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交差点の女

会社に向かう駅の前に、大きな交差点がある。


みんな所在なさげに信号が変わるのを待っている。


視線を感じたと思った。


ふと、見上げると、こちらをじっとみている、女の人がいる。


漆黒の、長い髪。たしかに、こちらを見ている。視線が、からむ。


その瞬間、戦慄とともに、彼女とつきあえたら、と、思った。


・・・


それから、ほとんど毎朝、彼女と会った。偶然?


必然だと思いながら、幾日も、声もかけられすにいた。


・・そんなある日、彼女の方から、「おはようございます!」と・・・


僕は、有頂天だった。


次の日も、挨拶を交わし・・・ちょっとずつ、話もするようになって・・・



つきあうように、なれた。奇跡だ。


それからは、トントン拍子。どんどん、仲良くなって、彼女の深い部分も知るようになって・・・


彼女と付き合い始めてから、1年近くなった。お互いに、一緒になれればいいな、と思い・・



プロポーズした。



彼女の返事は、「はい」。


もう、天にも昇る気持ちだ。互いの親にも紹介して、式場も予約して・・・


忙しい毎日。


あ、今日は雨が降っている。彼女が、僕の部屋に訪ねてくる。結婚式の招待客の席順をきめなきゃって、言ってたっけ。


それにしても、すごい、雨。


ちょうど、一年前も、大雨だったな。


あ、きたきた。早く入んなよ!バスタオル、これ。


ねえ、去年の今頃も、こんな大雨なかったっけ?あ、おぼえてる?


おれ、得意先の製薬会社からの帰りが遅くなって、あわてて車飛ばしてたんだよな・・・


ゲリラ豪雨ってやつ?ほとんど前が見えなくて・・・


そう、あの交差点。


あそこにさしかかったとき・・・・





・・・


ひいちゃったんだよ。



黒猫。まだ、子供だったかなあ。


バン!って音がして。まっくろだったから、わかんなくて。


車とめてみたけど、・・・もう、到底・・・


大雨だったし、ヒトじゃなかったから、ちょっとほっとして、そのままに・・


なんで、こんなの思い出すのかな。


・・・・え?


知ってたって?


なんだよ、この日?まってた?


なんのこと?・・・おい、どうしたんだよ。


***


警官B 「斎藤ひろし、32歳、ミドリ製薬第2営業部勤務。・・・会社では、特に問題なく、仲間にも慕われていたようです。」


警官A 「こりゃー、ひでえな。」


警官B 「ここ、家の中ですよね。なんでこんなにぺちゃんこなんですかね。」


警官A 「ああ、まるで、トラックにでもひかれたみたいだ。でも、こんな狭いマンションの中だからな、おおかた、外で殺されたのを、運び込んだのか・・・」


警官B 「ちょ、ちょっと、これ、なんですかね・・・ガイシャの周りに、なにかたくさん・・・毛?・・・人間じゃない?!・・・黒いけど、短いし、たくさん・・・猫?」
*苦手な人は、スルーで。


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ただいまー、おうち。


さて、冷蔵庫、あけて、と。



ねえ、たっちゃん。


こうして、食卓を一緒にできるって、いいね。


ビールで、乾杯しよっか。かんぱーい。ボジョレーヌーボーも、買ってあるんだよ。あとで、のも!


ねぇえ、マミのところに戻ってきてくれて、うれしいよ。エリカのところに行っちゃったとき、ワタシ、ほんと悲しくて悲しくて・・・


たっちゃんが出て行ったあの日、エリカのうちに、押しかけちゃった。たっちゃんの浮気もの!だめだよ、彼女の友達と・・・そういう関係になるなんて、サイテーだよ!


はじめは、逆ギレしてたよね。マミがしつこいとか、異常だとかなんとか・・・エリカまで、マミの悪口言って・・・


マミ、普段はこんなにおしとやかなんだけど、あのときばかりは、鬼の目に涙?・・あーん、もう、笑わないで!チョーいかりソースだったんだから。え?いかりソースしらないの?いかりソースって、東京にないの?


マミ、マジで二人におこったよね。マミが真剣だったから、ふたりとも反省したんだよね。ふたりして、涙流して、・・・ふふ、鼻水とか、いろんなの出ちゃってたよ。


・・・ごめんね、もう終わった話だよね。


ねえ、昨日のたっちゃん、すごかったな。


・・・え、やだあ。キスよ、キス。くちびるがやわらかくて・・・


舌も、マミの口の中でとろけそうで・・・


え、マミ、えっちじゃないよ。もう!たっちゃんこそ、えっちじゃない?たっちゃんのあれ、たのしみだな。あ、マミ、やっぱり、えっちかなあ?ごめんねごめんね〜



・・・さあ、焼けてきた。


あ、目って、焼けると割れちゃうのね。この目のうしろにある糸みたいの、切りにくいな・・・・


たっちゃん、近視だったよね。だからちょっと、目のたま、細長いのかな。んー、いいにおい。


たっちゃん、おいしいよ。やだ、そんなに見つめないでよ。たっちゃんてば、そんなにマミのことが好き?


ほら、お魚って、目の周りがおいしいって言うじゃない?たっちゃんも、いっしょだね。この骨のところについてるお肉、おいしい。コラーゲンたっぷり?


安心して、たっちゃんの次は、エリカだよ。うん、たっちゃんのうしろにある、袋。大型冷蔵庫にして、よかった。


マミ、しあわせ。だって、恋人と友達と、いっしょになれるんだもん。

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