滋味礼賛の本&感じる本

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手袋が恋しい季節になりました。
あぁ、今年は新しい革の手袋が欲しい。
柔らかなシープスキンの繊細でいてシャープな手袋。エレガントだともっといいな。茶かエンジの・・・

なぁんて^^;・・・想像はたくましく。また物欲は果てしない><
といいつつも、今ある手袋で十分な私メであります^^



ところで。
誰もが一度は読んだことがあるだろう新美南吉の「手袋を買いに」。

覚えていらっしゃいますか? 忘れちゃったという人のために

念のためにストーリーを。



雪の朝、表を走り回って帰ってきた子狐の冷え切った手を握りながら、母さん狐は手袋を買ってやろうと思いついた。夜になって町に出かける途中で、母さん狐は子狐の片手を握って人間の子供の手に変えた。そして子狐に、町の帽子屋へ行って戸を少しだけ開けたら、人間の方の手を出して「手袋をください」と言うように、と教えた。間違って狐の手を出してしまうとひどい目に遭うからと。子狐は町に着くと帽子屋を見つけ戸を叩いた。帽子屋が戸を開けた拍子に差し込んだ光がまぶしくて、子狐はつい狐の方の手を出して、「手袋をください」と言ってしまった。帽子屋は、狐だなと思ったけれども出されたお金が本物であることを確認すると黙って手袋を渡してやった。帰り道、家の中から聞こえる子守歌を聴きながら帰った子狐は母さん狐に「人間ってちっとも恐かない」と、間違った手を出したけれど帽子屋は手袋を売ってくれたことを話した。母さん狐はあきれながら、「ほんとうに人間はいいものかしら」とつぶやいて物語は終わる。(ウィキより)


全編にたゆたう柔らかで情緒豊かな風景。一点の曇りもなく純真でけなげで可愛い子狐の姿。
美しく清清しい文章は精錬で大変に秀逸です。

絵本でおすすめするなら、やはり黒田健さんの絵のものを。
色鉛筆で精密に描かれたその絵はやさしく、それでいて文を最大限に彩る豊かな感性が息づきます。




ところで、この「手袋を買いに」。
自分の教科書やお子さんの教科書でも読んだという方も少なくないのではないでしょうか^^

実は、10年くらい前まで、小学校1年生の教科書に掲載されていました。
ところが、今はどの教科書にも見ることができません(たぶん)。
読み聞かせをすると、耳を澄まして聞き入る子供たちも多いこのお話なのに・・・


教科書には検定があり、審議委員会などがあります。
ここで、ふるい落とされたといわれています。
「手袋を買いに」のストーリーに問題があるとされたからです。

では、その問題とは何だと思われますか?
これほど、情感あふれる魅力的なお話がなぜ、カットされてしまったのでしょうか?






答えは・・・・また、あとで^^


*********************

【追記問題になった内容です。


あとで・・・・といって、ずいぶん、経ってしまいました。
すみませんでしたm(_)m
引っ張り過ぎ^^;


実は、この問題になった部分は、子供たちの中にも指摘をしていた子がいました@@
指摘というよりは、疑問として投げかけてきたということです。
そのため、なおいっそう、問題になったことも確かです。


さて、なぜ、問題になったかをアップいたしますね。



★★★

母狐は子狐と一緒に山を降りて町へいこうとしますが、以前、味わった事柄を思い出し、足がすくんでしまいます(友だちの狐と町へ行った時、その友達狐があひるを獲ろうとして人間に追いかけられ、殺されかけた)。
そのため(あの恐ろしさが脳裏によみがえり)、子狐だけを行かせることにします。
ここで、すでに問題が発生。

そんなに母親が恐ろしいと思うところへ、なぜ可愛い自分の子狐だけを行かせるのか?
自分は(死ぬほど)怖いのに、その怖いところへ子供を行かせるというのはありえないこと。

