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妥協と調整の違い

物を創り上げる際に、クリエーターは自分が妥協したのではないかと悩むことがある。
妥協とは、自分の思いに反して物事を受け入れることだ。
そこには、モノづくりのプロとしてのプライドが見えない。

当然、物事を進めていく場合、クライアントの意向や営業担当からの予算のプレッシャー等、様々な要求や変更を強いられる場合がある。

しかし、クリエイターは自分が思い描く最良の物作りに拘りたい。これは、当然の事だし、そうあるべきである。

ただし、理を尽くし、説明を尽くしてもなお様々な理由で変更を要求された場合、その変更理由が妥当な時、そして、発注者の最高責任者の強い意志の場合は、これを受け入れるべきである。
ただ、不満に満ち、ほとんど投げやりな状態で受け入れるのは間違いだ。

受け入れるならば、変更された条件を十分に満たせたうえで、全体の設計変更をかけ、以前の計画に勝るとも劣らない新しい案を創っての事である。
本来の企画を、不本意に一部修正して創り上げることは、当初の効果も見込めず、決して良い結果を生むことはない。
修正要求が微細なものなら、意固地にならず、理解して変更すればいいし、小さな変更要求でも、根幹にかかわることならば、いっそ受け入れて、計画の抜本的な見直しをし、よりよいものを創り上げていくことこそ、ものづくりの醍醐味である。
これこそ、妥協でなく、正当な調整作業である。

現場対応という過信


運営の現場では、様々な状況が連続的に発生し、的確な状況判断の元、指揮官の適切な指示で現場対応する事も重要だ。
但し、現場対応は事前に様々な想定を行い、しかるべき対応手順や対策を計画した上で、対応が図られるべきである。

運営計画を策定する時に、厳に注意すべきは、想定される事象に対して、現場スタッフに対する楽観的希望を前提とした安易な運営想定を計画しない事である。
例を挙げれは、細かな来場者からの質問や小さな苦情等である。平時であれば、何でも無い様な個別対応だし、当然スタッフの業務範疇に入る様な事象だ。
しかし、これが土曜日や日曜日の様な多客日になると、こんな小さな事象が発生する件数が飛躍的に増加する上、深刻なトラブルの発生率も同様に増加する。
これは何を意味するのか?それは、机上で計画した様なスタッフの働きが望めなくなるという事である。
多客日に、多数発生するトラブルに対応する物理的スタッフの限界は明らかで、当然トラブル対応に対処している間は、本来業務が手薄になる。

運営の計画時には、平時の状況を頭の中で想定しながら計画するのではなく、会場が混雑している状況を想定しながら、現場に過度な要求、期待を抱くのでなく、適切な人員配置を計画する事こそ、基本的な運営の計画作業である。
絶対に現場対応で切り抜けられるという、過信を持って計画すべきでは無い。

イメージ 1


今、イベントや博覧会の仕事に携わりながら考えるのは、学生時代に観た1970年大阪万博の感慨だ。
アジアで初、当然日本では初の国際博覧会だ。

2010年の上海万博も国の発展期と開催のタイミングは、日本が戦後復興を遂げ、東京オリンピックの開催に続き、大阪で日本万国博覧会を開催したことをモデルとしている。

大阪万博が開催される前年に、米国のアポロ宇宙計画で人類初の月面着陸を果たした事もあり、米国館の月の石展示が、全国の話題となり、空前の人々が集う博覧会となった。

大阪万博について書くことはたくさんあるが、私がイベントに対して持っている一つの指針を感じ、今でも大切にしている考え方がある。
それは、大人気館ではなかったけれど、今でいうところの、企業共同出展館である《生活産業館》を観て感じたことだった。
生活産業館
写真は写真+記念スタンプ帳に掲載されているパビリオン全景写真とコメントである。
コメントには《テーマ : 朝な夕な 各企業が集まる共同館。音響、映像、照明、エレクトロニクスを利用、各企業がアイデアを競う。実演と映画を組み合わせた展示などが展開されます》と記されている。
上海万博で直接堺屋太一先生から伺って知ることになったが、これは先生がプロデュースし、上海万博の日本産業館の元になったものだという。

ここで、色々な展示や映像があっただろうが、私には一つの展示だけが鮮烈に印象に残った。
それは、未来の勉強部屋の展示だった。
角のない丸みを帯びたプラスチック(FRP?)の弧を描いたピカピカの机の前面にはパソコンの端末、正面には大型モニターに教師が映し出され授業を行っている。今でいうパソコンを利用した遠隔授業だ。そして、机の袖からは、アームでコーヒーが出てくる。
なんて、未来的で子供の心をわくわくさせる展示だろう。後に米国ディズニーのエプコットセンターの未来都市の展示の中にも同様なものがあることを知った。
このわくわくする感激は何なんだろう。
100年後、500年後の遠い未来の想像も魅力的だが、もう少しで届きそうな未来は、もっと現実的で、わくわくさせてくれる。
大阪万博は、生活産業館だけでなく、会場すべてにそんな雰囲気と展示があふれる博覧会だった。

