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現場対応という過信


運営の現場では、様々な状況が連続的に発生し、的確な状況判断の元、指揮官の適切な指示で現場対応する事も重要だ。
但し、現場対応は事前に様々な想定を行い、しかるべき対応手順や対策を計画した上で、対応が図られるべきである。

運営計画を策定する時に、厳に注意すべきは、想定される事象に対して、現場スタッフに対する楽観的希望を前提とした安易な運営想定を計画しない事である。
例を挙げれは、細かな来場者からの質問や小さな苦情等である。平時であれば、何でも無い様な個別対応だし、当然スタッフの業務範疇に入る様な事象だ。
しかし、これが土曜日や日曜日の様な多客日になると、こんな小さな事象が発生する件数が飛躍的に増加する上、深刻なトラブルの発生率も同様に増加する。
これは何を意味するのか?それは、机上で計画した様なスタッフの働きが望めなくなるという事である。
多客日に、多数発生するトラブルに対応する物理的スタッフの限界は明らかで、当然トラブル対応に対処している間は、本来業務が手薄になる。

運営の計画時には、平時の状況を頭の中で想定しながら計画するのではなく、会場が混雑している状況を想定しながら、現場に過度な要求、期待を抱くのでなく、適切な人員配置を計画する事こそ、基本的な運営の計画作業である。
絶対に現場対応で切り抜けられるという、過信を持って計画すべきでは無い。

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今、イベントや博覧会の仕事に携わりながら考えるのは、学生時代に観た1970年大阪万博の感慨だ。
アジアで初、当然日本では初の国際博覧会だ。

2010年の上海万博も国の発展期と開催のタイミングは、日本が戦後復興を遂げ、東京オリンピックの開催に続き、大阪で日本万国博覧会を開催したことをモデルとしている。

大阪万博が開催される前年に、米国のアポロ宇宙計画で人類初の月面着陸を果たした事もあり、米国館の月の石展示が、全国の話題となり、空前の人々が集う博覧会となった。

大阪万博について書くことはたくさんあるが、私がイベントに対して持っている一つの指針を感じ、今でも大切にしている考え方がある。
それは、大人気館ではなかったけれど、今でいうところの、企業共同出展館である《生活産業館》を観て感じたことだった。
生活産業館
写真は写真+記念スタンプ帳に掲載されているパビリオン全景写真とコメントである。
コメントには《テーマ : 朝な夕な 各企業が集まる共同館。音響、映像、照明、エレクトロニクスを利用、各企業がアイデアを競う。実演と映画を組み合わせた展示などが展開されます》と記されている。
上海万博で直接堺屋太一先生から伺って知ることになったが、これは先生がプロデュースし、上海万博の日本産業館の元になったものだという。

ここで、色々な展示や映像があっただろうが、私には一つの展示だけが鮮烈に印象に残った。
それは、未来の勉強部屋の展示だった。
角のない丸みを帯びたプラスチック(FRP?)の弧を描いたピカピカの机の前面にはパソコンの端末、正面には大型モニターに教師が映し出され授業を行っている。今でいうパソコンを利用した遠隔授業だ。そして、机の袖からは、アームでコーヒーが出てくる。
なんて、未来的で子供の心をわくわくさせる展示だろう。後に米国ディズニーのエプコットセンターの未来都市の展示の中にも同様なものがあることを知った。
このわくわくする感激は何なんだろう。
100年後、500年後の遠い未来の想像も魅力的だが、もう少しで届きそうな未来は、もっと現実的で、わくわくさせてくれる。
大阪万博は、生活産業館だけでなく、会場すべてにそんな雰囲気と展示があふれる博覧会だった。

私は、今も、博覧会では、何かしら明るく、楽しそうな《手が届きそうな未来》が表現されていることが必要ではないかと思っている。

現場運営責任者の役割

東北大震災の際に発生した福島原発の事故対応について、東京電力が膨大なTV会議の資料の一部を、極めて公開性の低い形でマスコミに提供した。事故の発生時における重要な資料にもかかわらず、社員のプライバシーを理由に一部加工したりしたものだった。
あの映像には映っていないものがある。実際に破壊された原発の現場で放射能の恐怖と闘いながら、踏みとどまって作業している多くの人たちだ。

震災の後に上海出張した際、何人かの中国人に言われたことがある。
今まで、日本そして日本人は、中国人が考えられないほど、様々な分野、場面で非常に細部にわたるマニュアルを作成し、平常運用からトラブル対応まで完璧に考え、実行するものだと思っていたが、震災から原発事故の対応まで客観的に見ても、予定されていたマニュアルが完全に機能しているようには見えなかった。
大量のマニュアルはいったい何のために作成されていたのだろう、と。
結局マニュアルがあっても、現場での対応力や判断が悪ければ何にもならないのではないのか?と。

胸にぐさりときた。

私たちイベントの現場でも、かなりの量に及ぶマニュアルが作成される。
この中には、通常時から非常時までの対応が細かく記載されている。
やはり、原理原則であるマニュアルは絶対に必要なものであるが、これを正しく運用するには、現場の運営責任者に対する権限の付託と正しい判断力が最も求められる。
正しい判断と指揮権の二つを兼ね備えなければ、日々刻々と状況が変化するイベント現場の指揮官は業務を推進することはできない。

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