しかも、その恐ろしい(かもしれない)体験を子供にさせておいて、
「人間っていいものかしら?」
と、つぶやく様。

★★★


というわけで、そうなると、この物語が根本から成立しなくなるわけです^^;

もちろん、新美南吉はそういう設定を意図したわけではなく、人間と動物の心の交流を描いているというのが主なテーマなわけですが、
※(新美南吉がその生涯をかけて追求したテーマは、「生存所属を異にするものの魂の流通共鳴」)



全文を読んでいただくとわかるのですが、

子狐がこっそりある家を覗いたとき【人間の子とその母親が心を通わせるシーン(寝る前のおやすみなさいの挨拶や会話)】があり、それを見て、母狐を思い出して、恋しくなり、山に急いで帰ります。

とすると、【母性】 というものも同時に描いているわけで、
【教科書的には】あまり芳しくないストーリー構成となるわけです。

もちろん、一冊の本として楽しむぶんには、素敵な内容として成立しますが。

そのため、文の内容を深く教えなければならない学校では敬遠されたわけです。
この指摘は、国語学や言語学の教授らから多く問題定義が出され、現在、そのような措置となっています。


ただ、物語としては、大変、構成が素晴らしく、さらに日本の原風景を表す情緒のある美しい文ですので、
間違いなく素敵な童話のひとつだと言っていいと思います^^

閉じる コメント(31)

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creaさん、今、その問題部分をアップいたしました。

聞くとなるほど。と思えるのです。
実は、この指摘、子供たちから疑問として出てきたものでもあります。子供は鋭い!?

2009/11/21(土) 午前 11:28 kei**0208

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川風さん、すみませんでした。
悩ませてしまいましたね^^;

正解というか・・・・問題になった部分、今、内容を上げました。
いかがでしょうか。。。

2009/11/21(土) 午前 11:29 kei**0208

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megさん、たぶん、7年位前にはずされているように記憶しています。特に、授業で取り上げることはなくなっているのではないかと・・・。

2009/11/21(土) 午前 11:31 kei**0208

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※※さん、おっ、近い^^

母の愛を子供をまるごと包み込むものとして考えるとこの物語は矛盾を抱えていることになります。
ですが、今の世の中は、多様ですので、これはこれでいいのかもしれません。
それと、
だからといってこの作品の美しさ、ぬくもりが消えるわけでもありませんよね^^

2009/11/21(土) 午前 11:34 kei**0208

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aoiさん、おはようございます^^

あぁ、いもとさんの絵のものですね^^ あれも、とっても可愛いですよね〜^^
子供たちはほとんどが素直に喜びます。
多くは、
「人間って、僕たち・私たちのこと? 人間を怖がっているの?」
という声ですね。
なので、南吉の描きたかったことをちゃんと琴線に感じているんですよね〜^^

2009/11/21(土) 午前 11:37 kei**0208

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nonkoさん、そうですね^^ おっしゃる通り、
多くの子供たち、読者たちは
>子ぎつねの勇敢さ可愛らしさに心打たれたからでしょうね。

ということですね^^ はいっ。

>東京書籍3年生の巻末「読書の部屋」にこのお話は掲載されている

そうなんですか。3年生になるとそれが理解できるからかもしれません。また、巻末ということは、それを授業で取り上げられるかどうかは教師の領分にゆだねられているということでしょうね^^

以前は、各地の教科書の 1年生下 に掲載されていましたが、今は姿を消しているようです。

2009/11/21(土) 午前 11:41 kei**0208

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あんこさん、おおっ^^
コメント嬉しいですっ^^
そして大和さんも? 同士〜っ(笑)。

なぜそうなったのか・・を遅くなりましたが、アップいたしました。
という内容なのでぇす^^;

2009/11/21(土) 午前 11:43 kei**0208

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皆様は、その理由をいかが感じられましたでしょうか?