私は、今も、博覧会では、何かしら明るく、楽しそうな《手が届きそうな未来》が表現されていることが必要ではないかと思っている。

現場運営責任者の役割

東北大震災の際に発生した福島原発の事故対応について、東京電力が膨大なTV会議の資料の一部を、極めて公開性の低い形でマスコミに提供した。事故の発生時における重要な資料にもかかわらず、社員のプライバシーを理由に一部加工したりしたものだった。
あの映像には映っていないものがある。実際に破壊された原発の現場で放射能の恐怖と闘いながら、踏みとどまって作業している多くの人たちだ。

震災の後に上海出張した際、何人かの中国人に言われたことがある。
今まで、日本そして日本人は、中国人が考えられないほど、様々な分野、場面で非常に細部にわたるマニュアルを作成し、平常運用からトラブル対応まで完璧に考え、実行するものだと思っていたが、震災から原発事故の対応まで客観的に見ても、予定されていたマニュアルが完全に機能しているようには見えなかった。
大量のマニュアルはいったい何のために作成されていたのだろう、と。
結局マニュアルがあっても、現場での対応力や判断が悪ければ何にもならないのではないのか?と。

胸にぐさりときた。

私たちイベントの現場でも、かなりの量に及ぶマニュアルが作成される。
この中には、通常時から非常時までの対応が細かく記載されている。
やはり、原理原則であるマニュアルは絶対に必要なものであるが、これを正しく運用するには、現場の運営責任者に対する権限の付託と正しい判断力が最も求められる。
正しい判断と指揮権の二つを兼ね備えなければ、日々刻々と状況が変化するイベント現場の指揮官は業務を推進することはできない。

上海の著作権感覚


日本のニュースで最近の中国を報道するときは、尖閣諸島問題と著作権問題(パクリ問題)が多い。
いずれも日本人の自尊心やナショナリズムと関係が深い問題だ。
政治的な問題はさておいて、著作権問題については、テレビのワイドショーの絶好の話題である。
2008年に初めて上海に行ったころに比べるとかなり改善もされ、市民の意識にも変化が起こっている。
夕方になると、露店のDVD販売が数多く見られ、城管の眼を盗みながらリヤカーの荷台に所狭しと中、台、韓、日、米の人気映画、テレビドラマが一枚五元(六十円程度)で売られている。
以前は安かろう、悪かろうの商品がかなりあったが、最近はほとんどのものが良いダビングをされ、カバーもオリジナルを加工した中國バージョンになっている。
日本の人気テレビドラマも、終了一か月もしないうちに店頭に並ぶ。
ネット上でも、最近でこそ大手の画像配信社は、日本のものが見られないところもぽつぽつ増えたが、バラエティ番組や映画はかなり見ることができる。これは、日本や韓国でもかなり浸透してきたため、中國だけというわけではない。
商品も露店、そしてデパート以外では、まだまだ偽物がはんばいされている。ブランドなのに安いのは間違いなく偽物である。
仕事で付き合う中国人に著作権について尋ねると、ほとんどの人が著作権について認識があるのと、徐々に偽物を買ったり、持ったりすることがかっこ悪いという意識が起き始めている。
ただ、彼らも国内で相変わらず偽物が販売され、購入されていることに関しては良くないことだと感じながら、所得の低い人や、地方から出てきている人が購入することには、仕方ないという暗黙の了解もある。
今後は次第に製造、販売、購買も減っていくのではないかという意見だ。まさに経済の発展とともに、それらも変化するということだ。
鬼の首をとったように、報道する日本も私が子供のころには、普通に偽物が販売され、高校の修学旅行で東京のアメ横に行った際には、露店の店頭でおしゃれなadidasを買ったつもりが帰って袋を開けるとabibasだったり、米国にはないはずのマジソンスクゥエアーバッグが若者の間で大流行したり、今は廃止された遊園地、奈良ドリームランドが米国のディズニーランドに酷似していたりと、今の中国を非難できる状況ではなかった。
しかし、高度成長とともに人々の所得も向上し、豊かになってくると、様々なルールも守り、本物志向となって、徐々に偽物文化が後退していった。そして、今の日本がある。
中国の今は、まさに、その途上である。日本の成長の五倍ほどのスピードで変化している中國。もう少し時間が経てば・・・・になると思っている。
エキセントリックで一面だけをとらえたものの見方は子供じみている。もう少し冷静に見てみるのも必要ではないだろうか。

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