日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ・・・・、

玄洋庵文庫

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国民の「無知」に乗じて「オオカミ」を「イヌ」と呼ぶ


先の日米首脳会談の結果、日米間では安倍首相とトランプ大統領の間で新たな「貿易協定」の交渉を開始することになったという。その名前を「TAG」(TradeAgreement on goods)という、と言う。「TAG」ではなくて「TAg」であろうが、何やらこう大文字ばかりで書かれると独立した専門用語のように見える。しかし、あまり聞きなれない用語ではある。
それもそのはず、外交文書をよく読んでみると、「Trade」と「Agreement」はそれぞれ大文字で書かれている。これが曲者のようだ。これを小文字に直して読めば何のことはない「trade agreement on goods」となって「物品に関する貿易協定」という日本語になる。それを「TAG」と書かれると、また一つ専門用語がこの世に生まれたかと思わせる「効果」がでてくる。日本政府が編み出したトリックはここにある。こういう巧妙な手を使って、安倍氏は国民の無知に乗じて「オオカミ」ではなく「イヌ」がやってきただけだと言い出したいのである。その英文本文はこうだ。
The United States and Japan will enter intonegotiations, following the completion of necessary domestic procedures, for aUnited States–Japan Trade Agreement on goods, as well as on other key areasincluding services, that can produce early achievements.
これを直訳すれば、「米国と日本国とは、必要な国内調整を経た後に、物品、またサービスを含むその他重要分野における日米貿易協定の交渉を開始する」となる。つまりここに、「TAG」などと新しい「テクニカルターム」のように提示して論ずべきものではなく「貿易協定」という普通名詞である。そして、この日米交渉は、ずばり言うところの「FTAFree TradeAgreement):自由貿易協定」のことである。そのためにこそ、日本政府ではなく米政府こそが最恵国待遇原則を犯してまでFTAの協定締結が必要であることを「一方的に」確認したというのがこの外交文書のごく「単純な」意味である。
どうして、こういう風に安倍内閣は「ウソ」を吐くのであろう。それこそ息を吐くように嘘をつく。しかも、彼は国会で、これまでに何度も日米間でFTAは絶対やらないと強調してきたが、それにもかかわらずである。
かくて、このFTAは自動車を「人質」にとられた上で、アメリカが得意とする食糧と農業分野、米国中南西部地帯一体のキリスト教福音派に属しトランプ大統領の米国ファーストを熱烈に支持する白人農民たちへの集票に利用されるのであろう。その結果、日本の脆弱な農業はひとたまりも無いことになるのではないだろうか?
安倍氏にとってあれ程反対していたTPPだったが、そこでの関税率を防御ラインとすると彼は言い出している。果たしてそれすら守れるとは思えない。安倍首相は地球儀を何回俯瞰しても外交力はつかないものらしい。外交で必要なのは人間としての胆力、つまり人間力である。そして、それがこの人には最も欠けている。

 

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