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女性は外を出歩くとき慎ましくも全身真っ黒な民族衣装に身を包んでいるから、華やかなおしゃれ感覚を表現することができないのだ。 あるとき驚いたことがある。スーパーマーケットに行った。 日本と同じように、レジは女の子が多い。 でも日本と違って、決まった制服やエプロンをつけているわけではなくて、やはり民族衣装でレジを務めているのだ。 黒い衣装に黒いベール。見えるところは、顔と手だけだ。 おつりをもらうときに、その女の子の手を見て、思わず手を引っ込めそうになった。 彼女の手にウロコが生えていたのだ。
びっくりした。 手の甲にびっしりとウロコが。 背筋がつーっと。寒気が。でもよく見たら、ウロコじゃなかった。 模様だった。 手の甲に、模様が描かれている。 茶色い肌に、それより濃い茶色で、模様が描かれている。 唐草模様のような、くねくねとした模様が手の甲一面にあった。爪の中にも模様が入っていた。 模様とわかって、引っ込めた手をおずおずと出して、おつりをもらった。 おつりを受け取りながら、またじっと女の子の手を見てしまった。 これは、ヘナというらしい。 アラブの女性が楽しむおしゃれのひとつだ。 ヘナという植物染料を使って、手の甲や足に模様を描くと、肌に染料が染みこんで2週間ぐらい消えない。 町には、ヘナの店が、ちゃんとある。 手の看板がどーんと町の中に突き出ている。 でも、正直言って、手の甲にうじゃうじゃと描き込まれた模様は、美しいというかなんというか、やっぱりウロコに見えるんだよなあ、何回見ても。そのたびにはっとする。 |
オマーン 2
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