教科書ではありませんのであまり問題にされませんが、

林明子さんの絵本「はじめてのおつかい」においても
やや、同様な指摘もされています。(こちらは教科書には載っていないので問題はそれほどありません^^;)
もちろん、矛盾や何やかやを超えたところに童話や絵本はあるわけで、何を楽しむかは、子供たちです。
ですから、余計なお世話でもあります。

ただ、学校で、授業で取り上げるには、やや厳しいということで、素晴らしい内容でありながら、最近は落ちてしまっているんです^^;

2009/11/21(土) 午前 11:47 kei**0208

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keiyuさん!こんにちは
『生存所属を異にするものの魂の流通共鳴」、初めて教えて頂きまし
た。難しい内容です。
母狐は、上の絵のように純真な子狐に『猜疑心」を与えてしまいました。それでも、てぶくろを買えて喜ぶ親子狐。なのに尚、
『人間はほんとうにいいものかしら」と歩きながらつぶやく母狐。
童話には、いろいろ怖いところがありますが、難しい問題でした。
お答えが楽しみです。

2009/11/21(土) 午後 0:17 [ すいれん ]

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すいれんさん、こんにちは〜^^

答えは・・・【追記】以降に書いた内容です。
特に★★★のところをご覧くださいませ〜^^

子供たちは、上の表紙を見て、素直に「お母さん狐はお月様みたい」と言いました。

それとは関係ありませんが、案外、今を生きる子供たちは、【人間の怖さを第六感で感じていながらも、それでもなお母に愛を求めている】のかもしれません。

確かに、童話には、恐ろしい人間のサガや業を描かれているものも少なくありませんよね。
昔話など、特に・・・^^;

2009/11/21(土) 午後 0:52 kei**0208

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サガや業を描かれているものも ×
サガや業を描いている ○

2009/11/21(土) 午後 0:54 kei**0208

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演劇にも突っ込みどころなどと言われて
議論されることがありますね(^^ゞ
教科書となると慎重になるのでしょうね
すべての子どもが読むことがだめでも
図書館で家庭で幼稚園などで多く読まれていますから
子どもそれぞれの感じ方に線は引けませんね

2009/11/21(土) 午後 7:00 メープル

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keiyuさん、出かけていたので、早くお答えを見たくてたまりませんでしたー。

よくわかりました。あらすじでなく、細部を読まなくてはいけませんでした。
…確かにそうですね。子ども達はさすがです。

学校教育というものは、指導者の教え方如何でどんな方向にももっていけるのですが(もちろん指導要領から外れてはいけませんが)、その教材については曖昧さを許してもらえません。だからこのような措置になったのですね。
国語教育は、道徳的な要素も含まれ、決して文学教育ではないのであります。だから、偏りすぎた考えを持つ人々は、「この教材には差別的な表現があるから適切でない」といいます。しっかりとした指導者なら、差別的な教材であっても「これについて考えてみましょう。差別とはどういう事でしょう」などと深めていけばいいわけですが。

2009/11/21(土) 午後 8:12 kawakaze

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すみません。続きです。

また、国語の教材には山ほどの資料があり、どれを選定するかというのは、言ってみれば教科書会社の趣味ともなるでしょう。
例えば、短歌作品一つをとっても、その歌人にはもっと優れた作品があるのに、こんな歌を載せている…ということもありました。

この「手袋を買いに」を通して、教科書や教材の選定について改めて考えさせられます。
keiyuさん、新しい視点を示してくださり、ありがとうございました。おもしろかったです。

2009/11/21(土) 午後 8:13 kawakaze

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keiyuさん、こんばんはー。

また失礼します。
上記では、かなりきついことを書いてしまったような…

関連してですが、以前こんな事もありました。
ある方が、仕事としてはバランスよく立派にこなしておいででしたが、仕事を離れると、「ディオニソスのように生きる」と言われ、道徳なんてなんのその…とにかく芸術のためにはなんでもやるといった情熱家がいらっしゃいました。
今回のお話もそのようなもので、きっと、公な教育の場でなかったら、純粋に評価される作品なんですよね。
この世の中、不条理なことはたくさんありますもの。真実を描いたらどこかに問題は必ず表れるでしょう。太宰の作品は「走れメロス」以外には教科書には載らないでしょうね。(ありましたっけ?)

