日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ・・・・、

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(続々)リスク方程式

昨日の「(続)リスク方程式」では、JR東海リニアモーターカーの泣き所は効率の悪さだと書きました。この悪い効率のシステムである上に高速度を実現・達成するために初速度を非常に高く取ろうとします。そうしないと磁気浮上しないからです。そのためには出発時の電力容量を相当に高く取らないと実現できないはずです。すなわち、受電設備の大容量化が必至というわけです。
残念ながらJR東海リニアモーターカーの必要最大電力は秘密のベールの中にあって知らされていません。公式に発表されているのは、ほぼ1時間で東京・名古屋間を完走するに要する電力量が1列車あたり81,000kWhということだけです。この81,000kWhは、いわば鉄道会社が電力会社に支払う電力料金にかかる数値であって、これよりも出発時に必要な瞬時ピーク電力(家庭で言う契約電流に相当)が大問題です。
ドイツでは失敗したとして撤退した常伝導磁気浮上式リニアモーターカー「トランスラピッド」では、一両50人定員の車両で、最大電力容量は10MWと発表されていました。これをJR東海リニアモーターカーに適用しますと、一列車32両連結(東海道新幹線定員10016両編成に合わせて)としてなんと320MW32kWとなります。
仮りに、朝のラッシュアワーで全線に5列車、上下で10列車が走行しているようなケースを考え、これが同時に各駅を発車するような偶然が発生すると、320kW、つまり原子力発電所3基分の容量の電力が必要になります。つまり、電力会社としてはこれだけの容量を提供しなくてはならないのですが、実際に支払ってもらえる電力料金は東京・大阪間の走行所要時間1時間として、81,000kWh×1081kWhに過ぎません。実に81/3200.25、電力会社にとっては負荷率25%の歓迎せざる客ということになります。しかも夜中は走らないので一層負荷率を低下させます。
いま、東京電力の原子力発電所事故によるエネルギー政策が見直されようとしています。IEA(世界エネルギー機関)は2030年には原油価格がバレル300ドルと予想しています。こういう時代にあって、このような質の悪いエネルギー消費の形態が許される環境にはありません。ビジネスシーンの時間短縮のために交通機関の高速度の必要性に意味が無いのは、すでにコンコルドの失敗で証明されています。他方で今やインターネットを使ったTV会議システムがタダ同然の経費で十分に代替できる時代になりました。本来鉄道はエネルギー効率の実に高いシステムでした。エネルギー価値が高く、価格が高騰する現代、経済・環境・民生にとって最適な鉄道の在り方をもっともっと真剣に考えるべき時だと、私は考えます。
 
 

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懸樋と申します。以前塩山でお話をうかがいました。
リニアの電力消費について、これまでJR東海、国交省も明らかにしてきませんでしたが、5月12日の「パブコメの結果報告の中に数値がでてきました。
これによると東京ー名古屋 27万キロワット ピーク時:5本/時間
東京ー大阪 74万キロワット ピーク時:8本・時間
と書かれています。
たったこれだけなので、どう解釈すればいいのでしょうか。新幹線の何倍と言うべきか、原発何基分と言うべきかなどについてお教えくださいませんでしょうか。よろしくお願いします。 削除

2011/7/1(金) 午後 0:15 [ 懸樋哲夫 ] 返信する

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これ以上自然が破壊されることは、とてもじゃないけど耐え難いです。
リニアモーターカーを徹底的に反対していきたいです。
原発推進もウラにこんな現状があるなんてもっと多くの国民は知るべきです!
このままだと、子供に未来はありません。福島の子供は既に被爆しています。
何故、美しい風景や純粋な存在を破壊するのでしょう!

2011/7/2(土) 午後 10:40 [ cororo ] 返信する

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JR東海とそれに纏わりつくゼネコン大手企業、そして政治家との癒着が背景にありそうです。白日の下に晒して糾弾しましょう。利権による環境破壊をもう見過ごすわけにはいきません。

2011/7/2(土) 午後 11:04 [ MG50 ] 返信する

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阿部と申します。
懸樋さんの質問について、国交省の数値には根拠が示されていませんからどの程度信頼できるか分かりません(おそらく甘い見通しでしょう)が、74万kW(東京-大阪開業後)という数値を額面通り受け取れば、「原発ないし大型火力発電所1基を必要とする電力消費」ということになるでしょう。
「たったこれだけ」というよりは、「たった16本(往復)の列車を動かすだけのためにこんなに電力を必要とする」というべきではないでしょうか。
リニア1列車の500km/h走行時消費電力は約3.5万kWという数値も示されていますが、これは新幹線と比べるとだいたい3〜4倍大きな消費電力です。
原発に依存しない社会を作るためには、現在の鉄道のエネルギー効率をさらに高めることが必要なのであって、リニア中央新幹線はそうした時代の要請に逆行していることは確かです。 削除

2011/7/18(月) 午後 11:57 [ 阿部修治 ] 返信する

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あまい数値ではあっても、一応参考になります。ありがとうございました。

2011/7/20(水) 午前 7:58 [ 日々是好日日記 ] 返信する

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阿部です。
5月12日のパブコメの結果報告には、1列車の想定消費電力として3.5万kWと書かれていました。お見積りの32万kWとは9倍の開きがあります。その原因として考えられるのは
(1)32両連結という想定は非現実的で、リニア中央新幹線は16両編成の計画である。
(2)トランスラピッドのデータがいつの時点のものかによる。JRのリニアも以前は消費電力が相当大きかった。また、「最大電力容量」(リニアの場合は地上側の電力施設)というのは実験用列車を想定して設定されているので、車両数で単純に掛け算するわけにはゆかない。
いずれにしても、正確な評価のためには、山梨実験線の実際のデータの公開が望まれます。 削除

2011/7/30(土) 午後 0:44 [ 阿部修治 ] 返信する

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上のコメントへの自己フォローです。
書き忘れましたが、もうひとつの理由として
(3)見積もっているのが「最大」電力容量と「連続運転時」の消費電力という違いがあり、これで2倍は異なると思われます。
以上、3つの理由でそれぞれ2倍程度の違いがあるとすれば、トータルで2x2x2=8倍違うことになり、だいたい計算が合います。
ところで、加速時に必要な電力が大きいのは事実としても、逆に減速する列車からは回生ブレーキによる電力の発生があります。
リニア中央新幹線の場合は、10駅で列車が同時に出発するようなダイヤを組まなければならない可能性はほとんどないと思います。そもそも、ほとんどの列車は東京、名古屋、大阪しか停まらないのでしょう。 削除

2011/7/30(土) 午後 3:56 [ 阿部修治 ] 返信する

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