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 評価:80点/作者:佐藤賢一/ジャンル:歴史/出版:2009年


 『カペー朝〜フランス王朝史1』は、ユーグ・カペーの即位に始まる、フランス王家の歴史の解説書である。

 作者の佐藤賢一氏は、『傭兵ピエール』『小説フランス革命』等に代表される様に、ヨーロッパの中世・近世を描く、歴史小説家であるが、近年、フジテレビでドラマ化された、『女信長』の様に、日本史を舞台とする歴史小説も手がけている。

 本書は、その歴史小説家の手による、歴史の解説書であり、現在のフランス・ドイツ・イタリアに跨る、シャルルマーニュ帝国の分裂から記述を始めている。

 シャルルマーニュの死後、カロリング朝フランク帝国は分裂し、その一つの西フランク王国では、ロベール家が台頭した。

 そして、987年、ユーグ・カペーは、諸侯の選挙によって、西フランク王に選ばれる。

 しかし、その勢力は、パリ周辺にしか及ばない、名ばかりの王であった。

 なお、「西フランク王国」が、いつから、「フランス王国」に変わったのか、歴史的には、明確ではない。

 また、ユーグ・カペーは、選挙で推戴された「王」であるため、必ずしも、王座をその子孫が世襲できるとは限らなかった。

 そのため、ユーグ・カペーは、自分の生前に息子のロベールを共同王として即位させることで、世襲王朝の道を拓いたのである。

 このユーグ・カペーの政策は、その後、ロベール2世・アンリ1世・フィリップ1世・ルイ6世・ルイ7世・フィリップ2世と、実に六代に渡って、継承される。

 その間、特に、「尊厳王」の異名を持つ、フランス史上有数の名君、フィリップ2世により、カペー家は、領地を着実に拡大し、ヨーロッパの最大勢力に成長するのである。

 本書で述べられている様に、カペー家の最大の奇跡は、始祖のユーグ・カペーから数え、実に13代に渡って、直系男子が王座を継承したことにある。

 日本・中国などの一夫多妻のアジア諸国と異なり、キリスト教圏では、一夫一妻が原則である。愛人がいても、愛人との間に生まれた子は庶子として扱われ、王位の継承権はない。

 そのため、ヨーロッパ諸国では、度々、王家断絶による、内紛・王朝交代が見られるが、カペー家は、実に329年間に渡り、男子直系相続が続いたのである。

 13世代329年に及ぶ、男子直系相続は、おそらく、一夫多妻のアジア諸国でさえ例がない、一つの奇跡である。

 ただし、12代目のルイ10世が死去した後、王妃は妊娠しており、その生まれた王子が、13代目のジャン1世であるが、ジャン1世は、生後数日で病死しているため、事実上は、12世代で男子直系相続は途絶えたと言える。

 その後、ルイ10世の弟のフィリップ5世・シャルル4世が即位するが、いずれも、息子がないまま、死去し、カペー家は断絶した。
 
 そして、彼等の従兄弟、ヴァロア伯フィリップが即位し、ヴァロア朝が始まる。

 本書は、複雑なフランス中世の歴史を、時にはユーモアを交えながら、平易な文章で書いているため、非常にわかりやすく、読みやすい。

 フランスの歴史を勉強するのであれば、まずは、本書と、続く、『ヴァロア朝』を読むことをオススメする。



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