えることにします。
では、その財源はどうするのかということが問題になります。
よく言われるのは、4Kバラマキ(子ども手当、高校無償化、農業の個別所得補償、高速道路無料化)の廃止です。
もちろん、私もそれに賛成です。
世論もバラマキ・マニフェスト見直しに概ね賛成してます。すばらしいことです。
(3月31日調査・4月3日放送/フジテレビ)
しかし、4Kバラマキとその他政府の無駄削減でどれくらい財源が捻出されるのでしょうか?
自民党の試算によると、
子ども手当 1兆7,000億円
高校無償化 3,900億円
農業の戸別所得補償 3,500億円
高速道路無料化 1,200億円
公務員人件費削減 1兆5,000億円
その他 1兆2,400億円
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合計 5兆3,000億円
とされています。
これでもたった5兆円強しかありません。
また保守派の意見がほぼ一致するであろうパチンコ増税が実施できたとします。
パチンコ(年間売上21兆円)に他の公営ギャンブルと同様に25%課税したとしても、そこから捻出される税収は約5兆円です。
もっとも、5兆円と言えば、かなりの額ですので、パチンコに課税しない手はないと私も思います。
しかしながら、4K廃止で捻出される5兆円とパチンコ増税分5兆円を合わせても、合計で10兆円ちょっとにしかならず、はっきり言って、
全くの財源不足となります。
非常に少なく見積もっても30兆円あるデフレギャップを穴埋めすることはおろか、東日本大震災で生じたストックの損失(政府試算で16兆円〜25兆円)を補うにもはるかに及びません。
これでは、被災地復興すらままなりません。
前回記事にも書いた通り、自粛ムード(外食・旅行・レジャーなどの中止)、計画停電による生産停滞、震災の影響による雇用・所得悪化、福島原発の影響による農水産物の生産停止・風評被害を含めると、−3兆円どころかもっと消費が低迷するのではないかと私は危惧します。
元々日本はデフレであるのに、これ以上消費が低迷すれば、デフレが深刻化し、日本経済は悪化するばかりです。
ところが、驚いたことに、財源確保のためには
「増税が必要だー!」とか、
「もっと支出を減らして我慢しよう!」とか、
トンデモ説が出ています。
開いた口がふさがりません。
こういう話は、全く経済が分かっていない暴論だと言えます。
まず、経済の基本に立ち返って考えたいのですが、
そもそも「景気が良くなる」とか、「景気が悪くなる」というのは、一体何のことを言っているのでしょうか?
それは端的に言って「GDP(国内総生産)が拡大したか、縮小したか」ということです。
では、そもそもGDPとは一体何なのでしょうか?
それは分かりやすく言えば、
①個人の支出(個人消費)
②企業の支出(設備投資)
③政府の支出(財政出動)
④純輸出(貿易黒字)
の総計と言えます。 少し詳しく見ると、下のグラフのようになります。
日本の2009年における名目GDP百分比(%)
これをもう一度単純化すると、
GDPとは
①個人の支出(個人消費) 6割
②企業の支出(設備投資) 1割
③政府の支出(財政出動) 3割
④純輸出(貿易黒字) 極僅か
の4つのファクター(構成要素)でできており、
この4つがそれぞれ増えて、総計が増えた時に、
GDPが拡大し、景気が良くなった、
と言えるわけです。
逆に言えば、
①個人が収入・雇用・老後の不安、大震災による自粛などで消費を控える、
②企業が先行き不安で設備投資を減らす。雇用・賃金を減らす、
③政府が財政健全化とか、無駄を削るなどと言って、財政出動を渋る、
④不景気による世界市場の収縮と「円高」というダブルパンチで、純輸出(貿易黒字)を伸ばすのは困難、
ということになると、我が国のGDPは当然伸びず、その結果景気は良くならないということになります。
つまり、個人も、企業も、政府も「支出」を増やさないことには、我が国の経済は絶対に良くならないのです。
多くの方が理解されていることとは思いますが、勘違いされている方もいらっしゃるようですので、念のためこの際明確にしておきたいと思います。
確かに、これが江戸時代や戦時中・終戦直後の物不足の時代であれば、なるべく消費を減らすのが美徳でありました。たとえば、戦時中は紙の生産力が小さかったので、自分が1枚紙を使うのを我慢すれば、その代わりに他の人が1枚紙を使うことができるので、こういう状況ではまさに節約は美徳であったといえます。
また、この度の大震災では、被災地でガソリン需要が一気に何倍にも膨らみ、供給を大きく上回りました。この場合も、同じ物不足の状況ですので、私たちがガソリンの消費を控えること(節約すること)により、被災地の皆さんにより多くのガソリンが回り、関東圏のより多くの皆さんがガソリンを使うことができるようになるので、まさに美徳であると言えます。
東北・関東圏では供給不足に陥っている電気についても、同じことが言えます。
ところが、これとは逆に、高度成長で日本は生産力が大いに伸び、バブル崩壊以降も生産力が極めて旺盛なモノ余りの時代(供給過剰)になってます。確かに大震災を受けて、当面は被災地優先に物資を回さなくてはならないため、いくらかの物資、電気、ガソリン、水などは供給不足になり、この数か月はなお物不足が続くものもあると思われますが、しかしそれでもなお日本全体としては供給力は旺盛ですので、数か月も経てば大抵の物資はまたモノ余り状態に戻るものと見込まれます。
このような状況では、特に不足している物資を除いて、むしろ買い控えしないで、ものやサービスを積極的に消費しないと、GDPがどんどん縮小し、景気が悪くなってしまいます。
景気が悪くなれば、当然企業の売り上げが落ちるので、個人の収入は減るし、政府の税収も減り、財政赤字を悪化させることになります。今の日本は、みんなが先行きを不安に思い、あるいは自粛しようと思い、個人も、企業も自己防衛のため「節約」という美名の下でどんどん支出を削っていますが、大局的に見れば、自分で首を絞めるも同然の状態になっています。
この不景気の中、いま銀行に預けられている貯蓄額はむしろ増えているのですが、いくら貯蓄を増やしてもGDPは増えません。ストックとして蓄えられるだけで、フローであるGDPは少しも拡大しません。
あくまで「支出」を増やしてこそ、
GDPは拡大し、
景気が良くなる のです。
今の状況では、闇雲な「節約」は決して美徳ではありません。むしろ、「宵越しの金は持たない」というくらいの心でぱっと使ってしまった方が景気が良くなり、ひいては政府の税収も自然に増えるので、被災地支援のためにも、財政健全化のためにも、明らかに良いのです。
デフレの状況下では、支出を増やす方がむしろ美徳になるのです。
しかし、デフレの下で個人も企業も将来収入(収益)が増えるという見込みが持てない上に、この度の大震災が重なりましたから、縮み志向になって、支出を削るばかりで、支出を増やそうという気運は一向に生まれていない状況です。これを放置しておけば、デフレが悪化し、日本経済はいよいよ厳しい局面に直面してしまうと懸念されます。
では、一体どのようにして支出を増やし、GDPを拡大すればよいのか?
ということになります。
その答えは明らかで、
政府が大々的に財政出動(支出拡大)すればよい
ということです。
字数制限と時間の制約上、つづきは続編記事で書かせていただきます。
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