2009/11/22(日) 午前 0:52 kawakaze

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林明子の絵本は大好きで、娘のためというより自分がほしくて買いあさっていましたが、「はじめてのおつかい」にもそのようなところがあったのですかあ。
木を見て森を見ずっていうのか…もっとおおらかな見方ができないかなあ等と考えてしまう私は、鈍感なのですかね。
とにかく、ほんとにおもしろい話題でした。しつこくいろいろ書いてごめんなさいね。おやすみなさーい。

2009/11/22(日) 午前 0:53 kawakaze

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メープルさん、そうですね。
演劇も大昔は、政治的な表現ができませんでした。たとえば、民衆のために書かれた脚本はことごとく弾圧を受け、俳優も逮捕された時代がありました。まぁ、これは飛躍的過ぎますけれども・・・

やはり教科書に載るものは暗部のあるものは避けられるということになると思いますが・・・意外に思想なども教科書ごとにあったりしますよね。中でも、国語は概念的なものも多いので、論理的に説明できないと取り上げるのが難しいこともあるのかもしれません。

たとえば、この質問を先生が受けたとき、子供たちにどう教えるべきか? となると、大変難しいところで。物語だから・・とは、言えないですしね^^;

2009/11/22(日) 午前 5:30 kei**0208

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えぇ。大変、優れた物語であることは間違いなく(文が大変に詩的で、美しく流麗で研ぎ澄まされています)、だからこそ、こんなに長く読み継がれて来たのだと思います^^
しかも、構成はとてもわかりやすく、それでいて夢にあふれていますもの。ぜひ、学校以外で楽しんで欲しいと願っています。
おっしゃる通り、子供たちがどう受け取るかはその子たちの感じ方で十分^^
ずっと読み継がれて行く普遍な童話だと思っています^^

2009/11/22(日) 午前 5:31 kei**0208

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川風さん、コメントをありがとうございます。

そうなんです。子供たちのこの鋭い視点に私メも驚きました^^
子供は本当に大きな力を持っている。素朴な疑問を投げかけてきます。そして、正直です。
大人たちが、つい文の美しさ、構成の素晴らしさに評価している中、たいしたものだなぁと。

おっしゃる通り、もちろん教え方はその教師ごとに違っていいですし、その方法も(指導要項をはずれなければ)十分です。ですが、この場合、答え方も大変難しく・・・。仕方がないのかもしれません。

2009/11/22(日) 午前 5:42 kei**0208

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考えてみると、最近は中学の教科書に若い作家の文が数多く出てきています。「僕は勉強ができない」(山田詠美氏)は、名文でもあると思いますので、現代的でいいと思うのですが、その他辻仁○さんとか・・・○○さんの作品とか・・・
まぁ、そりゃたくさんの作家の小説が・・・。
一方で、夏目漱石などの昔の文ははずされる傾向にあります。私たちのころは、「こころ」なんていうのは、特等席に鎮座しておりましたが^^

>公な教育の場でなかったら、純粋に評価される作品なんですよね。
その通りだと思います。というのも、例えばあの宮沢賢治の作品も難解であるという理由で、一部の作品しか取り上げられません。確かに、彼の作品は大人にも難解であります^^;
でも、本当に素晴らしい作品群を残しているのですが・・・。太宰もそうですね。これは別の理由もあるでしょう^^;

いろいろコメントいただくのがブログの醍醐味。本当に感謝いたします。ブログ主、とてもありがたく、皆様のコメントを嬉しく楽しく拝見しております。ありがとーです^^

2009/11/22(日) 午前 5:51 kei**0208


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