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アイゼンバンドを締め上げてさあ立ち上がって登り始めよう。
スキー靴のバックルを締め直したから思いっきり滑りに行こう。
とすると顔に何か引っかかって先に進めない。鼻に通じる酸素のチューブが引っかかっているのだ。
こんな夢を何度か見て目が覚めることが多い。
それほど在宅酸素療法はうっとうしいのだ。よく言われることだが「首輪につながれているよう」という感覚でもある。
こんな厄介な在宅酸素療法について日本看護学研究会は『在宅酸素療法患者の受容過程』という論文をまとめている。
在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy=HOT)は1985年に保険適用となり患者数は15万人程度となっている。
HOT患者の医療の目標はQuality of Lifeの維持と向上にある。
しかし酸素カニューラを着けた外出姿に対する人目が気になること、携帯酸素ボンベ使用による不便さからくるADL(Activities of Daily Life=日常生活動作)上の問題点、活動量の低下から生じる閉じこもりや抑うつ傾向があり、これはHOT患者の受容に影響することが指摘されている。
特にHOT導入後の外出時に周囲の人々から注視を受け、その恥ずかしさはそれまで経験したことのない悲痛体験となり外出時の注視による、予想以上の悲痛体験から受ける心理的打撃は大きい。
HOTを装着経験したことがない医療経験者には言葉では表現できても、患者のこの恥ずかしさということは絶対に理解できないのではと思う。
先日、慢性疾患の患者の集まりに出席し患者同士のフリートーキングの場でHOTを使用されている女性に出くわした。
開口一番、鼻カニューラ(酸素が出ている管)をつまんでこれがついていることが一番恥ずかしいと泣きながら話されていた。涙を流しながら語るからには本当につらいのだろう。
使いたくない、でも使わないと体が持たない・・・そのジレンマは大変なものだろう。
外出時にはカニューラを隠すためにマスクをしているという。暑い夏場のマスクは大変だ。
自分も全く同じ状況で心情的にそのつらさをよーく理解できるので適切な言葉をかけることが出来なかった。
日本看護学研究会の論文はHOTの受容過程として
■携帯酸素への拒否と不安
■必要酸素量を少なくして酸素からの離脱への挑戦
■携帯酸素を外してしまい酸素からの離脱への挑戦
しかしこういうことを繰り返してもやがて体が苦しくなって必要酸素量が必要となり酸素を持つことを受け入れていくステップを歩んでいくという。
そこに至る逡巡は多大なものがあると述べているが、酸素を吸うことしか選択の余地がないから泣く泣く受容しているというのが現実なのだろう。
残念ながら論文については「外見的恥ずかしさ」に対する審美的な側面での検討はされていない。
チューブが顔の前面を覆っている構造上の問題はマスクなどで隠す以外克服する方法はないと考えられる。
病院内ではなくむき出しのチューブや鼻カニューラを装着したまま電車に乗ったり街を歩いている人を少なくとも私は見たことがない。
【参考】
日本看護研究会 雑誌 VOL27 No5 2004
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